女の人って何であんなに良い匂いがするんだろう
アイスを食べたり成仏の手助けだったり、バッティングセンターとあちこち回っていると予定の集合時間が迫っていた。
俺達は最初に待ち合わせの予定をしていた場所へと向かうと商店街の反対側から甚平さんと華夜さんが歩いてきた。
二人は大きな荷物を抱え、甚平さんは引っ越し用の段ボールを2つ、華夜さんはスーパーのビニール袋を大量に抱えている。
「あら?丁度良い所で会えたわ。ごめんなさい華凛ちゃん。少し手伝ってくれるかしら?」
「あいよ。羽歌、バットとグローブを頼むな」
華凛は華夜さんから荷物を半分引き受け、軽々持ち上げる。
「甚平さん、俺も段ボール1つ持ちますよ」
「すみませんお願いします。持てなくはないのですが前が見にくくて……」
甚平さんが置いた段ボールを持ち上げるとなかなかの重量のため急いで強化をかける。
「もしかして中身は全部本ですか?」
「えぇ、確かに本屋に比べると質は落ちますが全然問題ない品質でした。それに安い。お店の方も大量に買ってくれたのでと安くしてくれたのでつい買いすぎてしまいました」
まぁ普段売れにくい辞書や専門書をこれだけ買ってくれるなんて古本屋からしたら上客だな。
「私も色々なお店を回ったら色々な調味料や乾物があったから買っちゃった。それに薬局を見たら棗さんと同じシャンプーや石鹸を見つけたから確保したわ」
華夜さんはふふんと満足そうに胸をはる。
「まずは車に向かいますか。話すこともあるけどまずは荷物を置きましょう」
………………
「そうでしたか……そんなことがあったのですね。私も少しお話を聞いてみたかったですね」
車に荷物を積み込むと俺達が出会った兵隊さんの話を甚平さんへと伝えた。
やはり珍しいことのようで甚平さんは興味深く話を聞いてくれた。
「俺も未練を残したただの霊だと思ったからびっくりしたぜ」
「前に康成君が祓った呪いとは逆のようですが本質は同じようなモノでしょうね」
「あーあの時のやつな」
「はい、あの呪いは話を聞く限りは嫉妬や恨み妬みといった人の負の感情が物に蓄積されたモノのようですが、その兵隊さんは初めは自我の薄いただの霊ですが年月を重ねて少しづつ人々の思いや願いと言った物を取り込み自我を取り戻し商店街を見守るようになったのでしょうね。地縛霊とは違いますが……神でもないですし……なんでしょうね?」
「まぁ年月をかけて物に魂や霊が宿ることをこの国では九十九神って言うんですよ。それとも違う気がするけど……あの商店街限定で宿った神様みたいなもんですかね」
「九十九神ですか?そのように表すのですね」
「この国は何でも神様が宿るって言い伝えがあるくらいだからな。八百万って書くくらい神様が沢山いるみたいだ。詳しくはわからないからあとは銀狐にでも聞いてください」
「わかりました。何にでも神が宿るですか……興味深いですし面白いですね」
あっ甚平さんの目がキラキラしてる。
華凛と羽歌が飽きてきたのか後ろで無心にスナック菓子を食べ始めたので話に区切りをつけ俺は車を発進させる。
「一旦帰るぞ?荷物も降ろしたいからな」
「一旦ってことはまた出るんだろ?次はどこに行くんだよ?」
「内緒だ。少し家でゆっくりしてから出るからな。夕食は期待してろよ」
「やったな羽歌!今日は何を食べれるんだろうな」
「私は肉が良いっす!」
「俺も肉が良いな!でも旨かったら何でも良いぜ!」
ふふふ……肉が食いたいか……そうかそうか……
…………………
このまま帰宅する予定だったが時刻を確認すると4時を少し過ぎたところだっただめ家に帰るついでに保育園へと寄る。
「俺は彩ちゃんを迎えに行くからな。皆は待ってるか?」
「私は少しで良いので保育園の広場を見てみたいです。村の子供用に活かせれば良いのですが」
「私は待っているわ。大人数で行っても迷惑になりそうだし」
「それなら私も留守番するっす!」
結局甚平さんと華凛が付いてくることになった。
保育園に入ると担任の先生が出迎えてくれた。
「彩音ちゃんのパパさん、お疲れさまです。あら?後ろの方達は?」
「あぁ前にお話した知り合いですよ。彩ちゃんが鬼が来るってはしゃいでいた」
「確かに立派な体格をされていますね。何か運動でもされているのかしら?」
「えぇ畑仕事に狩り、筋肉の鍛練を毎日しています。すみませんが少し外の遊具を見ても良いでしょうか?私の地元でも活かしてみたいので」
「えぇ構いませんよ」
「俺も毎日父ちゃんと体を動かしてるぜ!」
「なるほど……やっぱり胸を大きくするには運動が大事なのですね……私も狩りは難しいけど畑仕事と筋トレをしてみようかしら……」
先生……多分華凛の話はあてにならないですよ……
「パパーー!!ただいまー!」
帰宅の準備が出来たようで彩ちゃんがリュックを背負い出てきた。
「お帰り彩ちゃん」
「あー!お姉ちゃんも一緒だ!」
「おじちゃんは遊具を見てるけど皆は車に乗って待ってるよ」
「やった!今日はお迎えいっぱいだね!」
彩ちゃんは華凛に抱き付くと躊躇なく胸へうりうりする。
羨まけしからん……
「彩ちゃんね、なつババが迎えでもパパが迎えでも嬉しいけどね。皆で迎えだともっと嬉しい!」
「そうか嬉しいか!彩音、お姉ちゃんが肩車してやるよ」
「やったー!!お姉ちゃん凄いね!パパと同じくらい高い!」
「彩ちゃん、パパも肩車しようか?」
「今日はお姉ちゃんがいいの!」
「ふふん」
くそ……華凛め……どや顔してやがる……
外に出ると甚平さんは滑り台やブランコの遊具を見て造りの確認をしていた。
「なるほど木製ですが非常に滑らかですね……これなら子供が使っても怪我をしませんね……何か滑らかになるような特別な工具を使っているのでしょうか……」
「父ちゃん行くぞ!」
「あぁ……もう少し見ていたかったのですが……仕方ないですね……康成君に聞きますか……」
華凛に促され甚平さんは名残惜しそうに保育園を後にする。
「おぉ!帰ったか、我も先程帰ってきたところじゃ」
「お帰り、どうだった、楽しかったかい?まぁその顔を見ればわかるね」
仕事も終わり銀狐が帰って来ていた。
シャワーも浴びたようで凄く良い匂いがする。
何で同じボディソープやシャンプー、洗濯洗剤を使っているはずなのに女の子は皆良い匂いがするのだろうか?
凄く良い。
「なつババ!銀ちゃん!ただいまー!」
「はいよ、お帰り」
「銀ちゃんお風呂入ったの?凄く良い匂いがするね!」
彩ちゃんは銀狐にも抱き付くと胸へうりうりする。
彩ちゃんのなかで流行ってるのそれ?
まったく……羨まけしからんどるふ……
「あんたらはもう帰ってきたのかい?」
「いや、荷物も沢山あるから一時帰宅だよ。大量に買ったからな」
「そんなに買ったのかい?」
「えぇ、どこを見ても珍しい楽しい、つい買いすぎてしまいました」
「私から見たらいつもの街だから珍しくはないけど外国にでも行った感覚なのかねぇ。荷物は座敷か蔵に置いて良いからね。好きに使っておくれよ」
「ありがとうございます。早速移動しますね」
甚平さんや華凛は早速荷物の移動を始める。
「さて……俺も手伝うかな」
「あんたらは夜はどうすることに決めたんだい?外で食べるんだろ?」
「夜だろ?皆で食べ放題の店にでも行こうかと思って予約したよ。母ちゃんと銀狐も来るだろ?2台あれば皆で行けるだろ?」
「まったく人の予定も確認しないで……まぁ空いてるけどさ」
「食べ放題とは良い響きじゃの!何を食べるのじゃ?」
「まだ内緒のほうが楽しいだろ?皆たくさん食べるからな、楽しみにしてろよ」
「康成ー!!悪いけど蔵を開けてくれー!」
外から華凛の声が聞こえる。
まずは一仕事してからだな。
「よし、銀狐も行くぞ」
「おっ!?我もかや!?シャワーを浴びて汗を流したばかりなのじゃが……」
「大丈夫だ。食べ放題の店で服に匂いも付くし帰ったらみんな風呂だよ」
「何か上手く丸め込められた気がするがのぉ……まぁ良いわい、華凛よ!我が行くから待っておれ!」
俺も大量の荷物を座敷や蔵へと運ぶ。
あれ?これって……最終的に井戸に入れてあっちに送るだろ?
それをさらに村へと運ぶとなると……かなりの重労働なんじゃないか?
よし!あっちに銀狐も連れて行って手伝いさせよう!
こうして銀狐の霊界凱旋が本人の知らないうちに決まったのであった。




