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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十四章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 -25~ #11編

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第26話 楓と≪BiAG≫なデートをしよう♡ その20~ユエユエ(5)

 真っ暗闇の中、ぼんやりと浮かび上がる蛍光テープの目印バミリを頼りに、セットポジションにつく。


 無音。


 観客たちの息遣いは聞こえてこない。

 

 無観客ライブ? 配信ライブかもしれないな。

 でも、そんなことは関係ない。

 今からやるべきことは1つ。


 すべての人を笑顔に。


 ユエユエを笑顔に。


『Only God knows.~その運命は誰が決めたのか』。


 ステージライトが一斉に点灯し、ボクたちを照らす。

 激しい点滅が繰り返される中、長い前奏パートが始まる。


 ああ、無観客のステージなんだね。


 始まりは、本来ならユエユエ1人の時間を止めて、ほかのメンバーが激しいダンスで神への祈りを表現する場面だ。


 それを今日はボク1人で表現する――。


 目印バミリの位置――センターポジション。

 ユエユエの真ん前に立ち、1人で踊る。


 普段なら≪BiAG≫の6人で作り上げるダンス。でも今日のパフォーマーはボク1人。誰かのポジションを代わりに務めるだけではパワー不足なのは明らかだ。

 

 それならば――。


 6人分以上のインパクトを!


 ここをボクの戦場とする。


 不動のユエユエにダンス勝負を仕掛ける。

 ド派手にブレイキンで勝負だ!


 いきなり大技でユエユエの度肝を抜いてやるぜ!


 アップロックで挑発もそこそこに、一気にスピン系の技で勝負だ!

 ヘッドスピンからのウインドミル。

 ボクの体が小さいからって甘く見ないでよね!

 ダンスを大きく見せるには、足の開きが大事だって!

 

 からのー、床に手を着いて、ベビィスワイプス!


 最後はつぶれてチェアーでフリーズ!


 どうだ⁉



 普段ならうつむいて目を閉じたままで待機するはずのユエユエが、顔を上げてボクのパフォーマンスを見ていた。


 けれど、無表情。


「Only God knows.」


 ユエユエがウィスパーボイスで呟き、Aパートが始まる。


 くぅ、ユエユエは笑顔にならず!

 ボクのパフォーマンスをユエユエの心に響かなかったか……。いやいや、落ち込んでいる暇はない。ここからが本番だ。


 Aメロ。

 ユエユエのソロパートが始まる。

 

 えっ、まさかユエユエもブレイキン⁉

 歌いながらそれは!

---------------------------------

 大人が言ったことが正しいのか

 年上がえらいなんて誰が決めた

 神様だって間違うことがあるんだ

 ボクたちは自由だ


 だって 大人も昔は子ども

 今だっておっかなびっくり生きている

 何が真実かなんて誰もわからない

 自分自身で決めろ

---------------------------------


 マジか、この人……。

 さすがにそれはありえないでしょ。

 こんなに激しく踊りながら、一切声にブレがない。

 ボクがやったのは前奏のパートで歌がなかったからだぞ……。



 Bメロ。

 今度は2人で。


 セッションダンス?

 ブレイキンで同時に踊るなんて!

 いや、でもなぜだかわかる。

 ユエユエがどう動こうとしているのか、一瞬手前に視線で知らせてくれている。

---------------------------------

 運命なんて言葉で片づけるな

 それはうまくいかない自分を騙す麻薬

 自分の人生は自分でつかみ取れ

 神に頼ろうとするな

 

 だけど 独りで苦しいなら

 周りを頼ったっていいんだ

 ボクたちは仲間だ ボクはキミだ

 Only God knows.

---------------------------------


 これがホントのユエユエなのか。

 ユエユエの世界に引き込まれていく。


 違う。

 最初からボクはユエユエの世界にいたんだ。

 そんな気持ちにさえなってくる。

 

 ああ、心地良い。

 ずっと踊っていたい。

 ずっとここにいたい。

 ずっと一緒にいたい……。



 サビへ。


 恍惚の時。

 ボクが笑ってどうするんだよ。

---------------------------------

 その運命は誰が決めた?

 自分で決めていないなら

 そんなものは捨ててしまえ

 決定を他人ひとに委ねるな


 その運命は誰が決めた?

 自分で踏み出す一歩に

 ホントの価値があるんだ

 怖がらなくていい さあ


 Only God knows.

---------------------------------


 フリーダンス。

 いや、もうずっと最初からフリーではあるんだけどね。

 ここまで全部、基本の振り付け無視しているし。


 さあ、ユエユエはどうする?


 ユエユエの想い描く『運命』は?


『運命』とは何なのか。『運命』を決めるとはどういうことか。


 人を笑顔にする。

 そして自分を笑顔にする。


 その『運命』をつかみ取るためには――。



 えっ?



 ユエユエが、後ろからボクのことを抱きしめる。

 それはそれはやさしく。


 肩にあごを乗せ、語りかけるように歌う。



 その表情は――。


 微笑んでいた。


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