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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第93話 ≪BiAG≫という名の神たちが、現代に甦っている状態

 マキが言う。


「人を目標にしているとね、何かの拍子に超えることができちゃう可能性もあるんだよね。相手も人だからさ、どんなに偉大な存在に見えても、人である以上、上回ることって可能なんだわ」


 そりゃそうだ。

 ボクが言うのも何だけど、人は不完全な生き物だからね。


 だけどそこには例外がある――。


「死んでしまった人は神格化されて、絶対に超えられない神になることがある」


 そう。

 秋月美月さんはまさにその例の通りだった。

 

 当時、人気絶頂の中、武道館ライブで最高のパフォーマンスを披露し、失踪した。その後、二度と表舞台に立つことはなく引退発表。極秘裏にメイメイを出産し、死去。


「秋月美月って、誰とも比べられることが不可能な状態で神になった例だよね~。アーティストや俳優でも歴史上そういう人物は存在するけれど、カルト的な信者たちが死後何十年も崇め続けるから、絶対に誰も並ぶことができないんだよ。わたしもそうなりたいにゃ」


 マキがカラカラと笑った。


「冗談でもそういうことを言うのはやめてよ……」


 不慮の事故は誰にでも訪れる可能性あるけれど、自らの命を絶って神になろうとするのだけは絶対にやめてほしい。マキには、ずっとずっとたくさんの人たちの前で演技を見せていてほしい。年齢とともに役回りが変わっていき、いつかかわいいおばあさんの演技をしているマキ、なんてのも見てみたいし。


「わたしは頂点を極めていないし、そこに目標を置いているわけじゃないから、まだまだ役者をやめたりはしないよ~」


『わたしは』


 すごく気になる言い方だった。


 メイメイの考え方は危うい。

 そう言っているも同然だった。


「メイメイの目標がユエユエで、ユエユエを超えたら……やっぱり目標を達成したら、モチベーションを失っちゃうのかな……」


 そして芸能界から姿を消してしまうのかな……。


「モチベーションを失うか失わないかで言えば、その目標に対してのモチベーションは失うよね。イコール抜け殻みたいになって、すべてのやる気を失うかって言われると、それは人それぞれなんじゃないかな~」


「目標がなくなっても、やる気を失わない場合があるってこと?」


 そんなことあるかな?

 惰性で仕事をして行くってこと?


「目標を1つしか持っちゃいけない、目標を更新しちゃいけない、なんて誰かに決められているのかにゃ?」


「ああ、そういうことか……」


 たった1つの目標に向かって、24時間365日、すべてを犠牲にしてそれに打ち込み続ける。そういう人もいるだろう。でもそれは極端な例で、普通はいくつかの目標を持ったり、その目標は次の目標のための通過点だったりすることが多いはず。

 たとえば、それまで5kmしか走れなかった人が10km走ることを目標にしてランニングをしていたとして、10km走れるようになったらそれで終わりなのか。普通はクリアしたらその先を見るものだ。次に15kmを走れるように、その次は20kmを、さらにもっとタイムを縮めて速く……。


 でも――。


「メイメイの目標はそれ以上先がないものかもしれない、と……」


「実際傍から見ていると、お母さんを超えるって目標は達成間近なのかもしれないね~。でも間近に見えるだけで、もしかしたらこのままずっと超えられない可能性もあるけどさ」


 目標に手がかかった。

 視界に捉えた。


 まだその段階ではあるんだよね。

 だからこんなことを悩むのはまだ先だろ。そんなことよりも確実に超えろよ。って叱られるのは当然のことだとは思う。


「それはそれでつらいなあ。ここまで来たら超えてはほしいかな。ユエユエはめっちゃ悔しがりそうだけど」


「そこ! そこがね~、わたしはひっかかっているわけよ」


 食い気味に強調してくる。


「そこ?」


「おたくのところの事務所の力でさ、科学力ってやつ? それで≪BiAG≫という名の神たちが、現代に甦っちゃっているんだよね。どれくらい正確に再現できているのかはわたしにはわからないけれど、視聴者が、ファンたちが、信者たちが、その目で神たちとメイメイちゃんたちを見比べられる状態にあるわけさ」


「神が現代に甦る、か。それだけ聞くとかっこいいね。何かのセリフに使えそう」


 このセリフ回しが若手No.1の証か。


「本来超えられるはずのない神が目の前に降臨して、超えたか超えていないかをだれしもが見比べられる状態にあるって、ちょっと普通じゃないっていうか……言ってしまえばかなり異常な状態だから、何が起きても不思議はないかなって思っちゃったりもする」


 マキはそう言うと、眉間にしわを寄せて「うーん」とうなり声を上げた。


「何が起きても、って何? マキは今、何を想像しているの?」


「ん~と……常世と幽世が入り混じる黄泉平坂の誕生かな」


 急にオカルトな話に?


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