第27話「…いつまでだ!?」
「石化…?石になるのか…俺は」
落ち込んだ俺を見て部長は言い切った
「問題はそこじゃない!というか…それはない!」
「!?」
「実はな、哲学院博士は各マネキンの過去への滞在時間を測っていたんだ」
「10秒間だけ、9秒、8秒と測っていくと。面白いことが分かった」
「面白いこと?」
「石化する割合が時間によって変化していた、4秒以下のマネキンは石化していなかったんだ」
「!?」
「そして君は石化していない、未来にも戻されていない!」
俺は、恐怖と喜びと戸惑いが混ざった複雑な顔をしていた
「おそらく、そこは未来の私が解決したのだろう…でなければ乗ろうとしたはずがない!」
つまり二人の言っていた制限時間は未来の社長によって大幅に伸ばされた。
でもずっとは続かないってことだったのか…
「それで、その制限時間ってどれくらいなんですか…?」
俺は恐る恐る言った
「分からん!」
何なんだよほんとに…上げたり突き放したり…
「でも、計算すれば今日中に出ないこともない!」
「!?」
「お願いします!今すぐ計算を…」
「何を言っている!私が計算したって1週間はかかるだろう…」
「じゃあ誰がやるんだよ!?」
俺は感情がバグって相当大きな声が出ていたと思う
「こんな計算を1日で出来てしまうような数学のプロフェッショナルが確かにいる…!それは…」
「それは…?」
「茉莉花くんだ!」
社長は、茉莉花を指さして言った
「!?」
「茉莉花くんは数字に関しては私を圧倒するレベルだ!こういうのは彼女以外に適任は居ない!」
茉莉花が…!数学の天才…!
頼む!茉莉花!俺の命がかかってる!
「やらない」
終わった…
「頼むよ…茉莉花さんなんで…」
「そんな疲れることはやりたくない、自分の研究に影響する」
「なんでぇ…」
どうすれば良いんだ…茉莉花が計算してくれないと、部長が計算してる間に未来に戻される可能性もある…
「頭を使うとエネルギーを使う。あとの研究で使うエネルギーが足りなくなる、だからやらない」
エネルギー…か。ん?
まてよ。こいつのエネルギー源を俺は知っている!
未来で苦労した甲斐があったぜ!
「エネルギーが足りればやってくれるんだよな…?」
「うん」
「分かった!今から買いに行ってくる!…アジを!」
「アジ…!?」
「俺は未来でお前アジを毎朝選んでたんだ!目利きも任せとけ!それだったら問題ないよな!」
「わかった、計算やる」
部長は困惑していた
「あ、アジ?そんなんでいいのか…?」
そう言っている社長を尻目に茉莉花が黒板に数字を出し始めた
社長はハッと気づき大きな声を出した
「じゃ、じゃあ毎朝アジを食わせたら科学部に入ってくれるか!?」
「入る」
「うおおおお!茉莉花 葵、獲得ぅ!」
俺と部長はアジを全速力で買いに行った
———漁港
「はぁはぁ…マトイー…君は毎朝この中から目利きしていたのか…」
「はぁはぁ…そうですよ、質の良いアジはすぐに売れてなくなりますからね…」
「それにしても、いくら茉莉花くんを獲得するためとはいえこれを毎朝やるのは流石に…」
「それならいい方法があります!」
「なんだ!?」
俺は部長に耳打ちをした
ゴニョゴニョ
「な、なんだと!?部室に養殖場を創るだと!?ぶっ飛んでるが、良い案だ!採用!」
「これで茉莉花くんは科学部員だ!」
「俺のタイムリミットもこれでわかる…!」
あれ?結局今日が茉莉花加入の記念日になってはいるが…俺がいなかったら部活入ってなかったよな…
「部長、結局今日がなんの日なのかは謎のままじゃないですか?」
「ああ、それなんだが今わかった!」
「!?」
「おそらく、本来、私が茉莉花くんを獲得する日はもう少し先だったのだろう…」
「確かに、あのままだったら無理でしたね…じゃあなんで?」
「実は私は今日から1ヶ月間は、あの公園で茉莉花くんを勧誘するつもりだった…今日が初日だったんだ」
「??」
「未来の私は、茉莉花くんもいないと。君が目的を達成できなかったと予測していた…だから、君を私と茉莉花くんの橋渡しにして『この3人』が協力し合う状況を作ったのではないかと思っている!」
「なるほど…」
社長にしか分からない推理だが、俺の知るあの人もそう考えると思う
確実な手段を待つんじゃなく、確信した手段を選ぶ人だ!
「俺のおかげで、1ヶ月大変な思いをしなくてすみましたね!」
「多分、そこも計算に入れていたのだろう…それほどまでに、1ヶ月感の勧誘はしんどかったんだろうな…」
なんて奴だ、俺を自分がラクするために使いやがったな…
———
ガラガラッ
「戻ったぞー…」
黒板には大量の数式、見たこともない表情で必死に計算している茉莉花の姿があった
カッカッカッ
部室に響くチョークの音…
カカッ…
「出来た」
ゴクリ
「俺のタイムリミットは…いつまでだ!?」
「君のタイムリミットは…」




