第122話 マキカエレイ特別配信 その22~『#チィタマがんばえー』でトレンド入り?
「銭投げぇぇぇぇぇ! はぁはぁはぁはぁはぁ」
そろそろお財布の中のコインが心もとなくなってきた……。
(テレレッテッテッテ~。かえでくんはレベル27になりました)
「なかなかレベル30にならないなあ。あとはもう銅貨が1枚。銀貨が10枚しかない……。両替機ってないよね?」
(町へ行き、手数料を払って両替してもらうしかないですね)
「ですよねー」
つまり魔物を倒せるのは、あと銀貨10枚分。おそらく10体までということだ。
その間に『チィタマ・クロー・スラッシュ』でダメージが通るようになるのか……。
“チィタマがんばえー”
“がんばえー”
“ちょっと飽きてきた(がんばえー)”
“銭投げ地味だな(がんばえー)”
“ここらへんでポロリしておかないと視聴者減るぞw”
“それなー”
「好き勝手言いやがって……。こっちは生きるのに必死なんだぞ!」
(かえでくん、視聴してくださる方は大切なお客様です。ていねいに対応してください)
「わかってますけど……。でもボクだってがんばっているんですよ!」
(かえでくんががんばり屋さんなのはよく知っています。かえでくんのかわいさを世界中のみなさんに見てもらいましょう。さあご一緒に。#チィタマがんばえー)
「ハッシュタグ……バズらせる気じゃん……」
うわー、レイが言ったらみんな素直に従うのな!
コメント欄が『#チィタマがんばえー』で埋まり出した!
(SNSでトレンド入りを目指していきましょう。たくさんの方に視聴してもらいたいです)
「はい……それはそっちでお願いしますね……」
うわっ、ドラゴンフライが5体一気にきた!
銀貨が5枚も持っていかれる! 金欠だぁ!
(テレレッテッテッテ~。かえでくんはレベル28になりました。#チィタマがんばえー)
残り銀貨5枚……。
そろそろちょっと『チィタマ・クロー・スラッシュ』が使えるか試してみようかな。
お、ちょうど向こうからくる魔物が1体だけだ。
でも初顔合わせ……見たことない魔物だ。全体的に黒くて細い……。
(それはレイスです。レベル35の魔物ですが、幽霊なので物理攻撃は効きません)
「えっ、どうすれば……」
『チィタマ・クロー・スラッシュ』はゴリゴリの物理攻撃だし……。
(銭投げは効きます。レイスのHPは500です)
「銀貨1枚か」
腕試しは次の物理攻撃が効く魔物に取っておくか。
「いっけぇぇぇぇ!」
ボクの全財産の1/5!
「あっ! レイス消えた⁉」
ボクの投げた銀貨は、さっきまでレイスがいたはずの場所を通過し、遥か遠くへと飛んで行ってしまった。
(霊体なので神出鬼没です。気をつけてください)
気をつけるっていったってどうしたら⁉
(今こそ『チィタマ・キュート・イヤー』の出番です)
「何それ⁉ 新スキル⁉」
(両耳に手を当てて、『ニャンニャンニャン』です)
「えっと……」
こう、かな……?
「ニャンニャンニャン?」
これでどんな効果が⁉
隠れている魔物の動く音が聞こえるとか⁉
(それはかえでくんの耳です。チィタマの耳はそこではありません)
「ああっ! ネコミミカチューシャのほう!」
素で間違ったわ。
“さすが楓www”
“天然www”
“かわいすぎかよw”
“スパチャスパチャw”
“これにはレイスくんもにっこり”
“レイちゃんもにっこり”
“#それはかえでくんの耳です”
“もう、楓さんはバカなんですか?”
おいー! みんな笑うな!
仕方ないじゃん! 耳って言ったら、普通、自分の耳でしょ!
「もーーーー! ニャンニャンニャン! これで良い⁉」
さあ、レイスの居場所を教えてくれ!
(みなさん、スクショタイムです。『#チィタマがんばえー』でSNSにポストをお願いします)
「ちょっとレイさん……? このスキルの効果は……?」
何も聞こえてこないんですけど?
レイスはどこ?
(レイスならかえでくんのうしろです。急いで倒してください)
「えっ⁉ うわ、ホントだ! 銭投げぇぇぇぇ!」
危なっ! なんとか倒せたわ……。
(テレレッテッテッテ~。かえでくんはレベル29になりました。#チィタマがんばえー)
「いや、がんばえー、じゃなくてさ、『チィタマ・キュート・イヤー』の効果は?」
(みなさんにかわいくスクショを撮ってもらえました。視聴者数も増えていますよ)
いや……そうじゃなくて……『チィタマ・キュート・イヤー』の効果は何さ……。




