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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十二章 定期公演 ~ Monthly Party 2024-25 ~ #9編

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第18話 【非公式】七瀬楓誕生祭2025 その2~……誰? ルーナちゃん?

 会議室のタイマーが鳴り、ルーナが現れた。


「はい、海ちゃんの番は終了ね~! 審査結果は後ほど発表しま~す」


 大暴走をしていたバーサーカー・ウーミーは、ルーナに首根っこを掴まれて会議室の外へとつまみ出されていった。


 あっさりと排除されてしまった……。

 今のはなんだったんだ……。


「ルーナちゃん、やっぱりいたんじゃん……。無視しないでよ。まあいいか……。ところで審査結果って何?」


 絶対何か良からぬことを企んでいるよね。

 またボクに内緒で……。


「いいのいいの~♡ 楓ちゃんは主役なんだから楽しんでね♡」


 主役……。

 そしてここは誕生日会の会場……。


 つまりこれはボクの誕生日会の出し物的な何かってことなのかな。


「楓ちゃんはそこに座ってね。目の前のジュースやお菓子は好きにして良いから! は~い、エントリーナンバー2の人~」


 でもこの感じで続くとすると……かなりしんどいんですけど……。

 とりあえず乾いた喉潤し――。


「私ですよ~」


 登場したのはメイメイだ。

 少しホッとする。

 メイメイならさっきみたいなことにはならない、よね……。


「あとは若い者同士でごゆっくり~♡」


 ルーナが流し目でウィンクを決めながら、虚空へと消えていった。

 仲人のおばさんか!


「じゃ~カエくん。改めてお誕生日おめでとうですよ~」


「ありがとうね。ボクもやっとメイメイと同じ年になれたよ」


 メイメイの誕生日は12月25日。ボクの誕生日は1月7日。

 この13日間がとってもつらかった。メイメイがすごく遠いところに行ってしまったように感じていたよ。


「18歳になったことだし、キスでもしとく~?」


 メイメイは席につかずに、ボクの首に手を回してくる。それから目をつぶり、唇を突き出してきた。


 ……違和感ありまくり。

 メイメイはこんなことしないし。


「……誰? ルーナちゃん?」


 絶対メイメイ本人じゃないよね。


「あっさりバレちゃった♡ 正解のご褒美にチュ~♡」


 一瞬微笑んだ後、さらに唇を突き出して迫ってくる。


「やめなさいって! メイメイの顔でそういうことしないで!」


 メイメイは絶対そういうことをしないの!

 ボクの推しアイドルを汚さないでよね!


「楓ちゃんは、早月ちゃんじゃなくて、ルーナちゃんとキスしたいってこと?」


「それも違う……」


 なんでどっちかとキスする前提で話が進むのさ……。


「でも海ちゃんとはキスしたくないんでしょ? おっぱい攻撃は喜んでたのに~」


 なるほど、そういうことか……。


「さっきの暴走したウーミーもルーナちゃんの仕業か……」


「バレちゃった♡ ごめ~んね♡ あ、でもちょ~っと焚きつけただけで、さっきの海ちゃんは本物だよ~」


 楽しそうに笑っている。相変わらずメイメイの顔のままで。

 ぜんぜん反省する素振りがない。

 

「今度は本物の早月ちゃんを連れてくるから、誕生日会楽しんで~」


「あ、ちょっと!」


 また消えた……。

 まったくなんなのさ……。



「カエく~ん」


 入れ替わるようにしてメイメイが姿を現す。

 今度は本物のメイメイなのかな……。怪しい……。


「なんですか~? そんなに睨まないでくださいよ~」


「メイメイは……本物のメイメイ?」


「私は私だよ~。カエくんのお誕生日をお祝いにきましたよ~。感謝してよね~」


 メイメイ(本物?)は迷わずボクの正面の席へと座った。

 と同時にノータイムでポテトチップスの袋をパーティー開けして両手で鷲掴みにしていく。


 あ、これ、本物のメイメイだわ。

 このお菓子の食べ方。それにボクと2人きりの時だけ、なぜか敬語とため口が混じるしゃべり方。あと若干お姉さんぶってくる雰囲気。


 間違いない。

 これは本物のメイメイだ!


 ポテトチップスをぺろりと1袋完食した後、ウェットティッシュで指をきれいに拭いていく。


「はい、プレゼントですよ~」


 メイメイがテーブルの上に置いたのは、赤と緑――クリスマスカラーの毛糸の手袋だった。


「これは……もしかして手編み?」


「そうなの~。最近編み物にはまっちゃって~」


「えへへ」と笑いながら、後頭部を掻く。


「手編み! こんな素敵なものをもらっても良いの? 神様に捧げたほうが良いかな?」


 ボクがいただくなんて恐れ多すぎるよ。

 メイメイの手編みの手袋なんて、世界で最も尊い宝物なのでは⁉


「そんなことしないで普段ちゃんとつけてよ~。1番上手に編めたのを持ってきたんだよ~?」


 唇を尖らせて責めるような口調で言う。

 

「1番上手にって……たくさん練習したの?」


「私だって最初からうまく編めるわけじゃないよ~。いっぱい練習したんですよ~」


 その失敗した手袋も全部ほしい……。

 なんて言ったらキモがられるから言わないでおこう……。


「でもカエくんなら、『全部ほしい』って言うだろうな~って思って、残りの手袋も持ってきましたよ~」


 どこに持っていたのか、大きな紙袋をボクの目の前に置いた。


「これももらっても……いいの?」


「失敗作だから、穴が開いてたり~、指が6本あったりするから使えないよ~?」


「いいの! メイメイの手作りだったら全部ほしい!」


 切り捨てた毛糸のかけらだってほしい!


「これをあげる条件は、その1番上手に編めた手袋をちゃんと使うこと~。いい~?」


「はい! わかりました! おはようからおやすみまでずっとこの手袋をつけると誓います!」


「春になって暖かくなったら外してくださいよ~」


「やだ! もう一生外さない!」


 メイメイからもらったものだもん!

 この手袋をボクの皮ふ代わりとする!


「やっぱり返して~」


「え~!」


 あっさり取り上げられるボクの新しい皮ふ……。

 そんな殺生な……。


「カエくんが変なことばっかり言うし~、やっぱりこれはレイちゃんにあげようかな~」


「大事に使います! 寝る時とお風呂の時とトイレの時ははずします! 暖かくなったら大事にしまいます! 一生大事にします! だからボクにください!」


 どうかどうかお願いします!


「え~、そこまで言うなら~、はい! お誕生日おめでとうですよ~」


 再び手渡されるボクの大切な皮ふ(クリスマスカラーの手袋)。


「ありがとう!」


 絶対大事にするね!


 ピピピピピピ。

 タイマーの音がする。


「は~い、早月ちゃんの番は終了で~す! 審査結果は後ほど発表しま~す」


 ……だから審査結果って何さ。


「じゃあね~。カエくんまたあとで会いましょう~」


 メイメイが手を振りながら会議室から出ていってしまう。


「ああっ、メイメイ! またね!」


 握手会で、まだ話足りないのに剥がしにあった気分……。


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