第6話「この会社、めちゃくちゃおもしろいぞ」
「はぁ・・・はぁ・・・」
ギリギリ間に合ったぁ
俺は膝に手をついて息切れしながら会社の前に立っていた
「お前なんでそんなに息切れしてんだよ・・・」
浩貴の声だった
「あ、ああ・・・」
「ちょっといろいろあって遅れそうになってな」
「そっか・・・」
浩貴は少し苦笑いをしていた
「そういえば、今日の顔合わせと職場案内は俺が担当するから!よろしくな」
「お、おう」
なんだか張り切っているのが伝わる
ーーー
コツコツコツ
事務所の玄関で客用のスリッパを履き、ゆっくりとオフィスの方へ歩いていった
「ここが事務室で、こっちがトイレ・・・」
なんだか小慣れた様子だった
「それとここが・・・」
言いかけたときだった
「あら、枕井くんじゃない!」
巴 奏花さん通称:巴姉の声だった
以前より相当フレンドリーに話しかけてくれた
「あ、巴さんどうも」
そこで、浩貴が言った
「そうか、二人は確か面接のときに会ってるんだったな!
せっかくだし俺からも紹介しとくよ、こちらは事務部部長の巴 奏花さんだ!」
部長なんだこの人、社長秘書とかやってそうなのに
「みんなからは奏花さんとか呼ばれてるわ、枕井くんもそう呼んで」
なんでみんな下の名前で呼ばせたがるんだ
社会人は名字が基本だろ、この街がフレンドリーすぎるのか?
「わかりました、奏花さん」
「ふふっ」
すきだ
ーーー
「っと、事務所の案内はこんなもんだが・・・社長に挨拶しとこうか」
「なんでバイトが社長に挨拶なんかするんだ?」
「あれ、お前聞いてないのか?お前は正規雇用でうちの社員になることが決まったんだよ」
え、何を言っているこいつは
「その様子じゃ・・・どこの部署に行くのかも聞いてないみたいだな」
呆れたような顔で浩貴が言った
「まてまて、面接のときにはそんなこと言ってなかっただろ」
「面接のあと決まったんだよ、電話したの彩花ちゃんだな・・・」
おいおい、ニート生活数日で終了して浩貴たちと同じ会社の社員だと?
まだ全く休めてない上に、俺はここに入る予定もなかったってのに
「この会社、めちゃくちゃおもしろいぞ」
浩貴が無邪気な笑顔で言った
「面白いってお前・・・」
「纏もきっと気に入ると思う」
今度は真剣な顔で言った
なんだかそれ以上は聞く気にならなかったので俺は小さく頷いた
ーーー
「ここが社長室だ」
ゴクリ
さっき話を聞いてすぐ社長への挨拶だから緊張するな
コンコン
「失礼します」
扉を開けて、社長室を見た俺は驚愕した
「なんだこれ」




