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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第47話 わたしはそれを『天使の口づけ』と呼んでいます

「こちらが珠玉の1杯です。どうぞお召し上がりください」


 レイがボクたちの前に、茶色い陶器のコーヒーカップを差し出してきた。

 カップの取っ手の部分がボクたちのメンカラーになっていて、気が利いているね。

 ちなみに、色はユエユエが赤。ボクが黄色。ルーナちゃんが白。そしてレイの色は紫だ。


「これがコーヒー……なのね……」


 ユエユエが眉間にしわを寄せながらコーヒーカップを持ち上げる。そのままカップに鼻を近づけて大きく深呼吸をした。


「ん~、良い香りね……」


 目を閉じてその香りを堪能している。

 どうやらお気に召したみたいだね。第1段階はクリア、かな?


「わたし、豆から淹れたコーヒーって初めて~。苦っ。お砂糖入れよ~」


 と、ルーナちゃん。

 取っ手の部分が白いコーヒーカップに、グラニュー糖を何杯も……。


「ああ、それは入れ過ぎじゃ……」


 カップの中に白い山ができて……もう砂糖が溶けてないじゃん。そんなお約束はやらなくても良いんだよ?


「何よ! 楓ちゃんだってブラックじゃ飲めないくせに~!」


 キーキー。

 

「ルーナちゃんは何を言っているんだい? スペシャルティコーヒーにミルクや砂糖を入れるのは邪道だよ? 素材の味を楽しまなくちゃね。ホントにおいしいコーヒー豆はブラックでも甘いのさ」


 黄色い取っ手のコーヒーカップを口元に近づける。


「ああ、この香り。レイの淹れてくれるコーヒーは最高だよ。……深い味わいだ」


 苦みの中にほんのり感じる甘さ。これこそがコーヒー豆本来のうまみ。七瀬マネージャーは「コーヒーが体に悪い」なんて言って、ユエユエに禁止令を出していたなんてね。ホントひどいヤツだ。


「甘いんだ? ふ~ん? 私も飲んでみよう!……苦っ! 苦いよ! カエくんはウソつきくん?」


 ユエユエの眉間にさらに深いしわが寄ってしまった。


「ハハハ。ユエユエはコーヒーを飲み慣れていないからかな? ボクくらいになると、苦みの中に甘みを見つけることができるんだけど、コーヒー初心者のキミたちにはまだ早かったかな?」


 たぶん何回か飲めばハマるよ?


「かえでくんのコーヒーにはあらかじめ砂糖を入れてあります」


「えっ⁉」


 そうなの⁉


「かえでくんの好みはかえでくん自身よりも理解していますから」


「マジで……」


 知らなかった……。

 ボクはずっと砂糖入りのコーヒーを飲んでいたのか……。

 それなのにコーヒーのうんちくを語ったりして……恥ずかしっっっっっ!


「その顔! カエくん……今どんな気持ち? どんな気持ちぃぃぃぃ~?」


「楓ちゃんウケる~! マジウケる~! マジウケチョモランマ~! 顔真っ赤! 超かわいい♡ 楓ちゃんチュッチュ♡ 愛してる~♡」


 ユエユエとルーナちゃんが、ボクの大失態を見逃してくれるわけはなかった……。

 マジでやらかした……。


「カエく~ん? なんだっけ? ミルクや砂糖を入れるのは……邪道?」


「コーヒー豆はブラックでも甘いのさ。キリッ!」


「いや~ん♡ カエくん最高過ぎ!」


「やっぱり楓ちゃんしか勝たん!」


 ボクの周りを2人でグルグル回り、死ぬほど煽りに煽られる展開に……。

 恥ずかしすぎて穴を掘って地底人になりたい……。


「うっさい! 良いじゃん! おいしければ何でも良いんだよ!」


 レイー助けてよぉ! あいつらがボクのことを煽るんだよぉ。

 レイが淹れてくれたコーヒーは最高だって、それを言いたかっただけなのにぃ!


「そうです。かえでくんの言うことがすべて正しいです。コーヒーに正解の飲み方はありません。その人がおいしいと思う飲み方が正解ですから、お2人も好きなようにアレンジして飲んでみてください。そのために最高の素材をご用意したのです」


「レーイー!」


 ボクの味方はレイだけだよ!


「飲み方ね~。よくわからないな~。カエくんのちょっと飲ませて!」


「あっ」


 言うが早いか、ユエユエはボクのコーヒーカップを掴むと、躊躇なくそのまま口をつけた。


 間接キス……。

 反対側だからノーカン?


「こっちのほうがおいしい! レイちゃん、私のにも砂糖入れて! カエくんのよりもちょっと多めで!」


「かしこまりました。これくらいでいかがでしょうか?」


 レイがユエユエのカップにティースプーン4杯分のグラニュー糖を入れて、もう一度ユエユエの前に戻した。


「あ~、うん! この感じ! カエくんのよりもちょっと甘い……。カエくんのもう一度ちょうだい!」


「ああっ!」


 ボクのコーヒー!

 って、そっちはボクが飲んでいたほうの!


 ホントに間接キスになっちゃった!


「なんかおいしさが違う気がする……。甘さはこっちのほうが良いのに、カエくんのほうがおいしい気がする……」


 ユエユエが2つのカップを見比べながら首をひねった。


「そんなの簡単なことでしょ?」


 ルーナちゃんがユエユエからボクのカップを取り上げて口をつけた。


「ん~、おいしい♡ 楓ちゃんが口をつけたことで、楓ちゃん成分が溶け込んだからでしょ。そんなの最高に決まってるじゃない♡」


「なるほどね!」


 なるほどじゃないが……。

 ボク成分って何?


「そこに気づいてしまわれましたか。かえでくんが飲み終わった後のカップを使って、もう一度淹れたコーヒーこそが真の珠玉の1品。わたしはそれを『天使の口づけ』と呼んでいます」


 レイさん?

 あなたいったい何を言っているんですか?


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