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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十一章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #8編

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第6話 パジャマパーティー in スイートルーム(3)

「≪初夏≫は他のアイドルとは次元が違うのだということを見せつける必要があった」


 次元が違うアイドルときましたか。

 それは≪BiAG≫みたいに、ってことですか?


「楓の言いたいことはわかるぞ。だが違う。≪BiAG≫よりもずっと高みへ、だ。あれは道半ばでとん挫したプロジェクトだからな」


 ≪BiAG≫が道半ばだった、と。

 ホントに? グループとしての完成を見たから解散したんじゃないのか……。


「道半ばだったんですか? いったい≪BiAG≫はどこを目指していたんだ……」


 確かに活動期間は短かった。それでも間違いなく、アイドル界のトップに君臨していた。アイドルに興味がない人まで≪BiAG≫のことを認知していた。そう記憶……記録されているのを見た。

 あれが誇張ではないのなら、あの人気絶頂の時の≪BiAG≫を≪初夏≫が超えるには乗り越えなければいけないハードルがいくつもありそうだ。


「あれはすでに終わったことだ。今さら私の口から何かを語ることはない」


 無感情。

 麻里さんは≪BiAG≫のことを“あれ”と呼んだ。麻里さんと≪BiAG≫は、いったいどんな関係だったのだろう。


 以前麻里さんは、秋月美月さんとは古くからの友人だと語っていた。

 幼馴染みなのかな、とか勝手な想像をしていたけれど、ホントにそうだったのだろうか。

 おそらく年齢は近そう。つまり当時の麻里さんは今のボクたちと同じくらいの年齢のはずなんだよね。普通に考えたら学生。もしこの会社でアルバイト的なことをしていたとしても、さすがに今のような立場で仕事ができるわけはないだろうなあ。やっぱりマネージャー業を? うーん、なんでここまで≪BiAG≫の事情に詳しいんだろう。


「秋月美月さんとは、よくそういう話をしたんですか?」


 麻里さんは何も答えなかった。

 シオが首をすくめる。


 まあこうなっちゃったらお手上げですかね。

 この話は終わり。もう話すことはない、と。


「OKOK。わかりました……。質問を変えます」


 まだ聞けていないドームのことを深堀して聞きましょうか。


「1年後2年後にお披露目予定だったとして、このドームって、それでもいろいろとやり過ぎじゃないですか? 商業施設として見ただけでも、先進的すぎますよ」


「そこは……私の趣味だな」


「趣味ぃ?」


「凝り性なんだよ。研究者だしな」


 人差し指で鼻の下を擦る。


「さすがにそれで『はいそうですね』とはなりませんよ……。じゃあ、わざわざ地下深くにドームを作ったのも趣味ですか?」


「秘密基地みたいで良いだろう?」


 中二病か!

 まあかっこいいけどね?


「ではアイドルのライブとは一切無関係に思える、植物の地下栽培工場や代替肉の研究施設があるのはなぜですか?」


「地球温暖化などを見越して、次世代の食糧確保のための研究をだな」


「違うでしょ。さすがにわかりますよ。ここの目的って、ぶっちゃけ地下シェルターですよね?『災害マニュアル』なんて大層な名前つけて、ミサイルやら地雷やら……いったい何の災害を想定しているんですか?」


「あらゆる災害に備えているだけだよ。備えていなければ対処することはできないからな」


「全部とは言いませんけど、この施設って明らかに非合法なものが多いですよね。だからここに警察も立ち入らせたくなくて今回のネットワーク乗っ取りももみ消そうとしている。そこまでしていったい何と戦う気なんですか……」


 麻里さんが押し黙る。

 シオもレイも一切言葉を発することなく、麻里さんの動向を窺っていた。


「わからない……」


「わからないって何がですか? 想定している敵のことですか?」


「何に備えればこれから起こるすべてのことに対処できるのかわからないんだ……。何度も何度も。どれだけ備えても足りない……。何が足りない……」


 麻里さんは何を言っているんだ?

 

「私は自分1人で何とかしようとし過ぎていた。それが失敗の原因なのだと仮説を立てた。だからこそ、今回の鍵はお前だ」


 ボクの両肩を叩き、真っすぐ見つめてくる。


「ボク、ですか? なんの?」


「私が持たないもの。持ちえないもの。取るに足りないと切り捨てたもの。それをわざわざ拾い集めて、私の目の前に並べて、全部必要だと証明したのはお前だからな」


 いったい何の話ですか?


「ああ、そうだった。お前はあっさりと再現してみせたな。それすらも予定されていたことなのか……もう私にはわからん。だが、進んだ。明らかに良い方向に進んでいる。だからこれでいい。私もこのまま進む。そのために計画を前倒ししたんだ」


 まったくわからない。

 麻里さんは何を言っているんだ。

 誰か解説を――。


 レイが口を開いた。


「かえでくんは正しい。つまりはそういうことですね、師匠」


「ああ、そうだ。備えは私の役目だ。すべてを使い、お前はお前の使命を果たせ。やりたいことをやれ。それでいい」


「えーと、はい……?」


 つまり今まで通りってこと?

 それで合っているの? ぜんぜんわからないんですが……。


「私は認識を改めたよ。アイツはあの時の敵とは違う。もはや私と同格になった。全力で対処する。すべてを手に入れ、先に進まなければいけない」


 ボンバー仮面V3との全面対決を宣言したに等しい。

 

 得体のしれない敵。

 未だ全容がつかめない敵。


 麻里さんが本気になった瞬間だった。


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