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焼き肉のタレだけでご飯3杯はいける


「ふぅ……こんなもんだな……けっこうあったな」


蔵の床に敷いたビニールシートの上には大量の荷物が置かれていた。



まぁ……主に本だけどな。


流石に華夜さんの買った調味料と服を蔵に置くのは躊躇したので座敷に置くことにした。


「康成君ありがとうございます。今さらで すが買いすぎましたかね?」


「まぁ大量だけど大丈夫じゃないですかね?好きで買った物ですしね。それより家に置いておく場所はあるんですか?」


「実はまだ無いのですよ……こんなに大量に買えるとは思わなかったので…暫くは私の作業部屋に入れて、急いで書斎の増築ですかね……あぁ……服をしまう部屋も華夜さんに頼まれましたね……」



甚平さんが過労死しないようにブルブルを段ボールで送ってやるか……


それよりエナジードリンクよりも栄養ドリンクのほうが良いか?



「俺も暇なときに手伝いますから、まずはご飯を食べて景気付けしましょう。そろそろ華凛に呼ばれそうですから」


「よろしくお願いします。そうですね……」

「父ちゃーん!康成ー!そろそろ行こうぜー!!」



「ほら」

「ですね」


俺も甚平さんも苦笑しながら母屋へと戻る。


「パパー見てみて!新しい服!」


「おっ!新しい服だ。彩ちゃんに似合ってるね」


「昨日真由美ちゃんに頼んでついでに私のと彩音のを見繕って貰ったんだよ」


「彩音も可愛いが棗殿も似合っておるぞ!」


「ありがとよ。息子はそういう気の使い方ができないからね。もう少し気の聞いたことを言えれば良いのだけれどね」



「アー、カアチャンニアッテルゾ。ビジンデビューティフォーダ」


「やっぱり止めておくれ、気持ちが悪い」



誉めたのに……



解せぬ……



「みんな準備ができてるみたいだな」


「康成と父ちゃんが遅いんだよ。早く行こうぜ!」


「はいはい、悪かったよ。母ちゃんの車には何人乗れる?」


「まぁゆったり乗るなら四人だね」


「父ちゃんと俺ははでかいから康成の車のほうが良いだろ?」


「私は羽歌お姉ちゃんとが良い!」


「良いっすよ彩ちゃん。一緒に乗るっす!」


「やったーっす!」


こら彩ちゃん、羽歌の口癖を真似しなくても良いからね?



結局俺の車には甚平さん華凛、華夜さんが乗ることになり、母ちゃんの車には彩ちゃん、羽歌、銀狐が乗ることになった。



車に乗ると華凛がそわそわとしながら聞いてくる。



「なぁそろそろ良いだろ?どこに行くか教えろよ」


「そろそろ教えても良いか。華凛も甚平さんもみんな肉が好きだろ?」



「あぁ!大好きだ!」


「俺が前にあっちに行った時にどこに連れていくか、話しただろ?どこだっけ?」


「えーとだな……母ちゃんが辛いラーメンで父ちゃんが大盛ラーメンだろ?あとは……なんだっけ?」



「食べ放題だよ食べ放題」


「そうだそうだ食べ放題だ!……ってことは?まさか……」



「もちろん焼き肉の食べ放題だ」


「やったぜ!!父ちゃん、肉の食べ放題だってよ!」


「えぇ、非常に楽しみですね」


甚平さんの声も心なしか嬉しそうだ。声のトーンがいつもより2つ高い気がする。



「まったく……お昼にあれだけ食べたのに二人のどこに入っているのかしら?」


「さすが康成だな!大好きだぜ!」


「ほう……」



あっ……トーンが2つ下がった……


「あらあら、まぁまぁ……華凛ちゃんたら大胆ねぇ」


「あっいやっ違うぞ!?康成が大好きじゃなくて肉が大好きって意味で……でも康成は嫌いじゃなくて……」


「華凛、私は?」


「父ちゃんか?父ちゃんも肉と同じくらい好きだぞ?」


おっトーンが戻った。


甚平さん肉と同じで良いんだ……



何かヤバそうな方向に話が進みそうだったので話を戻す。



「いつもは猪の肉をメインで食べてるだろ?」


「そうねぇ、たまに鹿や熊も食べるけど猪が多いわね。料理の種類も限られてくるから困っているのよ」


「そうですね。最近は羽歌さん達のおかげで森の鳥を捕まえやすくなったので鶏肉も増えてはきましたが猪が多いですね」


「あの森の猪なら一年中とれるからな」



「さすがに食べ放題の肉に鹿や熊はいないけどな。こっちで食べられる肉は豚肉か鶏肉か牛肉だ」



「牛肉ですか……」

「牛肉か……」

「牛肉ねぇ……」


あれ?トーン低いな。



「野生の牛肉は硬いんだよな……」

「えぇ……筋が多くてなかなか噛みきれないんですよね」

「灰汁も多くて料理も大変なのよねぇ」



「乳牛はいないのか?」


「いますけれどあちらの乳牛は金がかかりますし基本的に小さな村では育てにくいのですよ。村では山羊乳がメインで大きな街に行けば育てられた乳牛や食用の牛が飼われていますが……高い金を出してまで食べる味かというとそこまででもないですね」



「へーそんなに硬いのか?」


「やばいぞ。今度来たら食わせてやるよ。猪に比べて硬いし脂も少ないしな」


野生の牛って脂も少ないのか。

食べてる物によって脂の質や肉付きも変わるんだっけか?


こっちで焼き肉っていったら牛肉が定番だからな。



「それなら華凛、甚平さん、華夜さん、今日で今までの牛肉の常識を覆してみせましょう」



どんなものでも美味しく食べるように試行錯誤を繰り返してきた日本の食文化を堪能してもらおうか。




………………………


ジュージュージュー



ぱくっもぐもぐ……


「「!!!!!!」」


ガツガツガツガツ!!!



初めての美味しい牛肉に言葉を無くし白米とタレに浸けた肉を豪快に口に運ぶ甚平さんと華凛。



15分程前



焼き肉屋に着くと看板にでかでかと牛のキャラクターが描かれているのを見て霊界組は少し不安な顔をする。


羽歌も牛肉に良い思い出が無いのか微妙な顔をしている。



「本当に牛肉なんだな……」


「まじっすか……」


「まぁ口に合わなかったら豚肉に鶏肉もあるからな。一度食べてみろよ。それに食べ放題だから他のメニューも沢山あるぞ」



地元でも有名な食べ放題の焼き肉屋「絶対王者ウシキング」


一番安いプランは2000円からで高いプランは6000円を越えるピンキリな店だ。



一番安いプランだと学生や部活の打ち上げで良く使われ肉の質は低いが量を食べることができて質より量を選ぶ学生達に意外と人気だ。


まぁスタミナ○郎だな。



一番高いプランになると選べるメニューも100を越えメニューの中心になるのは国産のそこそこのサシが入った品質の良い牛肉を提供している。


A5とかが最高峰なのは知っているがぶっちゃけそこまで質を求めなくても無茶苦茶美味しい。


俺の舌がまだまだ庶民なのかもしれないが前に貰い物のA5ランクのサーロインを食べて旨いとは思ったが脂が凄すぎて200グラム食べたら胃もたれが凄かった……



今回の質は中の上、100点中75点、酒を飲みながらで丁度良い。白米が進むをコンセプトに庶民向けだが少し背伸びをした内容にしてみた。


ぶっちゃけると高級ホテルでよくわからない高いワインを飲みながら少ししか採れない希少部位の3口くらいで無くなるよくわからない高い肉を食べるよりはみんなでワイワイ食べる少し良い肉が俺にはあっていると思う。



一番高いコースを頼み備え付けのタブレットで注文を行う。


機械に慣れない霊界組は俺と母ちゃんに聞きながらも操作に慣れるとすぐに要領を掴み好きなものを注文していく。



牛肉に不安な顔をしていた霊界組も写真の肉を見ると普段の肉とは違うと気がついたようで初めに俺のオススメの上カルビを人数分頼み白米やサラダといったサイドメニューも注文する。



「お待たせしました」

ゴトッ



「おぉーー!」


一番にカルビが届くとみんな思わず声が漏れていた。


「どうする?最初は俺が焼いても良いか?」


「あぁ頼むぜ。見ただけでわかる……絶対旨いやつだ……」


とりあえず1人二枚づつくらいは食べられるように網を全体的に使い肉を並べる。


ジュウッ!と肉が焼ける音が食欲を刺激しタレが焦げる匂いが堪らない。


片面をじっくり、裏面をさっと焼き火を通すとみんなの受け皿へと置いていく。



「米と一緒でも旨いけどよ。最初はタレに浸けてそのまま食べてみろよ」



俺の言葉を信じみんな肉を口へと運ぶ。


数回咀嚼しゆっくりと飲み込むのが見てわかった。


甚平さんと華凛は無言のまま2枚目の肉を箸で掴むとご飯にワンクッションおき口に入れ、勢い良くご飯を口に掻き込む。



大盛で頼んだはずのご飯はすでに半分無くなっていた。


ペース配分ミスってないか?


まぁこの二人なら問題ないな。



「私が今まで食べていた牛肉はどうやら木の皮だったようです……」


「あぁ……俺はあれを牛肉だと認めないぞ……あれは牛っぽいナニかだ」


そこまで言われると逆に霊界の牛肉食べてみたくなってきたな。


「康成君、このプランは制限がありましたよね?」


「制限?あぁ一応150分食べ放題で一番上のプランだから何でも食べれますよ。頼みすぎて残すのは悪質なら買い取りみたいですけど……」


「聞きましたね華凛」


「あぁまずは米のおかわりを頼んで……肉は上から順番に頼めば良いな?」


「えぇその作戦でいきましょう。ついて来れますか?」


「誰の娘だと思ってるんだよ?」


華凛はタブレットを巧みに操りどんどん肉を注文していく。



「華夜さんと羽歌はこっちでゆっくり食べようか」


「えぇそうするわ」

「そうっすね。名案っすね」


俺達は隣のテーブルへと移動する。


「一応言っとくけど肉はちゃんと焼いてから食べろよな」



よし、俺達は普通に美味しく食べましょう。


あの二人は人外の胃袋だからついて行けない。


昼にあれだけ食べてどこに入るんだろうか?

少し観察しながら食べてみるかな。



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