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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十一章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #8編

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第5話 パジャマパーティー in スイートルーム(2)

「では全員揃ったところで話を始めようか」


 麻里さんがペットボトルのお茶に口をつける。

 釣られてボクもお茶を1口飲んでしまった。

 ……シオ、ベッドの上でポテチを食べると粉が散らかるよ。レイが飲んでいるのは何ですか? カクテルグラスなんてオシャレな……ノンアルコールカクテル? そんなの自販機で売ってた? ちゃんと0.00%ですよね?


「と言ってみたものの、どこから始めるか……」


 麻里さんが1人ずつボクたちの顔を眺めてくる。

 どこからでしょうねえ。隠していることを洗いざらい聞きたいところですけど、とりあえず今は直近の問題を確認したいので、それについての経緯説明を求めたいところ。


「それじゃあ、このドームを作った目的辺りからとかどうですか?」


 あきらかにここの設備はオーバースペックですけど、それに対する納得のいく説明を聞きたいところですね。


「それは防犯上の観点から、レンタルではない≪初夏≫のライブ会場を用意しようと思ったのがきっかけだな」


 それが表向きの理由なのはわかる。

 古くからある施設、そして既設のオープンなネットワークを使っていては、守れるものも守れない。それはそうでしょう。


「だったら本社ビルのレッスン場からでもオンライン配信すればいいじゃないですか。そっちのほうがよっぽど安全でしょう?」


 もともと広大な私有地のど真ん中にあって、関係者以外立ち入り不可なわけですし。


「せやな~。あっこのビルは物理的にも仮想的にもそう簡単には手が出えへんはずやもんな~」


「本社ビルでオンライン配信を続けながら、ボンバー仮面V3の脅威を取り除いて、そしてまた代々森やそれこそ武道館でライブをしたらいいんですよ。それなのに、いきなり専用ドーム? しかもキャパ7万人って」


 立地はあまり良くないですけど、宿泊施設やら温泉施設やら充実しすぎているし、1アイドルグループがライブをやる場所にしては、オーバースペックすぎるんですよ。


「子グマのマスコットもいますし」


 レイさん、寝ている花子にいたずらしないように。


「ああそうだな。ちゃんと話すと言ったからには全部説明しよう」


 麻里さんがベッドの上に立ち上がる。


「私もこのドームのお披露目はまだ早いと思っていたんだ。今から1年か2年か、それくらい後の予定だった。あの5人が人気を確かなものとし、武道館をワンマンで軽く満員、そして全国ドームツアーを成功させ、その次の話題作りとしてお披露目する計画だった」


「武道館……ドームツアー……」


 そんな計画が。


「ボンバー仮面V3なる人物によるテロ行為によって、計画に狂いが生じてしまったのだよ。むろん良い方向にな」


「良い方向……ですか?」


 いやいや、悪い方向の間違いですよね。


「いいや、良い方向だよ。いつか言っただろう。アイツのおかげで、本来なら1段ずつ登らなければいけなかった階段を何十段も飛ばして駆け上がった。一気に世間の注目を集める存在になった」


 ああ、はい……。

 奇しくも≪BiAG≫の伝説のパフォーマンスの時と同じように、ね。認めたくないですけどね。


「仮に今、有人ライブを開催したとしたら、武道館のキャパ1万4000人はあっさりいっぱいになるだろう。ファンクラブ優先チケットでさえ、それ以上の枚数を必要としているのだからな」


「今のファンクラブ入会者数は3万人を超えていますから、まあそうですね」


 いつの間にか、かつての目標だった武道館は手の届く現実のものになっていた。

 ボクがここに存在する理由も、ほぼ達成されたことなるわけだ。


「イレギュラーな事件が起き、目標が変わった。ただそれだけだよ。だから楓の仕事は終わっていない。そうだな?」


「はい、そうですね。ボクにはまだやりたいことがある。ボクの目標は達成されていない」


 まだ満足していない。

 だから消えたりしない。


「世論は≪初夏≫に同情的でありながら、どこか懐疑的な目を向けているのまた事実だ。『事件のおかげで知名度が上がっただけ』『オンライン配信の演出によって高いパフォーマンスを発揮しているように見ているだけ』『実は生で見たらたいしたことがないのではないか』とな」


「そんなことないのに……。ほぼリアルタイムにライブの映像は流しているし、オンライン配信ならではの演出なんてぜんぜん……」


「それはうちらしか知らんしな~。『スッピンでも美人です~』なんて自分たちで言えば言うほど怪しく感じるもんやで」


 シオがカラカラと笑う。

 まあ、それはそうでしょうよ。

 だから早く有人ライブをやって証明したい。≪初夏≫はホントにすごいんだぞって、みんなに見せつけたい。


「そのためには、計画を年単位で前倒してもこのドームをお披露目する必要があったんだよ。≪初夏≫は他のアイドルとは次元が違うのだということを見せつける必要があった」


 次元が違うアイドル……か。


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