第7話「変なことほど面白い!」
扉を開けて、社長室を見た俺は驚愕した
「なんだこれ」
そこには大量のプラモデルとフィギュアやポスターが所狭しと飾られていた
ロボットアニメのプラモ、ちょっと昔の名作映画「バック・トゥザ・イエスタデイ」のポスター
なんだかSFものが多い・・・
社長室というかめっちゃ普通のオタク部屋という感じだった
クローゼット?というか押入れのようなものまであったし絨毯まで敷いてあった
まあとにかく会社にあるには変な部屋ということは分かったが、社長の姿はなかった
「社長~、寝てるんですか?枕井さん、挨拶来ましたよ!」
おい浩貴、だれに話しかけている?この部屋には誰もいないぞ
ゴソゴソッ
「!?!?」
奥の押し入れから物音がした
すーーっ
押し入れが空いた瞬間俺は目を疑った
押し入れにすっぽり入った布団にくるまった男が顔を出してきた
「なんだい、浩貴くん・・・」
完全に某ドラ◯もんだった
「社長・・・13時から挨拶だって言いましたよね?」
少し呆れたような顔で浩貴が言った
まてまて、こいつが社長をやってる会社を面白いって言ったのか浩貴は?
あまりに他人事じゃないか?ってかこいつが社長?
「あぁ・・・そうだったね!ごめんごめん!君が噂の枕井くんだね」
押し入れからゆっくり出てきながら彼はそう言った
出てきた全貌を見ると、さらに胡散臭さが増した。
細身長身でスーツの上に白衣を着て、頭はボサボサ、メガネを掛けて・・・
ドラ◯もんよりのび◯って感じの見た目だ
「いやあ、どうもどうも!私は社長の鈴麻 野良だ、よろしく!」
握手を求めるように手を差し出してきた
「あ、枕井 纏です・・・今日からよろしくお願いします・・・」
恐る恐る握手をした
見た目からは想像できないパワーで俺の手をブンブンと振り回した
痛てぇよおっさん
「いやぁ、ハハッ・・・変だろ?この会社は」
社長が少し微笑みながら言った
「いえ、そんなことは・・・」
変だよアホ
「いやいや、いいんだ、変でいいんだ!変なことほど面白い!」
「変なのは良いですけど、きちんとはしてくださいよ・・・」
浩貴はまた呆れたように言った
「おどろかせたね、ごめん。じゃあ早速この会社の説明をしよう!」
社長が部屋の隅にあったホワイトボードを俺達の前に持ってきた
やっとこの会社の説明が聞けるわけだ・・・
キュッキュッ
「まず普通の製作所ってのはよそのから発注受けて、図面もらって、いっぱい作るみたいなのが多いんだが、うちは、自社開発のみでやってる!」
大雑把な字で図を書いている
「つまり、すずまち製作所とは・・・研究所でもあるわけだ!」
「例えばこれ!加熱式ハンディファン!従来のハンディファンに温風を出せるようにした!スイッチオン!」
ブオーーン
「・・・」
「社長、今は夏ですよ」
「そうだったね」
ミーンミーンミーン
何だこいつは、もう初日だがこの職場でやっていけない・・・
「まあとにかく!自社開発の商品をそのままここで作って販売しているわけだ!」
「なるほど・・・」
「そのうちの弊社の一番の目玉商品が!”時間移動装置”だ!いわゆるタイムマシンだねぇ」
求人に書いてあったやつだ・・・やっとタイムマシンについて聞ける
「あれに関しては、話を聞くより見せたほうが早い!作業場に行こう!」
本体を見せてくれるのか!?
ーーー
社長室から会社の玄関を出てすぐ右手の駐車場の奥に何の変哲もない町工場の作業場があった
ガガガッ
工場の中には人は少なく3人ほどが作業していた
その中に作業服が全く似合わない小柄な少女が見えた
「おー茉莉花さん!きょうもがんばってるねぇ!」
「おはよう、社長」
猫のような鋭く気だるげな目をしてそう言った
なんか氷花に雰囲気が似てる気がするけど氷花は無表情なだけで感情は豊かだから少し違うか
「その人は?」
彼女は俺を見て言った
「彼は枕井くん!今日からうちの社員だよ」
勝手に言いやがって、俺はさっき聞いたばかりなんだよ
「あ、枕井 纏です!」
「そうなんだ、私は茉莉花 碧」
「よろしくお願いします」
「うん・・・よろしく」
ずっと社長にもタメ口だがそんなこと気にならないくらい可愛い、入社してよかった
「他のみんなにも挨拶、と思ったけど・・・」
「結構作業集中してるみたいだし後にしよっか!」
ーーー
作業場は意外と奥行きがあり一番奥の部屋についた
いよいよだ
「ここに、我が社の最重要の研究が眠っている!」
ガチャ
そこには、椅子とテーブル上にヘッドギアのような機械とPCが置いてあった
「これが、タイムマシンだ!」
ゴクリ
そんなはずない、実在するわけがないだろ・・・
「これで、時間を移動できるんですか・・・?!」




