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すずまち製作所  作者: 鶏皮:塩
第一章
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第21話「エナギンギンX…略してエナギン」


ティッシュ配りを終えた浩貴と俺は女子メンバーより先に控室で着替えを始めた


「あーつかれた」


気疲れというやつか、体より集中力をかなり使った


それにしても、今日の氷花本当に可愛かったな……


氷花があの格好をしていたからだけじゃなく、仕事だからと割り切ろうとしているが恥じらいが消えないところがとにかくぐっと来た……


そんなことを考えていると隣のカーテンから浩貴が声をかけてきた


「なあ、纏」


「なんだー?浩貴」


「お前って、まだ、いい人居ないのか~」


「何だよいい人って」


「彼女、作らないのかってことだ」


急に学生みたいな話を振ってくるな、浩貴にしては珍しい


「……」


俺が考え込んで黙っていると、浩貴は少し間を開けて言った


「…お前、今人生最大のモテ期の可能性があるんだぞ!」


「!?」


何を言ってるんだ、俺がいつモテたっていうんだ


「何驚いてるんだよ…ほんとに気づいてないのか?」


「…気づいてねえよ」


「お前は……重症だな、ラブコメ症候群だ」


「何だよその病気…っぷ…ハハッ」


「っぷ……社長に直すための薬作ってもらえよ」


「「ハハハッ」」


こんな男子高校生のような会話で笑ってしまうとは


「それはどんな病気なんですか!?」


カーテンの向こう側から巴ちゃんが元気よく聞いた


「「!?」」


「い、いつからそこに居た!?」


俺はびっくりして変な声が出てしまった


「最初から居ましたよ…!枕井さんがモテてるってところから!」


恥ずかしすぎる、あんなしょうもない会話を聞かれていたとは…


「そこに、氷花もいるのかなぁ?」


「はい!ずっと私と一緒でした!」


俺と浩貴はカーテンを一つ挟んでいたが、お互いが何を考えているかすぐに分かった


「「出づらい……!」」


そんな事を考えていた時だった


「なんで氷花さんそんな顔赤いんですか!?大丈夫ですか!?」


「「!?」」


ほんとに、なんで顔が赤いんだ?


そんな事を考えていた時だった


「とっ巴ちゃん、私たちは少し外に出てましょう…」


「はい!」


ガチャ


「「助かったぁ…」」



———マックス電機配属、2日目


「本日は、店舗内でお客様に商品のご案内をしていただきます」


お姉さんは今日も表情一つ変わらない、茉莉花とは違ってロボットのような無表情さだ


「案内ですか…でも俺達この店の構造もそんなに知らないし、できるんでしょうか?」


浩貴が心配そうに聞いた


「問題ございません、本日は皆様全員で一つの商品のご案内をしていただくので。その商品とは……」


そう言いながら、お姉さんは山積みになった商品を指さした


「御社の売れ筋商品、エナギンギンXでございます」


「え…?ここにすずまちの商品がおいてるんですか?っていうかエナギンギンってたしか…」


エナギンギンXって社長がたまたま作ったっていうエナジードリンクのことだよな…


っていうか電気屋さんで、エナジードリンクを売る仕事ってなんだ?


「すずまち様の商品は弊社で取り扱う商品の中でも特に売れています」


「そうなの!?」


俺が驚いて3人の方に目を向けた


「ああ…実はかなり人気で売上はすごいんだよ」


浩貴は発言に反して少し険しい顔をしていた


「ええ!?じゃあなんで会社ちっちゃいの!?」


「そこなんだよ、社長が何でもかんでも作りたがるから出費が多すぎて余裕ないんだよ…」


なるほど全部分かった…


「とにかく本日はエナギンギンX…略してエナギンを1000本売り上げていただきます!」


俺達は死ぬことが確定したのだった…




———同時刻。すずまち製作所、社長室


ブーブー


鈴間の携帯電話に一件のメッセージが入る


「『茉莉花ちゃんにバレてしまった』か……」


「それくらいは、想定内だよ。白夜」


「タイムマシンを作ることよりも、タイムマシンに乗る決断をすることのほうが難しい…」





「だが私がやるしかないの…だろうな」





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