第113話 マキカエレイ特別配信 その13~何日かけても、何か月かけても、何十年かけても……クリアしてくださいね
(そして2時間後……)
「ああ、そういう感じでスキップしてくれるんだ? この部屋に軟禁されたまましばらく過ごさないといけないのかと思ったわ」
(地球ではすでに2か月の時が過ぎておったそうな……)
「なぜ昔話風……?」
“やっとワープ終わり?”
“2か月間配信チェックするの大変だったわー”
“ガチで2か月も配信やると思わなかったなw”
“楓はぜんぜんしゃべらないし動かないし”
“それな。配信止まってるかと思ったが、レイちゃんが副音声的にしゃべってくれたから助かった”
“楓に関する無駄知識ばっかり増えたわw”
“カエデの足の爪にマニキュア塗る配信また見たい”
“ペディキュアな”
“どっちでもいいよ”
“カエデ、2か月も仕事しないで大丈夫か?w”
“いよいよ目的地に到着か~”
「いや、みんな何を言っているんだ? まだ10秒も経っていないのに?」
(亜光速でワープしたせいで、地球との間に時間のズレが発生してしまいました。けれどご安心ください。このゲームをクリアした暁には、すべての時間を巻き戻してスタートの日に戻る特典があります)
「そんな心配はしていないんだけど……どうせまた冗談なんでしょ?」
(そうだったらよかったですね)
言い方が怖い……。
コメント欄のみんなまでボクを騙そうとして……。
足の爪?
うわっ、いつの間にかカラフルなマニキュアが⁉
これはいったい……。
『楓ちゃんがそう信じているほうがゲームの進行がおもしろくなるから良いけどね♡』
ルーナちゃんまでそんなこと言って……。ちょっと怖くなってきたんだけど……。
(艦長。予定進路をご確認ください。あとカウント10で、通常空間に戻ります)
いきなりロールプレイが再開した!
宇宙戦艦メープルだっけ? ボクが艦長だとして、レイ以外のクルーはどこよ?
(5、4、3、2、1、通常空間に戻りました。ワープエンジン停止。メインエンジン点火。正常。出力安定しています)
「そうですかー。それは良かったー」
(目的地まで自動航行に切り替えます。シートベルトを外して自由に歩き回っても安全です)
「ちなみに目的地ってどこ?」
何も聞かされていないからなあ。
宇宙空間ってことは地球じゃない別の星を目指して飛んでいるんだよね?
(イスカンダルです)
「ここにきてオリジナル性皆無! まさかのパクリ⁉」
『零ちゃん。イスカソダノレだよ』
(そうでした。イスカソダノレです)
「はいパクリー。むしろ堂々としていない分マイナスですよ。オリジナルゲームを名乗るなら、さすがに違う名前にして」
『じゃあチテネティアで』
「んー、何か聞いたことがあるような……ないような……」
『わたしの別名義の活動ネームってやつかな~?』
アーティストみたいなことを……。
(本艦は、惑星チテネティアを目指して通常空間を航行中です。到着予定までおよそ3時間ほどです)
「はいはい。それでその惑星に行ってボクは何をすれば良いの? そもそもこのゲームって何をする目的のゲームなんだっけ?」
ゲームの名前は『KAEDE-SAGA』。
その目的は……。
「そうだよ。このゲームってさ、そもそもスタートはマキの暇つぶしのためにゲーム実況しようって話になったんじゃん。さっきから実況サボっているけれど、もしかしてマキは寝た? 早起きし過ぎて寝ちゃいましたか~?」
マキが飽きたんなら、ボクもゲームプレイをやめても良いよね。
(かえでくんは何を言っているんですか?)
「……なんかおかしなこと言った? マキがゲーム実況したいって……?」
ボクはマキの暇つぶしに付き合って無理やりゲームをしているはずなんですが?
(マキさんはとっくに海外に出発されました)
「えっ⁉」
(かえでくんがゲームを始めてから、地球時間ではすでに2か月が経過していますから)
「その設定まだ生きているの⁉」
『だから~、設定じゃないんだってば~』
「……マジ?」
『マジマジ♡ でも安心してね。レイちゃんは地球から、わたしは楓ちゃんの頭の中からサポートしているから、宇宙空間を旅しても万全のサポート態勢だよ~♡』
何も万全ではないんだけど……。
「今って、何月何日なの⁉」
(地球時間ですか? 10月29日です。こちらではハロウィン配信の準備真っただ中です)
「ええ……マジでマジの話なの……? 2か月? 10月……またボク欠席して怒られるパターンじゃん……」
やだよ、ハルルに殴られるの……。
(見事『KAEDE-SAGA』をクリアして、ゲーム開始初日に戻れればすべて解決します。何日かけても、何か月かけても、何十年かけても……クリアしてくださいね)
いやー、今すぐに帰らせてー!




