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すずまち製作所  作者: 鶏皮:塩
第二章
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31/37

第31話「君は面白いやつだな!」


「あ、あの…明日…私と一緒にお祭り行ってくれませんかっ!?」


「い、一緒に!?」


「あ、いやその、おばあちゃんと一緒に行くのも最近飽きてきたなぁって思っていたので!」


焦って赤面している乙花さんが早口で言った


「そ、そういうことなら…」


おいおい、見た目は16歳かもしれないけど中身はアラサーだぞ!女子中学生とお祭りデートなんて…


いや、ある意味保護者的な感覚で楽しめそうだな


「わかった!じゃあ明日迎えに来るよ!」


「そ、それでは、明日の18時にお願いします!」


ガシャン!


乙花さんは焦っていたのか、とんでもない勢いで扉を締めた


「何だったんだ…」


———


「ただいまー」


「おう!帰ったかマー坊!飯ができとるぞ!」


「おう!って…全部茶色いな」


そこには、とんでもない量の肉料理が並んでいた。祖母は昔から俺達が里帰りすると張り切ってくれるのだ


「若いんだからこれくらい全部食えよ!」


「無理だよ」


———


「うぅ…もう唐揚げ見たくない…」


大量の肉料理をなんとか食べ切った俺は縁側でダウンしていた


「乙花さんだったのか…あの少女は」


俺は過去に戻ってから今日までの出来事を思い出していた


「社長に茉莉花に、乙花さんまで…」


ここまで舞台が整っていると逆に不気味だ。社長と茉莉花とは同盟を結んだし、乙花さんとは…


「お祭りねぇ」


俺がそうつぶやくと後ろから祖父が声をかけてきた


「何じゃお前、明日の祭り行くのか?」


「うわ!何だよじいちゃん居たのかよ…」


「こうこちゃんと行くのかぁ?」


明らかにニヤけた顔で聞いてきた


「悪いかよ…」


「おお!デートか!やるのぉお前!」


「べつにそんなんじゃねーよ…」


ほんとにそんなんじゃない、犯罪者になりたくない


「じゃあ、明日はわしの甚平を貸したる!」


「そんなんじゃないって!」




そんなことより、これからの事をもっとよく考えなければ…


「っとそうだ、氷花の連絡先は持ってたんだった…」


なら、話は早い。とにかく夏休みに会う機会を作ってアプローチするのみ!




———翌日


気づけば、朝になっていた


「う、うぅ…」


俺は、昨夜から手に握っていたスマホにメッセージを書いては消しを繰り返していた


「二人で遊びたいと伝えることはこんなにも難しかったのか…」


そうつぶやきながら、乙花さんとの約束を思い出していた


「乙花さんも、相当言いづらかったんだろうな…」


祭りのことは祭りのこと!今は一旦氷花とのことを考えなければ!


そんな事を考えていると、握っていたスマホから着信が鳴った


ブーブー


「うわあ!だ、誰だ!?」


完全に氷花のことを考えていた俺は急に来た着信に驚いた


スマホをよく見てみるとそこには「鈴間 野良」と書いていた


「社長か…なんだろう?」


俺はそうつぶやきながら電話に出た


「もしもし?社長?どうしたんですか?」


『やあ枕井くん!その後、作戦の調子はどうだ!』


「あー…それなんですが———」



俺は、祖父の家に来たこと。そして乙花さんと出会ったこと。明日のデートのことを話した


『ワッハッハ!君は氷花という子と付き合うために過去に戻ったのに、初日に別の女子とデートだって!君は面白いやつだな!』


「なんにも面白くないですよ…」


『まあ、それはそれで楽しむのもいいだろう!だが…一つ問題がある』


「問題って?なんですか」


『未来の君を取り巻く人間関係の殆どが過去にも存在している…それ自体はこの計画のメリットにもなるがデメリットにもなり得る』


「デメリット、ですか?」


『ああ、たとえばその”乙花さん”だが。君のことを異性として意識していると見て間違いないだろう』


「!?」


『だが、君は今も未来も氷花という子のことが好きなわけだ…それはつまり乙花さんの恋の結果自体は変化しないが、過程は変わっていしまうということだ』


確かに、乙花さんのことは「かわいい」とか「癒しだ」と思うけど俺が好きなのは氷花だけだった、だからもし乙花さんが俺のことを好きだったとしても…俺は答えられない


『私たちもまだ完全に理解しているわけではないが…あまり大きく未来を変えてしまうと…』


「なんですか?言ってください」



『君が帰る未来自体がなくなってしまうかもしれない…!』













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