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人間に滅びろと言われた蝉。異世界で鳴いてみました。  作者: 黎明 あかり


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2/7

2日目

僕は西へ西へと向かうと、生まれた公園とはまた違う賑わいのあるところへ着く。


建物も多く人間たちが行き交っている。




どこかに留まろう。



壁に四角い穴が空いていて、中にはいれば人間の子どもたちに見つからないかもしれない!



僕は羽ばたかせて狙いを定め四角い穴へと向かった。



カンッ!



なんだ?!




穴が空いているのに何かに阻まれている。



もう一度!


カンッ!




どうしてはいれないんだ!?




カンッ!!




さすがに僕は3回以上も試す馬鹿な蝉ではない。



旋回して近くにある、四角い板のようなものに留まる。




チラリと入ろうとした四角い穴を見上げた。




そういえば、生まれた公園にいた仲間のじぃさんから聞いたことがある。


硝子というものがこの世にはあり、無色透明。

そびえ立つ壁に人間が硝子を埋め込み、窓を作ると。



何匹もの仲間がそれにアタックをし続け力尽きると、窓の下でひっくり返って休んでいるらしい。



危ない、そんな間抜けな仲間と同じ道をたどるところだった。



さて、どうしたものか。



ここでは直射日光に当てられてしまう。


ましてや、木ではないから樹液も吸えないではないか。




「ママーーー!看板に何かいる!!」



子供の声か。


危険である。



「あら、本当ね。見たこともない小さいモンスターだこと」



子供と母親の視線を感じ始めた。


不思議と敵意はなさそうだ。



「騎士団さまに連絡して駆除してもらうべきかしら?」



クジョ?


駆除だと?!?!



たかが蝉の僕を駆除?


そこら辺のゴキブリたちと一緒にしないでもらいたい!!



僕は外でただ鳴いているだけの虫なのだ。


そのうえ今はまだ鳴いていないではないか!!!




そうか、鳴いていないから蝉だと気づかれていないのか!




僕は蝉だ!!



この美しい鳴き声を聞くがいい!!




ミーンミーンミンミー…




「ママ!!!すごいよ、鳴いたよ!!」


「こら、近づかないの!」


「何の声だ?」


「甲高いこの音をやめさせろ!!」


「面白い鳴き声だな!」


「この小さいモンスターが鳴いているのか?」




ふふふ、僕の美しい鳴き声で人間どもが集まってきた。


やはり、こうでなくては。





さて、鳴いてみたのだ。


そろそろ、メスも来るのではないだろうか?



キョロキョロと辺りを見回すも他の蝉がいる様子はない。



ふむ。


やはり、人間の近くにいるのは怖いよな。


メスだもんな。




ミーンミーンミンミー



「何事だ!!この甲高い音は何なんだ!!」


「魔王か?魔王がこの町に来たのか?!」


「あれは魔王の使いのモンスターなのか!」





ガヤガヤと人間たちが集まってきた。


どこか緊迫した雰囲気も伝わってくる。




マオウなんて言葉は生まれて初めて聞いた。


また公園に戻ってじいさんに聞いてみよう。




人間たちよ、私はいい蝉だから。






立つ鳥跡を濁さず。



否、我が存在を知らしめる。




立つ蝉跡を濁す。






ミンッ!!!



ぷしゃっ!





「きゃーーーーー!!!」


「あいつ、何かを吐き出したぞ!!!」


「水?!何かの液なのか?!」




僕に対して駆除などというからだ。






ざまぁみろ。

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― 新着の感想 ―
今回も蝉と異世界人の認識のズレがとても面白く、思わず笑ってしまいました。 「鳴いていないから蝉だと気づかれていないのか!」と自信満々に鳴き始める蝉と、それを見て魔王の使いだと大騒ぎする人々とのすれ違…
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