第104話 マキカエレイ特別配信 その4~ずっと黙っていたんですけど、実はわたし、人じゃないんです
「ふ~ん? ふ~ん? あなたが十文字真紀さんね! 実物は初めて! 初めまして~! わたし、ルーナちゃん! 楓ちゃんのお姉ちゃんにあたる者で~す♡」
お姉ちゃんって……。
ボクより先に生まれたし、麻里さんが作ったって意味では同じ親《博士》から生まれているし、ある意味『姉』という表現が正しいのか……。
「これはこれはお姉様! ご丁寧にどうも。カエデのフィアンセの十文字真紀でございます~」
それは捏造です。
ある意味も何も正しくはない。
「妹はやれん! わたしが認めた相手にしか、かわいいかわいい楓ちゃんはやら~ん!」
ルーナちゃんのそれ、何キャラなの。
“妹だったのか”
“修羅場?”
“その設定は初めて聞いたなw”
“どっちも妹感あるんだがw”
“どっちも妹わかるwww”
“でもルーナPのほうが立場は上か?”
“上司ではないんだろ”
“ほな妹か~”
“誰かフィアンセのところにつっこんでやれよw”
「こちら、少ないですが結納金の115兆1978億円でございます」
「少ない! 桁がぜんぜん足りんわ~!」
“はい国家予算”
“国=楓”
“ここは楓国”
“楓が法律だ!”
“足りないの草”
“レイちゃんががま口の財布を開いて見ているのはなぜw”
“お財布に115兆入っていたかな~?”
“残り115兆1977億9999万9850円”
“ジュースハゲ!”
「今は持ち合わせがないので、お姉さんに認めていただけるように修行してまいります」
「うむ、あきらめない姿勢! 見どころがある若者じゃ。妹はやれないが、代わりに義妹をやろう♡」
と、ルーナちゃんがボクの足元で寝ていた花子を引き摺り起こした。
あ、ちょっと! リアルなクマを配信に映しちゃダメぇぇぇぇ!
(大丈夫です。こんなこともあろうかと、クマ除去フィルターをONにしておきました)
それ、どんな時用なの……。
(今はかえでくんにそっくりな10歳の女の子のキャラクターが配信画面に映っています)
ああ、画面を見るとホントだ!
ちょっと寝起きで髪ボサボサな感じの……≪REJU_s≫を飲んだ時のボクがモデルですか……?
でも助かった。リアルな放送事故は避けられた……。
「わたし、カエデ一筋なので、妹ちゃんのほうはちょっと……」
露骨に嫌そうな顔していますけど、なんだかんだでマキと花子って仲良いよね。マキが遊びに来る時は高そうな木の実を買ってきてくれるし、花子の体が大きくなっても怖がらずに遊んでくれるし。
「そのあたりのストーリーは、ぜひ『KAEDE-SAGA』の中でお願いしても良いでしょうか?」
レイさん、どういうこと……?
「たしかにね~! 零ちゃん冴えてる~♡ シナリオ追加しておくね♡ 真紀ちゃんのキャラデータ追加するから、ちょっとこっち来て~」
「あ、はい」
ルーナちゃんがマキの体をあちこち触って手元の端末に打ち込んでいく。
胸とかがっつり揉んでいるけれど、マキは眉一つ動かさない……。
この場で追加要素をプログラミングしていくつもりなのかな。ルーナちゃんが大活躍だ……。
“これがノーコード開発”
“俺もノーコード開発したい(意味深)”
“なんか違くね?w”
“測定の助手だけでいいや”
“やっぱりエッチなゲームなのか?”
“そりゃそうだろw”
“ルーナPがいて、カエデがいたらそりゃなw”
いや、どういう評価なの、それ?
ルーナちゃんってそんなにエッチなイメージあったっけ?
「ところで真紀ちゃんは、何の種族が良い~?」
種族⁉
「まきさんと配信をご覧のみなさんのために補足説明します。『KAEDE-SAGA』はかえでくんが主人公となり、人生を歩んでいくゲームです。選択肢によっては、人以外の種族が現れたり、モンスターと戦闘をしたりすることもあります」
RPGだ……。
ていうか、ボクに向けても説明してね? むしろボクに向けて説明してくれないと、これからプレイするのはボクなんだよ?
「なるほど……。ずっと黙っていたんですけど、実はわたし、人じゃないんです」
マキがなんか言い出したぞ?
今の一瞬で何かの役に入り込んだかな?
「実はわたし、天使なので天使族でお願いしま~す♡」
「天使OK♪」
そうですか。天使ですかー。それは良かったですね。
(わたしの役は、かえでくんと同じ日に生まれて隣の家に住んでいる許嫁の幼馴染みです)
そうですか。
みんな好き勝手キャラメイクして遊ぶゲームなんですね。




