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すずまち製作所  作者: 鶏皮:塩
第一章
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23/37

第23話「あんたはここで創ってろ」


俺達は奏花さんの車ですずまちに向かっていた


「何が、何が起こってるんです!奏花さん!茉莉花!」



茉莉花が口を開いた


「タイムマシンが…完成した!」


「「「「!?」」」」


「完成したけど…まだ使ってみないとどうなるかはわからない…だからあの人は自分自身を人体実験の被験者にしようとしてる!」


俺は思わず大きな声で聞いた


「成功する確率は!?」


「それもわからない…ただ完成しただけ…!」


「何だよそれ…」


「……」


みんな何も言えずに固まっていると奏花さんが口を開いた





「今朝、社長からメールが届いたの…」




「『明日から、すずまち製作所の社長を任せたい!俺は旅に出る!』ってそれだけ、でもそれだけで分かったわ。あの人はなにか大きな決断をしたんじゃないかって」


「すずまちはあの人が一から作り上げて会社でね…あんな性格だから何度も経営不振になって。ついに差し押さえられて…一度倒産してるの」


「!?」


「その時ね、社員のみんなにあの人が言ったの」





『創ったものの責任は俺にしか取れない、今まで通り給料も払おう!』





『だから悩むな、また創るから』







「『創る』…」


「そんな人が、メール一つですずまちを諦めるなんて思えなかった!」


「会社に向かっている途中で茉莉花ちゃんからもメールが来て確信したわ、タイムマシンが完成したんだって…」





「だから、彼が創ったあなた達開発部を迎えに来たの…!」




「「「「「「……!」」」」」



浩貴が口を開いた


「俺たち、あの人に想像以上に気に入られてたみたいだな!」


巴ちゃんが続けるように言った


「バカでテキトーだけど、気が合いますしね!」


氷花が真剣な顔で言った


「私は、会えなくなるのは…いや!」


俺達は奏花さんの話を聞いてより強く思った、すずまちに来てよかったと———


———


「着いた!」


「タイムマシンの開発室へ向かうぞ!」


俺達はとにかく走った、工場の奥までそう時間はかからなかった


タイムマシンの開発室はガラス張りになっており中がすぐに見える状態だった


「頼む…まだいかないでくれ…!」


ガラスの奥におよそ1畳ほどパネルの上で立っている社長が見えた


あれがタイムマシン!?


敷き詰められたパネルが光を発して起動していることがひと目で分かった


「まって!」


開発室の中に入った俺達はもう遅いことを悟った


タイムマシンの横にあるタイマーの数字が残り1秒の文字を映し出していたからだ


「お前ら…」


社長は俺達に気づいて苦い笑顔を向けて左手には一枚の手紙、右手で俺達に手を振った




「ちょっと、行ってくる!」






間に合わなかった…全員がそう思った時だった





ダッ


俺は走り出していた


残り0.98秒…



「はぁ…はぁ…」


俺がリーダーだから!今度は俺が創ってやる!




残り0.81秒…



すずまちも、あんたも元の場所に戻した上で!



残り0.67秒…



俺のやりたいこともやってやる!



残り0.52秒…



氷花も俺と同じで大きな何かを諦めてた!



残り0.46秒…



けど、今ならどうにも出来ないわけじゃない!



残り0.33秒…


俺は光りに包まれた社長の腕を掴んだ



残り0.19秒…


だめだ、社長を引っ張り出しても。俺が光に飲み込まれる…


まあそれでもいいか…そうするしかないんなら…


この人に期待するしかない!







「あんたはここで創ってろ、俺が行くから!」





残り0秒










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