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ボク、女の子になって過去にタイムリープしたみたいです。最推しアイドルのマネージャーになったので、彼女が売れるために何でもします!  作者: 奇蹟あい
第十章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #7編

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第36話 定期公演#7 その9~海と詩のドキドキ♡ファッションショー(6)(終)

 ボンバー仮面V3が、自ら真っ黒なヘルメットに手をかけた。

 ついにその素顔を晒す――。


 艶やかな黒髪がヘルメットの下から零れ落ちる。

 頭を振り、手櫛で髪を整えたその素顔は――蝶の仮面をつけた美女。

 口元に微笑を浮かべ、会場全体に向かって手を振っている。

 まだ素顔を晒す気はないらしい。


 だけど、あの顔はどこかで……?


【いかん! 配信中止。……なぜだ。コントロールを受けつけない! まさか私のほうが遅れを取ったというのか⁉】


 麻里さんが叫ぶ。

 これは異常事態だ!

 何かしなければ。

 みんなの避難誘導か! 舞台袖から控室に戻ってきていない。どこだ⁉


 あ。思い出した。


 あの人は――。


『18年の時を経て、私は戻ってきた。迎えに来たよ、ユエユエ』


 ボクの脳内にあの言葉が響いてくる。


 ボンバー仮面V3は、蝶の仮面をつけたままカメラに向かって笑っていた。

 


 そうだ、あの人は……


 秋月美月さんだ――。


 伝説のアイドルグループ≪Believe in AstroloGy≫の不動のセンターだった人。

 そしてメイメイのお母さん。


 あれは秋月美月さんだ。

 そう確信するとともに、さっき麻里さんが言っていた『そこには誰もいない』という言葉の意味を理解する。


 もう亡くなっているのだから、今ここに、現実に秋月美月さんが存在するわけがない。

 だって今、目の前に見えているその姿は、動画で見た若い頃のままだもの。もし何かの勘違いで、今も秋月美月さんが生きているのだとしても、18年分年を取っていなければおかしいわけだし。


 ホログラムか何かか……。


 ああ、そうか。

 このドームはもともと≪BiAG≫と≪初夏≫のコラボイベントを開催するために設計されているんだった。≪BiAG≫のバーチャルアイドル化。つまりこのステージには、本物と見間違うほど精巧に3DCGモデリングした立体的な秋月美月さんを投影する仕組みが備わっているのだ。


 麻里さん、やられちゃったね……。

 どうやらボンバー仮面V3は、20%のほうを引いてきたらしい。

 直接攻撃を仕掛けると見せかけて、システムの乗っ取りが本命だったってことだ。


【くそっ……。私が直接指揮を執っていながらこんな失態を……すまない……】


 麻里さんの悲痛な呟きが会場に響き渡る。


 ほどなくしてコントロールを取り戻したボクたちは、配信を中断した。

 今は『機材トラブルのため、配信を中断しています。しばらくお待ちください』の文字が、配信画面に流れ続けている。


 とりあえずコントロールは取り戻せましたけど、どうしますか?

 このあと定期公演再開できそうですか?


 いつも間にか控室に戻ってきていた≪初夏≫の5人とウタが不安そうな目でボクを見ていた。


 うーん。

 みんな、この精神状態では無理か……。


【中止の方向で調整しよか……】


 シオの声。

 コントロールルームで直接麻里さんの様子を見ての判断なのだろう。

 ≪初夏≫のみんなも、麻里さんもショックが大きそう……。


 中止もやむなしか……。


 この状況で1番悔しそうなのはウタだった。

 ボンバー仮面V3対策のためにマネージャー業を離れてまで対応してきたのに、また負けてしまった。

 しかも今度は、麻里さんが直接対峙して負けた。

 この事実は重く受け止めなければいけない。


 控室を支配する重たい空気。


 ボクたちがアイツに勝てる日は来るのだろうか。



「ダメ……。ここで中止なんて絶対にダメ!」


 重苦しい空気、中止を受け入れつつあった空気を切り裂くように、ハルルが叫んだ。


「ハルちゃん! 私たちはテロには屈しない!」


「そうですわ! わたくしたちが引く意味はありませんわ!」


「やります! 続きをやらせてください!」


「ただの映像に負けるなんてギャラクシーじゃないわ☆」


 口々に定期公演#7の再開をうったえる≪初夏≫のメンバーたち。

 彼女たちの心はまだ折れてなんていない。


 それならば――。


「麻里さん、配信再開しましょう!」


 アイツの思惑が何なのかはわからない。でも、一度は奪われた権限も取り返せているし、再アタックをブロックできている以上、今は直接の脅威じゃないことはわかっている。続けない意味はない。


【お前たちに申し訳が立たない……】


「そう思うなら、この後のプログラムを安全に最後まで進められるようにお願いします!」


【カエちん、言うやないか……。教授、いっちょやったりましょう!】


 シオの声がする。

 あれはいつものシオの調子だ。いけるぞ!


『コメント欄のファンの皆さんも配信再開を待ち望んでいらっしゃいます』


 配信が中断してからもう10分。

 でも同接が減る気配がない。

 みんな、≪初夏≫の帰りを待ってくれているんだ。


【いけるか? 後半の3曲ノンストップだぞ】


「「「「「はい!」」」」」


 5人の声がきれいにハモる。


 ボクたちは負けない。テロに屈しない!



【Goだ! お前たちの底力を見せてくれ!】


 麻里さんの言葉に大きく頷き、5人はステージへと舞い戻る。



『まもなく配信を再開いたします』のメッセージから3分後、後半のパフォーマンスが始まった。


『僕らの時代』から始まる後半3曲は最高潮に盛り上がり、これまでの定期公演の最大同接記録を大幅に更新した。



第十章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #7編 ~完~



第十一章 定期公演 ~ Monthly Party 2024 ~ #8編 へ続く


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ここまでお読みいただきありがとうございました。


第十章は再びつらいエンディングから、少し希望の光が見えたような終わり方になりました。


定期公演#6終わりの居残り声優強化合宿から始まったわけですが、なんだか楓はずっとドームにいたような気がしますね。


ハルルと温泉に入り、マキとハルルと温泉に入り……温泉に入ってばっかりか。

ああ、レイのご機嫌を取るために麻里さんのプライベートプールで遊んだりもしましたね。

夏らしく(?)肌色多めのわりにはあんまりサービスシーンっぽいものはないという謎。楓の心に余裕がなくなっているのかもしれないですね。


≪BiAG≫とのコラボライブは……明らかにセキュリティに問題が出てしまったドームの設備の影響を受けそうですね。いつになることやら。


第十一章は立て直しの回になるのかな。定期公演#8は無事開催できるのでしょうか。


この後もどうぞよろしくお願いいたします。

引き続きお付き合いいただけると幸いです。

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