第36話「布の面積が少ない」
ミーンミーン
「きちゃった…プール…」
「お前が『それが良い!』って言ったんだろうが!」
俺と浩貴がプールの前で話していると後ろから社長と茉莉花の声がした
「ハハハッ、そうだぞ!マトイー!」
「早くプールに行く」
何故かこの2人もプールに行く事になっていたのだった…
「なんでこの科学バカ2人も呼んでんだよ…」
俺がそう言うと浩貴が自慢げに言った
「あぁ、この2人にも協力を頼んでおいた!」
「ハハハッ、バカではないぞ!マトイー、私たちの偏差値は80だ!」
「そんな話してねぇよ!」
———二日前
「決まりだな!じゃあ、明後日10時に涼戸プール集合だな!遅れるなよ」
「へ?」
「だから、”プールで吊り橋大作戦”だよ!」
「なにそれ」
「聞いてねえじゃねえか!つまりな、俺も一緒にプールに行って、氷花にいろんなドッキリを仕掛ける!」
「ドッキリ?」
「ああ、氷花をちょっとびっくりさせたところで、お前が助けに行くんだ!」
「何だよそれ…」
「ドッキリで怖い思いをした氷花は、助けてくれたお前のことを少し意識するはずだからな!」
「まあ…なんとなく分かった。それでどんなドッキリをするんだ?」
「それはまだだ!当日までに考えておく!」
ほんと大雑把なやつだな…まあ、けど俺や社長だけじゃ出てこなかった案だな…呼んでよかった
———現在に戻る
「それで…なんでこの2人がいるんだ?」
「ああ、この2人には”ドッキリの仕掛け役”を頼んでおいた!」
「仕掛け役?この2人が?」
「発明ができるこの二人にドッキリの装置を作ってもらったってわけだ!」
なるほど…それにしてもなんだか、浩貴のテンションが社長と似ている…ちょっとうざい
「マトイー!君は私たちが彼女をドッキリさせた時に助けることだけを考えておけば良い!あとは任せろ!」
「任せて」
「ん?社長がこういう変なことに乗り気なのは百歩譲っていいとして…茉莉花が乗り気なのはなんでだ……?」
俺がそうきくと、浩貴が自慢げに答えた
「ふふふ…そう…!今日、涼戸プールはアジの開きフェアでな!全品半額なんだ!」
ほんとにこの子はアジ一つで動いてくれる低燃費少女だな…
「それで、そのドッキリの内容は…?」
「ああ、それはな…」
浩貴が、ドッキリの内容を言おうとしたその時だった
「あれ、もう来てる…?」
これは…氷花の声だ!
「おお!氷花!急に誘って悪かったな、この2人は…」
「鈴間だ!よろしく!」
「茉莉花 葵、よろしく」
二人の自己紹介が終わったあと、氷花が少し緊張した声で言った
「は、はじめまして…氷花です」
この人見知りな感じもかわいい
「氷花、終業式ぶり…だな」
少し緊張した声で俺が言った
「そうだね…それにしても、纏にこんなに友達がいたなんて、知らなかった」
「あ、ああ気づいたら大所帯になってたみたいだ…氷花、平気か?」
「私は大丈夫、楽しみだね!」
高校生の氷花と言葉をかわした俺はなんだか懐かしくて感動していた
「それじゃあ、行くぞ!」
浩貴が先導して施設の中に入っていく
———
着替えを済ませた俺達男子は一番大きなプールサイドの近くのベンチで座って待っていた
「それで?計画を教えてくれよ」
俺の質問に浩貴は少し考えて言った
「ん?ああ、それなんだが。社長たちがガンガンドッキリしていくから、お前はとにかく氷花を助けることだけ考えとけ!」
「な、何だよそれ!ドッキリの内容教えてくれないのかよ!」
「まあな!お前演技とか下手そうだし!お前もびっくりすることでリアリティ出そうだしな!」
「何だよそれ…」
そう話していると女子チームが着替えを済ませて出てきた
「みんな、おまたせ…」
氷花の水着姿は息が止まるほど綺麗だった…
氷花のクールな雰囲気をイメージした水色のビキニ…
今までは制服かスーツしか見たことがなかった俺は、氷花の水着姿に見惚れていた
「き……綺麗だ」
誰にも聞こえないくらいの声だったが、近くにいた浩貴には聞こえていた
そんな俺を茶化しながら浩貴は言った
「ははっ、緊張しすぎて計画を忘れるなよ!」
「…お、おう」
その隣で社長が茉莉花の水着姿を見て言った
「ハハハッ茉莉花くんも似合ってるぞ!」
茉莉花が嬉しくなさそうに言った
「布の面積が少ない」
「全員揃ったし、行こうか!」
このときの俺はまだ知らなかった、このあと思いもよらない事態が起こることを。




