第3話「なんでここにいるんだよ」
「嘘だろ・・・」
「あれ、纏!?え!?」
このテンパっている人物は学生時代唯一仲の良かった男だった
こいつも相当テンパっている様子で応募者情報の入ったバインダーを何度も見ている
来る前に確認しとけよ・・・
彼の名前は「神埼 浩貴」
成績優秀・スポーツ万能・イケメンの三拍子揃った男なんだが・・・
「え、なんでだ?え、纏?」
昔と変わっていない大雑把さだ
「今日の面接、纏だったのかよ!まさかこんなところで会うとは!」
少し涙目で続けて言った
「久しぶりだな」
「おう、元気そうで良かったよ」
まさかの再会でとても困惑したが俺はとてつもなく嬉しかったのだ、ちょっと涙目だし
再会話に花を咲かせていたところに後ろから女性の声がした
「纏、本当に纏なの?」
その声を聞いた瞬間、心臓が跳ねた。
忘れるはずがない。
何年経っても、頭の中で何度も繰り返していた声だった。
俺が青春時代を通して好きだった人、結局気持ちを伝えられなかった人
氷上 透花が、そこに立っていた。
「なんで・・・ここにいるんだよ」
目の前に、彼女がいる。
そして俺は、すこしだけ直感した
この会社が、俺の人生をもう一度やり直すための場所だーーー
みんな席について、すこし間が空いて浩貴が口を開いた
「いやーそれにしても・・・奇妙ですな」
「なにがだよ」
なにがかは十分に分かっている、こいつの考えている事はわかるけど
なにがと聞かれれば俺も説明に困るのでそうツッコんだ
「何がと聞かれれば・・・わからんけど」
すまんな浩貴
「それにしても、纏がこんな近所に住んでてまさかうちの会社に面接に来るなんて」
続けて浩貴が言った
「氷上もそう思うよな?」
「そうだね、私も驚いた、でも嬉しい」
「俺も、嬉しいよ」
「……」
「よし、面接始めるか・・・」
「そうだな・・・」
ーーーそこから15分ほど普通に面接をしていたころ
コンコン
「失礼します!」
なんだか聞き覚えのある声が聞こえてきた
「お茶をお持ちしました!あ!もしかして枕井でっ・・・枕井様ですか!?」
面接中にお茶をお持ちする企業は初めてだ、あとなんで呼び捨てか様呼びの二択なんだ
「そうですけど」
「あの先日は!電話・・・お電話ありがとうございました!」
そう言った彼女の社員証を覗くと”巴 彩花”と書いていた
なるほど分かったぞ、巴さんたちは姉妹だったのだ
「いえ、こちらこそ丁寧な対応ありがとうございました」
「はい!いや、とんでもございません!」
「そういえば先程巴さんという方にあったのですが、もしかしてお姉様ですか?」
「はい!おねえちゃ・・・姉がお世話になりました!」
無理して丁寧語をはなさなくてもいいぞ巴妹よ
そこで、氷上が口を開いた
「纏、前より大人になったね」
突拍子もない発言だったがなんとなく言いたいことを察した
「当たり前だろ、もう8年も経ってるからな」
なんだか懐かしい会話のテンポに涙が出そうだったーーー
そんなこんなで無事、面接が終わり結果は後日連絡とのことだった
まさかあの二人がこんなに近所にいたなんて・・・5年もこの街にいて出会わなかったのが逆に奇跡だ
なんて思いながら俺は家に向かって歩いていたとき
俺は重大なことに気づく・・・




