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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十二章 定期公演 ~ Monthly Party 2024-25 ~ #9編

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第10話 ハルルからの果たし状再び

『明日の朝6時。ビル横の公園に来られたし』


 昨日の夜、ハルルから手渡された果たし状。


 例のごとく手書きのやつを無言で。この感じひさしぶりのやつだわ。

 なんかめっちゃ無表情で怖かったな……。


 元日は超早起きして初詣に行ったし、今日は寝正月したかったのになあ。


 でもわざわざ手書きの果たし状を渡してくるってことは、前の時みたいにかなり思いつめた何かがあるってことだし、行かないわけにはいかないよね。

 あの時は、もうこのままアイドルやめるんじゃないかってくらいに思い詰めていたし……。



「レイ、起こしてくれてありがとう。ちょっと行ってくるね」


「気をつけていってきてください。なにかあればすぐにかけつけます」


 コーヒーカップを下げながら、レイが言う。

 何かあれば、ってすっごく物騒だし、フラグっぽいんだけど……。


「まあ、ハルルが相手だし、別に危ないことは何もないと思うけどね」


「それならいいのですが。窓の外を黒ネコが。急に靴ひもが」


 部屋のカーテンは締まってるし、ルームスリッパに靴ひもはないでしょ。

 なんでフラグ立てようとしてくるかなあ……。

 

 ボクはちゃんとマネージャーの仕事をしに行ってきます!

 迷えるアイドルの相談に乗るものマネージャーの仕事のはずだから!


「花子が起きて、ボクがいないと泣き叫ぶかもしれないからよろしくね」


 昨日も朝はかまってやれなかったし、ホントお願いね。



 と、後ろ髪を引かれる思いで部屋を後にする。

 まだこの時間にエレベーターに乗る人は少ないからなのか、エレベーター待ちで時間をロスすることもなく、すぐにビルの1階まで降りられた。


 時計は……5時55分。

 5分前に公園に到着!

 社会人としてバッチリだね!


 えーと、まだハルルは来ていない。

 しっかし、日の出前だとめっちゃ寒い……。

 もっと厚着をしてくれば良かったかも。


「か、カエデちゃん……」


 ハルルの声がする。

 でも姿は見えない。


「ハルル?」


 キョロキョロと辺りを見回してみても、やっぱりハルルの姿はない。

 空耳かな?

 ハルルはレイみたいに念話が使えるわけでもないし。


「カエデちゃん……」


 やっぱり聞こえる。

 こっちほうから?


 公園の入り口から奥のほうへ進む。


「あ、いた。こんなところでどうしたの――ってその格好⁉」


 大きな木の陰に隠れていたハルル。

 そこから小声でボクを呼んでいたみたいなのだけど、そんなことよりもハルルの格好が予想外だった。


「振袖……?」


「カエデちゃん……あけましておめでとう。着物を着てみたの……どう、かな?」


 外が寒いからなのか、少し照れているのか、頬と鼻と耳を赤くしながら、ハルルは呟くように言った。


「えっと……あけましておめでとう! とっても大人っぽいね! びっくりしたよ!」


 着物の色はメンカラーの赤。

 でも明るい赤ではなく、ワインレッドっていうのかな、とても落ち着いた赤色の生地に、金色の花の模様が描かれていた。


「そ? 良かった……」


 ボクの反応に安心したのか、ハルルは小さく微笑んで視線を地面に落とした。


「えっとそれで……」


 この姿を見れば呼び出された理由を尋ねるのは野暮だ。


 ハルルは初詣に行きたかった。

 でも、昨日の初詣には誘われていない。

 だから改めてボクを呼びだした。


 そういうことだよね?


「あー……ボクも着替えてこようかな……一瞬待てる? あ、ここだと寒いし、ビルに入ってロビーで」


 無言で頷くハルル。

 ボクたちは連れ立って本社ビルの中へと戻っていく。


 初詣、行きたかったんだね。

 昨日ハルルも来れば良かったのに。


 なんて言葉はかけられない。


 レイがハルルのことをなぜ呼ばなかったのか。

 それが答えなんだと思う。


 メイメイだけに声をかけて3人で……まあ途中でルーナが合流し、さらにウタが合流して最後は5人になっちゃったけど、なぜそのメンバーだったのかも、レイにあえて尋ねたりはしなかった。


 ボクたちは別に仲が悪いわけじゃない。

 きっと一般的なアイドルグループと比べたら、すごく仲が良いグループだと思う。


 でも連れ立って初詣に行ったりする習慣はない。

 休日全員で連れ立って遊びに行ったこともない。


 なぜだろうね。

 みんなのことを家族のように大切に想っているけれど、いつでも仲良しこよしでべったり一緒っていうのも違うと思うんだ。


 適度な距離、適度な小グループ。

 別にそれでも良いんじゃないかなって。


 ずっと一緒に居過ぎると苦しくなってしまった時に逃げ場がないからね。


 ハルルだって昨日のメンバーと一緒に初詣に行きたかったんじゃなくて、ボクと初詣に行きたかったんだよね。うぬぼれじゃなく、きっとそうなんだと思う。


 だから今日で良いんだと思う。



 部屋に戻ったボクに、レイは何も訊かなかった。

 ただ「全自動お助けモードを作動させますか?」とだけ。ハルルの着付けだってきっとレイがやったんだと思うし。


 レイに振袖を着せてもらって、ボクはもう一度ロビーへと降りる。

 花子がまだ寝ていてくれて助かったよ。



「ハルル、お待たせ」


 小走りでハルルのもとへ向かう。

 着物&草履での移動に少しは慣れてきたかな。


 ボクの声を聞き、ハルルが笑顔で手を振ってきた。


「ううん、ぜんぜん待ってな……カエデちゃん、どういうこと?」


 ん?

 なんだか表情が急に曇ったぞ?


「どうしたの? ボクの着物姿、変だった?」


 昨日はこのひまわり柄の振袖、けっこう好評だったんだけどな。

 もしかして、走ってきたからどこか開けたりしている?


「カエデちゃん……うしろ……」


 うしろ?

 と、ハルルが指さすほうに振り返る。


「あけましてギャラクシー☆」


 ナギチ、何でいるの⁉

 しかもそのファンキーなロケット柄の振袖姿はいったい何⁉


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