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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第105話 マキカエレイ特別配信 その5~さあ、始まりました。『KAEDE-SAGA』

 レイがスタートの合図をすると同時に、ボクのVRグラスは真っ暗になった。

 それまでは見えていたリビングの様子も、目の前にあった大きなテレビも何も見えない。


『KAEDE-SAGA』


 炎を纏った黄色い筆文字で書かれたゲームロゴが表示される。


「おお、始まった!」


 と思いきや、再び画面が真っ暗。

 壊れた?


 現れるテキストメッセージ。


『チュートリアルをスキップしますね?』


 いや……初心者なのでチュートリアルをお願いしたいんですけど。「YES」しか選択肢がないんですけど?


(かえでくん、早く「YES」を押してゲーム本編をスタートしてください)


 でも操作方法が何もわからなくて……。


(直感的なゲームですから問題ありません。ゲーム中はわたしがサポートキャラとして不明点にはお答えしますのでご安心ください)


 ああ、そうなの? それならまあ、大丈夫なのかな。でもレイは許嫁の幼馴染みキャラじゃなかったっけ?


(それはそれ、これはこれです)


 なんて都合の良い言葉!


「じゃあ、『YES』を選んでゲームを始めようかな……」


 ポチッ。


『Now loading……』の文字が流れ、待つこと十秒ほど。

 いきなり目の前が真っ白になり、視界が奪われる。


「うわっ!」


 反射的に目をつぶるも、目の前は真っ白なまま。


(かえでくん、かえでくん。ゲームが始まっています。早く目を開けてください)


「えっ、もう始まっているの⁉」


 おそるおそる目を開けると――。


 ボクは草原にいた。

 膝くらいまである草に覆われた草原。それが見渡す限り広がっていた。


 そして空。

 草の緑で作られた地平線から先は、雲一つない青空だ。


 これがVRゲームの世界か……。

 どこかで見たことがあるような景色で懐かしさを覚えるね。

 

【さあ、始まりました。『KAEDE-SAGA』。主人公のカエデはさすがですね~。今日も絶好調です!】


 マキの実況が脳内スピーカーを通じて聞こえてくる。

 ゲームのナレーション的な役割は実況のマキが担当ってこと? というか、何が絶好調なの……?


“かえで絶好調!”

“ビジュアルはそのままニャンw”

“ああ、カエデだニャン”

“というかチィタマなw”

“防御力皆無だけど平気か?”

“さすが楓wいつも大ピンチが似合うw”

“いきなりゲームオーバーチャンスw”


 コメント欄のテキストも脳内スピーカーから聞こえてくるシステムは健在、と。

 ん、ボクの格好がなんだって? えーと……? ああっ!


「なんでボク、チィタマの格好なの⁉ 虎猫柄のビキニじゃん!」

 

 ネコミミも生えてるし!

 これじゃあ、カエデサーガじゃなくて、チィタマサーガじゃん!

 

【お~っと? カエデが自分のビジュアルを気にしているぞ~? 今はそんな場合ではないのに大丈夫か~? このままではホントにゲームオーバーチャンスだ~!】


 ゲームオーバーチャンス?


(視線を動かさずに左上を見てください。ステータスバーがあるのがわかりますか?)


 お、おお?

 HPとMPとSPって3本の線が見えるね。


(HPが体力、MPが魔力、SPが精神力の残量です。今はログインしたばかりなのでどれも満タンですが、攻撃を受けたりすると――)


「痛っ! えっ、何なのー⁉」


(HPの残量が減ります)


 えっ、えー⁉ 


「HPの残量が半分以下に⁉ めっちゃ減っているけど⁉ なんか黄色く点滅しているし!」


【ああっ、カエデ~! 早くも大ピンチ! 周りをよく見ないと死ぬぞ~!】


 周り? 何?

 

 あっ。


「なんかいる……。草に紛れて緑色の小っちゃいヤツがなんかいる……」


(次の攻撃を受けると死にます。必ず避けてください)


 死ぬ⁉ 避けてって言われても!


(初回戦闘なのでアシストします。姿勢をかがめて四つん這いになってください)


 四つん這い!

 こ、こうかな?


 膝丈ほどの草に隠れるようにして、地面に這いつくばってみる。


(もっと顔を下げて、おしりを上げてください)


 こ、こうかな……?


(さいこうです)


 えっ、最高って何? これで合っているの⁉


【お~っと、カエデ、これはいけない! いきなりセンシティブだ~! お尻をフリフリで誘っているのか~⁉】


“エッチですねぇ”

“やるじゃん”

“やればできるんだなw”

“うむ……うむ……”

“とりあえずスクショしておくか”

“このゲーム売ってほしい”

“楓はやっぱり尻だなw”


 なんか良くない雰囲気のコメントが聞こえてくるんだけど……。


(集中してください。避けないと死にます)


 は、はいぃぃぃ!


(そのまま右斜め45度方向に10歩ダッシュ)


 はいー!

 四つん這いのままダッシュですか⁉


(左斜め45度に向きを変えて10歩ダッシュ)


 はいー!

 ホントに猫になった気分。


(右斜め45度に向きを変えて――『チィタマ・クロー・スラッシュ』と叫んでください)


 えっ、なんて?


(『チィタマ・クロー・スラッシュ』です。スキルは音声入力なので、できるだけ大声で感情をこめておねがいします)


 ええー。感情? 何の感情をこめれば良いの……。


(敵を倒したい、と。世界を滅ぼしたいとねがってください)


 世界を⁉ ゲーム始めたばっかりなのにもう世界を滅ぼすの⁉


(早くしないと死にます)


 はいぃぃぃぃぃ!


「い、いくぞー! ち、チィタマーーークローーーーーースラァァァァァァァァッシュ!」


 うおぉぉぉぉぉぉ⁉ 体が勝手にぃぃぃぃぃぃ!

 緑色の小っちゃいヤツの体がめちゃくちゃにボクの爪で切り裂かれて……グロいっ!


【必殺の『チィタマ・クロー・スラッシュ』が決まった~! カエデ、見事にゴブリンを撃破だ~!】


 今の緑色のがゴブリンだったのか……。


(テレレッテッテッテ~。かえでくんはレベル2になりました)


 レベルアップ⁉

 それ、レイが口で言うの⁉


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