第26話「話してもらおうかマトイー!未来の話を!」
「私は…科学部には入らない」
「やはりか!ハハハッ」
ハハハッじゃねえよ、なんでだ?今日は特別な日じゃなかったのか?
とにかく、部長が茉莉花を仲間に入れてくれないとかなり困る…
俺は笑っている部長に耳打ちした
「どうするんですか…茉莉花が来てくれないと色々終わっちゃいますよ…」
「私も少し考えていたんだ…きみが今日ここに来たということは。私にとって特別な日、つまり茉莉花くんが科学部に入った日なんじゃないかと思っていたんだ…」
社長の推理は俺と全く同じだった。けどそれじゃ何も変わらないじゃないか…!
「なにか、他の可能性を考えてください…世界レベルの科学者なんでしょ!」
「うーん……」
「全く浮かばん…」
何なんだこの人
「ただ、一つだけ間違いないのは。未来の俺にとって今日が意味のある日だ、ということだ!」
「その、意味を探すしかない…と」
「ああ、はっきりと言っておくが10年前で日付を覚えている日なんかゼロだ!」
はっきり言うなよ、そんな情けないこと…
「ただ…今日がどれだけ大事な日なのかも十分わかりました!」
「もう、帰っていい…?」
「「もうちょっと待ってくれ!」」
「???」
俺達の気迫に茉莉花は少し困った表情をしていた
俺達はすぐに振り向いて作戦会議を始めた
「まずは、仮説を立てよう…タイムマシンに乗る前の情報をなるべくたくさんくれ!」
「わかりました!えっと…」
俺が説明をしようとした時だった、部長が遮って言った
「その前に…!」
「その前に?」
「ちょっと暑すぎるから、部室に移動しよう…!」
「…はい」
明英高校———
俺でも知ってる、超有名な進学校だ。地元の平均レベルにそぐわない賢さなので他県から進学する生徒もいるほどだ
まあでも、そこの成績トップがこの変人二人だからな…なんか現実を見てしまっていた俺は少し舐めていた
「広!」
校舎はとんでもなく広く、ピカピカだった、門の前を通ったことはあるがもちろんいままで入ったことなどなくその規模感に驚いてしまった。
「俺の行ってた大学よりデカくないか…」
「ハハハッ!そうだろ!」
それを聞くと茉莉花が不思議そうに言った
「大学…?どう見ても君は高校生だと思うけど」
そうだった…今の茉莉花に全部話してもいいが…
こういうのは順を追って話したほうが良いな…どうせ後で知られるし、ここは誤魔化しておこう
「あー、志望してる大学見に行った時…より広かった!」
「そう」
一旦、ごまかすことにした
俺達がそんな話をしている間に「科学部」と大きな文字で書かれた扉が見えてきた
ガラガラッ
「おつかれー!って今日は誰も居ないか」
結構広い部屋だったが誰も居なくガラリとしていた
社長は机を3つくっつけた
椅子に深く座り、足を組んで、ようやく準備完了という表情で言った
「よし!話してもらおうかマトイー!未来の話を!」
「わかりました!」
俺は今までのことをすべて話した。東京の「鈴豊町」のこと、ブラック企業をやめたこと、すずまちに入ったこと、俺が過去に戻ってきた理由
———
「なるほどな…」
「なにかわかりそうですか?」
「これは推測でしかないが…」
推測でもなんでも良い!少しでも手がかりになれば!
そう思っていると最初に口を開いたのは茉莉花だった
「そのタイムマシン、おそらく時間制限がある」
「時間制限って…?」
「そのタイムマシンは、おそらく哲学院式…一度論文を読んだことがある」
哲学院!?あの、マックスの社長!?確かに…最終的に実物を完成させたのはあの人だったな
戸惑っている俺を見て部長が口を開いた
「哲学院 極夜博士の論文か…マックス電機の創業者でもあり、天才メカニック・哲学院 白夜の父の論文だ」
マックスの社長の親父さんがタイムマシンの研究をしていたのか…
「だが、あの論文には致命的な欠点もあった!」
そう、部長が言うと茉莉花も口を開いた
「確かに、あの論文にはタイムマシンに必要な要素。戻る機能がなかった」
「戻る…機能が…ない?」
「戻る機能がなかったら…俺はどうやって…?」
また不安そうな俺の顔を見て部長が説明を始めた
「単純に戻れない、という話でもないんだ」
「どういうことですか?」
「哲学院博士は実証実験をしたんだ、マネキンで。その時、無事過去にマネキンを送ることが出来たんだ。」
この時代から過去に送る実験は成功していたのか…!?
「ただ…時間制限を設けて自動的に帰ってくるようにした所、マネキンはすべて帰ってきた」
「じゃあ、何が問題なんですか…?」
「帰ってきたんだが…マネキンはすべて石化していたらしい」




