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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第43話 ユエユエの名前の由来とは

 ユエユエの名前。

 たしか中国語で月のことを『ユエ』って読むんだよね。


 あれはたしかいつぞやのライブ終わりのこと――。



「七瀬さ~ん。キビキビ働いてる~?」


 美月が後ろから声をかけてくる。

 ステージ衣装から私服に着替え終わったようだ。ほかのメンバーの姿は……ないな。美月はまた振り返り会をすっぽかして、1人でフラフラしているのか。


「暇ならグッズを車に積み込むのを手伝ってくれ」


 今は絶賛ライブの撤収作業中。

 舞台装置のバラシは専門のスタッフたちにお任せだが、物販で余ったグッズやCDを片づけるのはマネージャーの仕事だ。これがわりと重労働……。台車を使って何往復もしないと、この積み上げられたダンボールの山は片づかない……。


「嫌よ。ケガしたら困るもん」


「はいはいそうですか。俺がぎっくり腰になったら救急車を呼んでくれよな」


 ま、最初から期待はしていない。

 これは俺の仕事だし。


「七瀬さんも年なんだから気をつけてよ~? 雑用係兼おもちゃ(マネージャー)がいなくなったらみんな淋しがるし~?」


「今ちょっとバカにしただろう? そういうのはすぐにわかるんだからな?」


 どうせ俺のことなんて、言うことを聞くパシリくらいにしか思っていないんだろうな。


「そんなことないって~。み~んな七瀬さんに感謝しているってば。愛してるぞ~、七瀬~!」


「そりゃどうも。ほら、仕事の邪魔だ。あっちいけ。しっし」


 美月はほかのメンバーがいないと、何でこうも軽口ばかりなんだ。誰かがいると緊張している? いや、そんなことはないだろうな。カッコつけたキャラづくりか? メンバーの前でそんなことをする必要はないか……。


「いてっ!」


 鋭い痛み。

 ケツに何かが刺さった⁉


 痛みの発生源を見ると……美月が手に持っている安全ピン……?


「おい! 何するんだ⁉」


「え~? 七瀬さんにも『ユエユエピンバッジ』をつけてあげようかな~って?」


 三日月型の小さなピンバッジ。

 わりと初期の頃に作ったグッズの1つで、もうあまり売れることがなく在庫が残っている状態だ。


「お前な……勝手に商品を開けるなよ。ちゃんと個数管理してるんだぞ?」


 後で在庫管理表の修正をしておかないと。

 余計な仕事を増やしやがって。


「しょうがないな~。お姉さんが奢ってあげるよ~。はい、800円」


 美月の手のひらの上に小銭が並んでいた。


「いや、『サンプル使用』か何かで修正しておくから、別に金は良いよ」


「良いの! 受け取って! ちゃんと私が買うから!」


「……まあそこまで言うなら伝票処理しておくが」


 レジも締めた後だから、どっちにしても面倒な作業ではあるんだが……。というのは言わないでおこう。きちんとしようとしてくれているわけだしな。


「じゃあこれ、七瀬さんにプレゼントね。今つけてあげるから動かないで~」


「だからなんでケツポケットに……」


「見えないところにつけたほうが、隠れファンっぽくて良いでしょ?」


「見えるところにつけて宣伝したほうが運営的にはうれしいが?」


「わかってないな~。特別感よ、特別感~。これで七瀬さんもユエユエファンですよ~と」


 なるほどわからんな。


「ところで美月はなんでファンの子たちに、自分のことを『ユエユエ』って呼ばせたいんだ?」


 わりと最初から自分でその愛称を推していたよな。

 メンバーは誰も美月のことを『ユエユエ』とは呼ばないが、ファンの間ではしっかり定着しているし。


「え~、私の名前『美月』だもん。生まれながらにして美しい月の私が『ユエ』って名乗っちゃダメ~?」


「いや、別にダメではないが……美月は芸名だろう」


「良いの良いの。ここでアイドルをしている私は『秋月美月』。みんなのことを月のように静かに照らす存在でいたいのよ」


 そう言って美月は小さく笑った。

 とても控えめな、普段からは考えられないほどやさしい微笑み。


「美月はどっちかというと≪BiAG≫の太陽のイメージだがな。暑苦しいくらいギラギラにみんなを照らして、たまに焦がしているくらいだと思うぞ」


「七瀬さんひどい~! 誰が暑苦しいのよ~!」


 腰をポカポカ殴ってくる。


「いてて。だから腰にダメージを与えるなって。ぎっくり腰になったらどうする?」


 ただでさえ中腰になってダンボールを積んでいるんだから、わりと腰の疲労がやばいんだぞ?


「意地悪な七瀬さんなんてぎっくり腰になっちゃえ~! せや~っ!」


 ケツに鋭いミドルキックが――。


「お……おおおお……おおおおお前ぇぇぇぇぇぇ!」


 今のはマジでちょっとグキッってきたぞ!


 膝をついて腰をさする。

 これは本格的に整体に行かないとヤバいかもしれん……。


「感謝の正拳突きニョロ~! ハ~ッ!」


 グキッ。

 

 野乃花ののか……お前……。


「あ、マネちゃん死んだし?」


「……死んでない」


 だが、完全にやっちまった……。


「カエルの轢死体の真似なンよ」


「カエルなんて敵じゃないニョロ~。いつだってヘビの勝ちニョロ~」


「誰か……起こしてくれ……」


 マジで動けん……。



* * *


 んー、そうか。

 思い出した。


「秋月美月って名前は芸名だったんだ……」


 じゃあ本名は……?


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