第117話 マキカエレイ特別配信 その17~たくさんレベルアップできますね。かえでくんだけレベルアップな件
「罠の前に雨露を凌げる場所がないと、サバイバルで生き残れないんじゃなかったっけ? テントとかないの⁉」
(ありませんね。豪華スペースクルージングセットは、宇宙戦艦はスペースデブリになりましたから)
スペースクルージング……?
まあないものは仕方ないか。
(サバイバルで生き延びるためには優先順位があります。置かれた環境によって前後しますが、基本的には『体温の維持』が最優先になります。体を濡らしたり冷やしたりしないこと。夜間に体が冷えないようにするのも大切なことですね)
「やっぱり最初は拠点の確保だよね。山のほうに登れば洞穴があったりしないかなあ。今いるところは海辺の傍だっていうのはわかるんだけど、この島ってどんな構造になっているんだろう」
地図とか作って行かないといけないのかな。
ゲームだったら歩いた場所の自動マッピングがあったりしないの?
(物理的なアイテムはすべて失われましたが、通信は生きているのでそういった情報の転送は可能です。無人島のマッピングデータを転送しますか?)
「ええ⁉ マッピングデータがあるの⁉ ほしいほしいほしい!」
(転送しました。コンソールを開いてマップを確認してください)
コンソール……これか。
お、マップが追加されている!
「おおー、見れたよ! 思っていたよりもずいぶん詳細な地図だ! 真ん中が火山か。洞穴の場所もわかる! これならすぐに拠点を確保できそう! 意外と楽勝だなー」
サバイバルは情報がすべて、ってね♪
ん、光っている星マークがボクの現在地だってことはなんとなくわかるんだけど、この動いている赤い丸とか黄色い丸とかはなんだろう? 黄色い丸は動いてないか。
(赤は敵。青は味方。黄色はかえでくんのメンカラーと相場が決まっています)
わーい、ボクのファンがいっぱいだね……ってそんなわけあるかー!
「敵って……リトルマウスってこと?」
(リトルマウスを含む魔物たちですね。接敵しないと種類はわかりません)
「赤い丸……多すぎない? 100以上……」
この島は、ほぼ赤色の丸で支配されていると言っても過言ではないかもしれない。何なら海にもいっぱい……。そして青い丸が1個もないということは、この島にはホントに味方がいない……。
(たくさんレベルアップできますね。かえでくんだけレベルアップな件)
「ふざけていたらすぐ殺されそうなんですけど……。あ、それで黄色のホントの意味は?」
(アイテムの位置を表しています。手に入れることでサバイバルが楽になったりならなかったりするかもしれません)
どっち……。
(積極的に手に入れていきましょう。どこかに宇宙船があるかもしれませんし)
「その可能性もあるの⁉」
(黄色い丸の場所には宝箱があります。宝箱にはレアリティが存在していますが、中身はランダムです。最高レアの宝箱からなら、宇宙船が出てくる可能性も……)
「サバイバル生活ともおさらばして、一気にゲームクリアだ!」
(ただし、レア度の高い宝箱は、それ相応の魔物が守護しているのでレベルを上げてから挑むことをおすすめします)
「そうそう甘くはなかった……」
結局地道にレベル上げしろってことね。
じゃあやっぱり安全なところに拠点を構えてからチクチクやっていきますか……。
「チィタマーーークローーーーーースラァァァァァァァァッシュ!」
「チィタマークローーースラァァッシュ!」
「チィタマークローースラァッシュ!」
「チィタマークロースラッシュ」
「チィタマクロースラッシュ」
「クロースラッシュ」
「スラッシュ」
「シュシュシュ」
はぁはぁはぁ……魔物多すぎですよ……。
10mも進ませてくれないじゃん。リトルマウスみたいな強い魔物が出てこないから、なんとか倒せていますけれども。
(かえでくんの大好きな気合いを入れてください。スキル名をちゃんと詠唱しないと威力が落ちますよ)
「いや……気合い好きじゃないし……。もうかなり疲れてきた……」
HPはほとんど減っていないけれど、MPが半分以下、SPはもうミリしか残っていないよ。SPって精神力だよね。もう心がクタクタ……。ちょっと休ませて……。
(洞穴まであと少しです。安全を確保してから休まないと死にます)
「それはわかるんだけど……。甘いものが食べたい……。って言うのは贅沢だってわかっているから、せめて水を飲みたい……」
サバイバルにおいて、住居も大事だけど、水の確保も大事なはずだよね?
水場はどこだろうか。マップマップ……。川は島の反対側か……。戦闘を繰り返しながらあっちまで行くのはかなりきついな……。
(かえでくんの聖水を飲めば、たちどころに渇きも精神的ストレスも緩和すると思います)
「いや……それはやめよう……」
自分の涙を自分で飲んでもたぶん渇きは癒えないと思うし。まあ、涙を出すための玉ねぎがあるなら、普通にそれを調理して食べたいし。
(それでしたら、そこに生えている草の茎を切って水分を補給すると良いのではないでしょうか)
「草の茎?」
(イタドリという野草です。茎の中が空洞になっていて、水が溜まっているため少量であれば水分補給をすることができます)
「へ、へぇ……。この竹みたいな形の……」
草っていうわりには、かなりしっかりしている……。
とりあえず折ってみるか。
「うわっ、ホントに水が出てきた! これ、飲めるんだよね⁉ 毒はない⁉」
(毒はありません)
「すっぱ! 何これ⁉」
水じゃなくない⁉ 腐っている⁉
(そういう味です。毒性はありませんし、腐っていないので安心してください。飲み過ぎるとお腹が緩くなるかもしれません。茎には栄養がありますので、湯がけば食べることができます。また、古来より傷薬や漢方薬などにも利用されている野草です)
「へぇ……。これが薬ね……。すっぱ……」
サバイバルだなあ。




