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すずまち製作所  作者: 鶏皮:塩
第一章
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19/37

第19話「現実に・・・してしまった・・・」


ーーー3日間君たちを借りたい!


これだけの社員を抱えているのにすずまちの俺達なんか借りてどうするつもりなんだ・・・


俺達は本社のオフィスを紹介してもらっていた


「ここは、研究室だね。茉莉花ちゃん君はここの配属ね!」


「まかせて」


「あとの4人なんだが・・・」


俺達はなにをするためにここに呼ばれたんだ・・・


ゴクリ


「君たちは1階で販売員のバイトをしてもらいます!いま超繁忙期で人手足りなくて困ってたんだよ!」


「「「「えー・・・」」」」


「何なんですかこれぇ・・・この仕打ちは!」


巴ちゃんが泣きそうになりながら言った


「まさか社長、機材借りる代わりに俺達を売ったな・・・」


浩貴が情けない声で言った


「・・・」


言葉は発していなかったが氷花は少し下を向いて微笑んでいた


「透子さんはなんでちょっと嬉しそうなんですか!?」


「あ、あのわたし、大学時代にマックスでバイトしてたから・・・すこしはみんなに教えられるかなって」


「おー!これは頼りになりますね!マトイー・・・枕井さん!」


巴妹、それはもう全部言ってるよ


「そうと決まれば、やるか!」


俺達が覚悟を決めた時、社長が言った


「それなんだが、今日はもう17時だから今日はかえっていいよ!明日からよろしくね!」


「「「「ホワイト企業・・・!」」」」



ーーー



俺は家の近くに着いていた


「久しぶりに早く帰ったし晩酌でもするかな・・・」


コンビニコスモスに向かっていた


それにしても、昼の乙花さん。様子がおかしかった気がする


そんなことを考えていた時だった


ウィン


コスモスから人が出てきた


「枕井さん・・・!お仕事終わりですか?」


乙花さんだった


「あ、ああ。乙花さんも?」


緊張してうまく話せない


「はい!よかったら一緒に帰りませんか!」


「ええ!?」


「私の家、駅と反対なんですけど。枕井さんはどっち方向ですか?」


「俺も、同じ、です・・・」


何だこの最高のラブコメイベントは!


俺達は、少しずつ家の方へ向かって歩き出した


「枕井さん・・・その、さっきの女性の方は枕井さんの彼女、とかでしょうか?」


「!?」


急な質問に声が出なかった俺を見て、彼女は困った顔で見ている


「い、いや違うよ。学生時代からの友達」


なんだか少し安心した表情になった


「そうなんですね・・・ところで枕井さん。す、好きな女性のタイプはなんですか?」


「!?」


また固まってしまった、とことん女性関係は成長しないんだな俺は


「きゅ、急になんで?」


「なんででしょうー?」


いたずらっぽく俺に微笑んでいた


「と、ところでさ!俺達が最初に会った日覚えてる!?覚えてないかもしれないけど」


いたたまれなくなった俺は話を変えた


「!?」


変な切り出し方だったからか乙花さんが驚いたような顔をしている


「お、俺がこの街に越してきた日。このコンビニで相変わらずビール見てたらさぁ。居たんだよね、万引き犯が」


「ま、万引き犯!?」


彼女は別の意味でまた驚いていた


「その万引き犯は、多分学ラン着てたし中学生くらいだと思うんだけど、俺でもわかりやすく慌ててた」


「・・・?」


乙花さんは必死に思い出そうとしていた


「そして、駐車場には不良っぽい同じ学ランを着た生徒が見張ってて。もう分かると思うけど万引き犯はいじめられっ子だったんだよね」


俺は続けて言った


「そのまま出ていった少年に乙花さんは気づいていた、けど声をかけずに逃がした。」


「なんて私無責任なこと・・・」


乙花さんは、深刻そうな顔をした


「その続きがあってね、乙花さんは盗まれた商品と同じものをバーコードに通して、商品棚に戻したんだ。自分のお金を払ってね」


「これは、良いこととは言えないかもしれないけど。俺はそれを見て素敵だと思ったんだよ。」


「!?」


「指摘すれば彼が後日またいじめられるかもしれない。盗まれたままだったら店が損をする事もわかってる」


「乙花さんは、彼の状況をちゃんと見て。気持ちを考えて奢ったことにした」


「状況は何も変わらないかもしれないけど、俺は見てたんだ。自分が想像できない心を尊重する君を」


「あ、ありがとう・・・見ててくれて」


乙花さんは少し泣いていた


「ご、ごめん急に変な話して!見てたとかキモいよね!」


「ち、違います!嬉しくて」



「それに・・・」


「それに?」


「その日は初日じゃ・・・ないんだけどなぁ」


聞こえないくらい小さな声で独り言のようにつぶやいた


「ご、ごめんなんて言った?」


乙花さんはすこしスッキリした様子で顔を上げた


「やっぱりなんでもありません!枕井さんの家どこなんですか?」




あれ、もう着いてる


「ここだ・・・」


「相当近所じゃないですか!じゃあまたコンビニで会いましょう!」


乙花さんは急いだ様子で走っていった


「なんて言ったんだろう」


俺は初めて乙花(おつか) 紅子(こうこ)という人間を深く知れた気がしていた


ーーー


同時刻、社長室


カタカタカタカタッ


すずまち製作所、社長鈴間野良(すずま のら)は一人でタイムマシンの研究を進めていた




カタカタカタカタッ・・・




カタカタカタカタ・・・



タンッ


「おいおいおい・・・」


「・・・ハハハッ」


「はぁ、やはりか・・・」








「SFを・・・現実に・・・してしまった・・・ハハッ」






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