第22話「だが、それも面白い!」
「いらっしゃいませ~…エナギンギンXいかがですか…」
俺はこういった声を出す仕事がやはり苦手だった
「枕井さん!もっと声出していきますよー!はい、らっしゃーせー!」
巴ちゃんは今日も元気がいい
「ら、らっしゃーせー…!」
「ハハハッ、纏にこういうことをやらせるのはハードルが高いぞ!巴ちゃん」
そうだぞ、巴ちゃん
そんなことを考えていた時だった、氷花が俺の近くに来て笑って言った
「ここでみんなと働くのも悪くないね!」
すずまちに入って、少しは変われた自覚はあった
何もなかった俺の生活に色がついたみたいな充実感もあった
タイムマシンが出来なくても良い、完璧じゃなくても良いと…
けど、ここに氷花がいなくなる未来が確実に近づいてるなら
俺はこれで良いんだろうか?
———マックス電機、本社開発室
「白夜、話がある」
「何だい、茉莉花ちゃん」
「気づいた、なぜ今回社長が3日間私たちをここに置いて。会社に一人でこもったのか」
「今回、借りる機材ってタイムマシン本体だったんだね」
白夜は大きなため息を着いた
「はぁ…そこまでバレてしまったか。ああ、そうだよ。彼が設計書まで作ってきたんだ、俺達はそれを作るだけ」
「なぜそんなことを?なぜチームメンバーに隠す」
「わからないのか?茉莉花ちゃん。完成したタイムマシンを使うことがどういうことなのか」
「…?」
「最初にタイムマシンに乗ること、それは人体実験になってしまうということだよ」
「!?」
「理論上は完璧、部品さえあればマックスですぐに作れる。だがね、最初に乗る人間は命の危険が伴うかもしれない」
「彼は…鈴間はだれよりも先に自分が乗らないといけない。そう判断したんだ…」
「……そんなこと、させない!」
「もう、間に合わないよ」
「!?」
「さっき完成して、届けに行かせたんだ」
「っく…!」
その顔は哲学院 白夜しか見ていない、初めて茉莉花 葵が激しい表情をしたのだった
ガチャ!
茉莉花が強く扉をあけて飛び出した
———
「エナギンギンXは…いかがですか!」
俺は今何も出来な自分を自覚した途端、仕事に身が入っていなかった
何ができるんだ…
タイムマシンがあれば俺は…
そう考えていた時だった
「纏ぃー!」
「透子ぉー!」
「浩貴ぁー!」
「彩花ぁー!」
「すずまちぃー!どこ!」
それは感情的で聞いたこともない大きな…茉莉花の声だった!
「「「「!?」」」」
俺達は一斉に振り向いた
茉莉花が険しい表情で走ってきていた
「はぁはぁ…すずまちに、社長のもとに…戻るよ!」
俺達はその真剣な顔を見て何も聞かずに頷いた
「こっち!」
俺達は一斉に走り出し大通りに向かっていた
「電車じゃ間に合わない、タクシーを…」
茉莉花がそう言った瞬間だった
キキーーーー!
黒い大型の高級車が俺達の前に止まった
「お、お姉ちゃん!?」
「タクシーでも間に合わない!みんなこれに乗って!」
扉から出てきたのは奏花さんだった
「な、なにがどうなってるんですか!?」
浩貴が困惑した声で言った
「話はあと!とにかく急ぐわよ!」
俺達はすぐに車に乗り込んだ
———すずまち製作所、タイムマシン制作室
鈴間が大きな機械を見つめていた
「やっと、完成してしまったか……」
「この先は誰にもわからない…何が起こるのかも」
「だが、それも面白い!」




