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光り物は好みが別れる


一万円の価値は考えるまでもなくわかるが、高さや重さを分かる人は案外少ない。



一万円、約1グラム、厚さ0、1ミリ、縦76ミリ、横160ミリ。



百万円にすると、厚さ1センチ、100グラムになる。




時刻は20時を過ぎた所だ。彩愛は保育園で沢山遊んだのか今日は早めにうとうとしたため就寝となり、風呂と食事を済ませた康成は宗近を待っていた。



ピンポーン



…………………



今康成、棗、銀狐の前には百万円の塊が12個机に並べられている。



「ふぅ……流石に現金で1200万を銀行から持ってくるのは緊張するね。私の個人の買い物でも今までで一番だよ」



「康成……何も聞いてないけど。

今度は何をやらかしたんだい?」



夜来訪した宗近をリビングに通すと早速宗近は大金を机に並べ出した。



何も聞いていなかった棗は驚きもあるが、大金を前に緊張した声で康成を睨む。



「康成よ……我は解ったぞ。昼間てれびドラマでやっておった。臓器売買じゃな?肺か?腎臓か?まさか、どっちもか?」



「銀弧はどこから偏った知識を吸収してんだよ……健全なやつだよ。水晶を売ったんだよ」



宗近と康成で昨日の説明を再度行う。



「へーこの水晶がねぇ……」



棗はネックレスに改造した水晶を胸元から出すと宗近は「あっ……また出てきた……」と康成を横目で見る。


「ひゅーひゅー」


「なんじゃ?そのへたくそな口笛は?」



「康成君、本当にどこでこれを拾ってきたんだい?」


「川原」


「本当に?」


「99%」


「残りの1%は?」


「嘘」


「はぁ……口で言う%程信用出来ないものはないと理解できたよ。一応大金だから確認してくれるかな?」



康成は百万を縦に重ねると定規で高さを図る。



「おー、本当に12センチになるんだな。若干足りないくらいか?」



「新札だからね。若干の誤差は出てくるよ」


「なぁ銀弧」


「なんじゃ?」


「俺……してみたいことがあるんだ。一度札束でビンタしてみてくれないか?」



「おー、てれびで見たぞ。金持ちの遊びじゃな?良いぞ」


「いいかや?」と銀弧が訪ねると康成は目を瞑る。



ゴッ!!


数秒後康成を襲ったのは百万ビンタではなく、1200万アタックだった。



………………



「痛い……」


「いやー、すまんすまん」



左頬を腫らした康成をみて棗、宗近は口元を押さえている。



高さ12センチ、重さ1、2キロの鈍器は脳が揺れる……




「それじゃあ、私は帰るとするよ。康成君には何かわかったら連絡するからね?」



宗近はメモを渡すとメモにはアドレスと電話番号が複数書かれていた。



「上が研究室の番号、アドレス。下が私の個人のアドレスと番号だよ。定期的には研究成果をレポートで送るから見てくれよ」



「わかった。俺も面白い物を川原で見つけたら連絡するわ」



「本当に君の行く川原には是非同行したいものだね」



「おっ?デートか?」



「川原デートも悪くないね。気が向いたら連絡をしてくれ。なんせずっと独り身だからね。プライベートも基本研究室にいるからたまには外に出る機会が欲しいのさ」



「馬鹿息子が変なことをしたらすぐに教えておくれ」


「しねーよ」


「わかったよ。昨日は危うく君から調教される所だったからね」



「へぇ……」

「ほぅ……」



「違うし!?まだ何もしてないし!?」



「「まだ?」」



「今度こそ帰るね。今日は楽しかったよ。久しぶりに冗談を言った。研究室の連中は頭の硬い奴らばかりだからね。デートじゃなくてもたまに息抜きに遊びに来てもいいかな?」



「おぅ、いいぞ。もう友達みたいなもんだからな」


「そのフランクな感じは助かるよ。それじゃあ失礼するよ」



宗近は家の前に停めた車に乗ると街の方へとUターンしていった。



あいつ無茶苦茶良い車に乗ってんなぁ……



………………



宗近が帰宅すると天童家では家族+狐会議が開かれた。



「それでこの大金はどうするんだい?」


「あっちの人達が来た時の費用には充分だな。残りはどうするかな?」



「まぁ金があることに越したことはないよ。彩愛の将来にとっておいても良いし、基本うちは散財する家庭でもないからね。必要な時に使える金として保管しておくよ?」


「あいよ」


「仕事場でも見るが今の金は凄いのぉ。精密じゃし透かしもある。どんな製法で造られておるか検討もつかんわい。これ1枚で男ラーメン10杯は食えるの」



大盛850円

トッピング追加の煮卵にチャーシューで1000円だな。



「金についてはこれで良さそうだね?康成、明日夜勤だろ?明後日すぐに迎えに行くのかい?」



「明日夜勤前に一度準備とか説明に行って来るよ。明けの日は少し仮眠したいから3時位に迎えに行くかな」


「わかった。稲荷さんはどうする?手伝ってくれるみたいだけど朝から大丈夫かい?」


「あぁ、休みを貰っておるから朝から仕込みを手伝うぞい」


「期待してるよ」



「俺は明日の日中に寿司とオードブルを予約するよ」


「どれくらい頼む予定だい?」


「そうだな……まぁ20人前って所かな?」



「そういえば沢山食べるんだったね。肉も出し惜しみしないで出しちまうかね」


「まぁ良いんじゃね?余ったら帰りに智之に持たせるからさ」



一つは智之専用の納豆巻きにしてやるか。


「何か好きなネタはあるか?」


「私は光り物が良いね」


「銀弧はいなり寿司で良いか?」


「なんじゃ?それは?名前からして我の為の寿司じゃな」



「あましょっぱい油揚げに酢飯を詰めた寿司だよ」


「なんと寿司と油揚げ!?そんな贅沢をしても良いのか!?」



安い回転寿司なら100円皿だけどな。


「いなり寿司も多めにと……子供用にさび抜きも別けて作って貰うかオードブルは肉、揚げ物多めにして……と、こんなもんかな?流石に大量だし車には乗らねーから配達してもらうぞ?」



「そうしておくれ。配達してもらえば楽だからね」



「ふっふっふ、ご馳走がいっぱいとは楽しみじゃのぅ」


みんなでパーティーとか宴会ってウキウキするもんな。


うちは父ちゃんがいなかったから家族で大量のオードブルとか寿司なんて消費できねーから基本小さなやつか、手作りだったからな。


友達の誕生日会とか行くと雰囲気だけで楽しめるから好きだったな……


会社の飲み会だけでウキウキするとか俺もまだまだ子供なのかもな。



「なんじゃお前様よ?急にニヤニヤしおって」


そんなにニヤニヤしてたのか?


「楽しみだなって思ったんだよ。食事は1人より大勢の方が楽しいだろ?」



「あんたはいつまでも子供みたいだね」


「男何ていつまでもこんなもんだよ」


「そうじゃの、胸が踊るとはまさにこの事じゃの」


「まぁ楽しみなのは私も同じだよ」


「結局みんな楽しみなんじゃねーか」



みんなでご飯を食べる時。

みんなにお土産を渡す時。

みんなと遊ぶ約束をした時。


特に意味は無いが集まるだけで楽しいし、ワクワクする。


いつになっても男は大人になれない、いやっ、身体は大人になっても心は少年のまま。


大人になることから逃げている?


大人になれないのではない、大人だが全力で男の子を楽しんでいるのだよ。




「さーて、酒呑んで一服するか。銀弧も呑むか?」



むしろ身体は大人だから遊びの幅は広がったな。


酒、煙草も覚えた。

入れなかったパチンコ屋にも入れる。

宿題もない。

働けば給料が貰える。


好きなことができるようになる分大人って楽しいよな。



まぁ自己責任って物はついてくるけどな。




「そうじゃの、我も付き合うかの」


「私も今日は呑もうかね。漬物でもだそうか?」



康成はハイボール。銀弧は日本酒。棗は焼酎の水割りを用意すると特に乾杯はせず、各々好きなペースで酒を呑み、漬物をつまみながらテレビで流れるバラエティー番組をBGMにゆっくりとした時間を過ごした。




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