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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第96話 夏なので冷感下着なんてのがあるとうれしいよね

「痛いにゃ……暴力反対にゃ」


 マキが頭頂部をさすりながらリビングのほうに戻って行く。

 

「自業自得! 食器洗いをしている最中になんていたずらしているのさ!」


 思わず洗剤のついた手でゲンコツを食らわせてしまったわ。

 骨が軋むような鈍い音がしたわー。


「まきさん、頭に泡がついています。こちらのタオルをお使いください」


「サンキュ~。さっすがレイちゃん! 気が利く~!」


 ハンドタオルを受け取って頭をゴシゴシ。

 泡は無事とれたみたいだけど、その代わりとばかりに髪がボサボサになっていた。


「まきさん、髪型が乱れています。直しますのでこちらにお座りください」


「サンキュ~。さっすがレイちゃん! 気が利く~!」


 イスに座ったマキの頭に、ゆっくりと櫛を通していく。

 

 レイは誰にでもやさしいなあ。

 なんかちょっとモヤモヤ……。

 

(かえでくん。まきさんのファンデーションが付いて汚れてしまったので、下着を取り換えましょう)


 えっ?

 背後からレイの声がした気がして、振り返ってみたけれど誰もいなかった。


 気のせい……?


 じゃない!


 ぼぼぼぼぼぼぼボクの下着が……ない!

 いつの間にか抜き取られて、下半身がスースーだ!


(色違いになってしまうので、上も取り替えます)

 

「キャッ!」


 ブラも剥ぎ取られた!

 レイさん! ボクの制服の下が大変なことになっていますよ!


「ん~? カエデ、どうした~?」


 ボクの小さな悲鳴に反応して、マキがこちらに視線を向けてくる。


「べべべ別に⁉ ちょっとお皿の水が飛んできてびっくりしただけっ!」


 サッと背中を向ける。

 ノーパンノーブラに気づかれたらヤバいっ!


「ふ~ん? レイちゃんありがと~! ヘアメイク上手! わたしの専属メイクさんにならないかい?」


「すみません、すでに心に決めた人がいるので」


「ちぇっちぇっ! だったら2人でわたしのダブル専属メイクさんになれば良いじゃ~んじゃ~ん」


 だからダブル専属メイクって何。

 すぐにボクを巻き込もうとするのはやめて? ボクはまだ人のメイクはおろか、自分のメイクも満足にできないんだから……。


「ひゃん!」


 ちょっとレイ!

 急に音もなく下着を穿かせないで!


 めっちゃひんやり……。


(懐に入れて冷やしておきました)


 懐に入れて冷える理屈が知りたい……。

 まあ、夏なので冷感下着なんてのがあるとうれしいよね。



「それにしてもどんどん台風ひどくなってない?」


 窓を叩く雨風の音がすごいことになっているよ。何かが飛んできて窓ガラスが割れたりしないよね? 何気に高層階に住んでいると、こういう時怖いなあ。


「これでもまだ最大接近の状態ではなさそうです。この辺りにもっとも接近するのはお昼過ぎの予定です」


 レイが端末を見ながら教えてくれる。

 おそらく、天気情報のサイトでも見ているんだろうね。


「どこにもいけなくてつまんないにゃ」


「この状態だとさすがに『帰れ』とも言えないし、まあ、しばらくゆっくりしていきなよ。台風が治まってきたらタクシー呼んであげるから早めに帰りなよ。明日から海外なんでしょ? 準備できているの?」


 この状態で、明日飛行機が飛ぶのかちょっと心配になるけれどね。


「必要なものはもう全部現地に送ってあるよ~。とは言っても、だいたいが現地で買い揃えることになっているから、うちのマネちゃんが先に現地に飛んで準備してくれてる~」


「まあそっか。半年分の荷物なんて、トランクに詰めて持っていくわけにはいかないよね。旅行じゃなくて住むのと変わらないかー」


 長期滞在って大変そうだなあ。


「ところでマキさんのマネージャーさんは男性の方でしたよね? 一緒に住まれるんですか?」


 なん……だって⁉

 マキが男の人と同棲⁉ まさか半年も1つの部屋で一緒に暮らすの⁉


「カエデ~。なんて顔しているのよ」


 マキが苦笑する。

 

 だって、男の人とだなんて……あの女の子大好き女優のマキが⁉


「もちろん女性よ。宿泊が絡む時は、サブマネージャーのマネ子ちゃんが担当するって決まっているから。さすがにうちの事務所でもその辺の配慮はあるって~。おたくのところほど徹底はしていないってだけ~」


 サブマネージャーのマネ子ちゃん……。

 本名じゃないよね、それ。


「ではその女性マネージャーさんとただれた生活を半年も送る予定なのですね。無事に帰ってきても、汚れた手でかえでくんに触るのはご遠慮ください」


 汚れた手って……。


「爛れるか~! マネ子ちゃんは50歳のベテランマネさんだぜ? さすがにマキちゃんもそこまで覚悟決められないわ~」


 熟女マネージャーに手を出す若手女優。

 週刊誌のネタとしてはちょっとエッジが効き過ぎていますね。


「カエデ~。そんなほっとした顔しないでよ~。な~んか期待しちゃうじゃん♡」


 ただ心配しただけですー。

 妙な期待すんな!


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