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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十二章 定期公演 ~ Monthly Party 2024-25 ~ #9編

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第9話 心を1つに。二礼二拍一礼を

 ボクの救難信号を受けて、ウタがわざわざ本社ビルから駆けつけてくれたのだけど……。わりとガチで怒っていらっしゃる……。


「まったくあなたたちはいつもいつもトラブルばかりね……」


 と、大きなため息。

 正座……は外で着物なので、さすがに許してもらえたけれど、背筋を伸ばして気をつけの姿勢を崩せない!


「ホントにごめんなさい。って、ちょっとみんな⁉ なんでボクだけ謝っているの⁉ ボクは完全に被害者側なんですけど⁉」


 呼びかけても全員無視⁉


 ボクの謝罪の様子を動画で撮影しているメイメイ。

「つーん」の顔で我関せずのレイ。

 ボクの頭の中に逃げ込んだまま出てこないルーナ。


 ずるいじゃん!

 おかしいじゃん!

 

「言い訳しない! 見苦しいわよ!」


「ごめんなさい……」


 でもボクは何も……。

 最初に騒いだのはルーナだし、『チュ~チュ~タコかいな』を出したのはレイだし、その様子を撮影してSNSに上げてたのはメイメイだし……。


「あなたたちは正月くらいおとなしくできないのかしら? そんなことだったら、全員の外出許可を却下するわよ」


『アハハハ、吸血鬼女に怒られてるんだ~』


 頭の中にルーナの煽るような声が響いてくる。

 くそぅ。怒られているはずの張本人が……。なんとかして、頭の中から引きずり出す方法はないものか……。


「ルーナ! あなたにも言っているのよ! 今すぐ出てきなさい!」


『ヤダぴ~。吸血鬼女の言うことなんて聞かないよ~だ!』


 いや、それは直接本人に言って?

 ボクの頭の中で言ってもウタには聞こえないし、ただの独り言だからね?


「全部聞こえているわよ」


 聞こえてるの⁉

 あ、ウタの耳に入っているのってインカム?

 もしかしてそれでボクの頭の中と通信を繋いで?


「ルーナ……私に楯突こうとするなんて良い度胸ね。すぐに出てこないなら、今から強制排除するわ」


 強制排除⁉

 何されるの……。めっちゃ怖い……。

 ルーナちゃん、素直に従っておいたほうが良いと思うよ。たぶん今ならまだ許してくれるって。ボクも一緒に謝ってあげるからさ……。


『……ホントに?』


 うん。

 だってさっきの、認識疎外をかけて、メイメイの撮影にファンの人たちが集まらないようにしてくれた時のお礼がまだだったからね。


『わかった。謝る』


 良い子だ。

 そういう素直なところは好きだよ。


 と、ボクの頭のてっぺんから何かが抜け出るような感覚。

 気づけば、ピンクの着物姿のルーナが隣に立っていた。


「騒いでごめんなさい……」


 小さな声で呟くように謝る。


「ルーナ。外出したいならちゃんと届を出しなさい。今のあなたは研究室預かりなんだから、実質的に、私の管理下にあるのよ」


 そうだったんだ?

 まあAIプログラムだし、ウタが管理していることに違和感はないかあ。


「だって外出届を出したら楓ちゃんにバレちゃうでしょ? サプライズでついていきたくて……」


「大丈夫よ。楓の端末には、全員に即時周知が必要な情報以外は基本届かないようにフィルタリングをかけてあるから。即時性のない情報は、零さん経由で渡ることになっているから安心なさい」


「なんだって⁉」


 やっぱりボクだけ知らされていない情報があるってこと⁉

 レイ、どうなってるの⁉


「なんのことでしょうか」


「いや、レイを経由してしか情報が来ないって……」


「何を言っているのかよくわかりません」


「え、でも、だってウタが……」


 この話、絶対レイも関係しているでしょ!

 

「そろそろわたしたちの参拝の順番がきそうです」


 あ、ごまかした!

 ちょっとレイさん⁉


「悪いわね、私が後から来たばっかりに並び直しさせてしまって」


「ホントだよ~。吸血鬼のお邪魔虫~」


「ルーナの外出届を今から却下しようかしら。私の機嫌を損ねるようなことがあったら強制送還してもいいのよ?」


 ポケットから何やら怪しげなボタンを取り出して、ルーナの前にちらつかせている。見るからに怪しい……まるで自爆スイッチのボタンみたいな……。


「ごめんなさい……。吸血鬼が来てくれてうれしいです……」


 ルーナが素直になった!

 それって、どれだけヤバいボタンなの? どう見ても、外出届を却下するだけじゃないよね?


「みんな~、私たちの番ですよ~。早く行きましょうよ~! カエくん、お賽銭くださいな」


 メイメイが本坪鈴に垂らされた麻縄手をかけながら言う。


「えっ、ボクが出すの⁉」


「私、着物だからお財布持ってないですよ~」


 いや、ボクも着物なんだけど……。

 しかたないなあ。

 いくら入っていたかな。都合よく5円とかあれば良いけど。


 と、巾着袋から財布を取り出して小銭を確認しようした瞬間、メイメイがすばやくボクの財布ごと奪い取ってくる。


「ちょっ!」


「お正月だし~、奮発して1万円ですよ~」


「えっ、それはボクの今月分のお小遣い! やめて~!」


「楓! 神様の前では静かにしなさい。みんなも、まずはお賽銭を入れてから鈴を鳴らすのよ。混んでいるから鈴は代表して早月さん、お願いね」


「は~い。お賽銭を入れますよ~」


 ああっ、ボクの1万円!


「カランコロンカラ~ン」


 メイメイ、それは喫茶店の出入り口のやつだから!

 鈴の音は口で言わないで、ちゃんと紐を揺らして鳴らして!


 ジャランジャランジャラン。

 今度はちゃんと神社の鈴の音が辺りに響き渡る。


「早月さんありがとう。それではみんなで合わせて2回頭を下げてから、2回ゆっくりと拍手よ。それから各自お祈りをしてから、最後にもう一度頭を下げて終わり。良いわね?」


 心を1つに。

 二礼二拍手。


 どうか今年1年、みんなが健康に、楽しく活動できますように。

 あわよくばたくさんのファンが増えて、メイメイが笑顔になれますように。

 それから、武道館ライブを実現できますように。


 一礼。

 


 もう1つだけお願いできるなら……まだ消えたくない……です。 



「さあ、おみくじを引いて、お守りを買ってから帰りましょうか」


「ウタちゃん、甘酒飲みたいです~?」


「いいわよ」


「やった~! おでんは~?」


「まあ、いいわよ」


「やった~! わたあめは~?」


「早月さん、あなたお祭りと勘違いしていないかしら?」


 お正月くらい好きなものをいっぱい食べよう!

 何て言ったってお正月だからね、少しくらい浮かれても、きっと神様だって赦してくれるよ。


 でもボク、今月分のお小遣いないよ……。


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