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すずまち製作所  作者: 鶏皮:塩
第一章
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13/39

第13話「あ・・・じ・・・」


ーーー午前6時


ピピピッ


朝か・・・


「ほんっとに、なんで俺がこんな時間に起きないといけないんだよ・・・」




ーーー前日のミーティングにて


「パフォーマンスを上げるって、具体的には何を・・・?茉莉花さんの好きなことも知らないし」


社長が思い出したように言った


「ああ、そうだな!まず茉莉花くんはな、死ぬほど朝が弱い!」


「それがこの話とどう関係あるんですか・・・?」


俺はため息を付きながら言った


「彼女は、寝かせておくと3日は起きない!だから君が毎朝起こして仕事をさせてくれ!」


「はい!?」


もう毎度のことだがツッコミどころが多すぎて逆に反応がベタになってしまう


「モーニングコールとかすれば良いんですか?」


「そんなんでは起きない!」


「じゃあどうやって・・・?」


「彼女の部屋で毎朝アジの開きの焼き魚を作ってもらう!」


意味がわからない


というか、部屋に行くって?男の俺が入って良いなんて言うわけ・・・


「アジの開き・・・!?」


茉莉花が飛び起きた


「この通り彼女はアジの開きに目がないので、いくら睡眠が深くても匂いを嗅げば飛び起きる!」


「けど今、アジの開きはここにないのに・・・ん?」


後ろを向くと巴妹が七輪を用意してアジの開きを焼いていた


「えええ!?いつのまに!?」


「へへへ!枕井さんが来る前は私がずっと葵さん担当だったんです!」


巴妹の仕事ぶりに感心したのは初めてだ


「毎朝、最寄りの漁港でアジを仕入れて新鮮な状態で提供していました!葵さんのパフォーマンスはその日のアジの質で変わっちゃうんですよ・・・!へへへ」


鼻の下をこすりながら言った


おいおい、それを毎朝やれっていうのか


「とにかく頼んだよ!枕井くん!」


どんだけヤバい会社なんだここ


「それにしても、どうやって部屋で焼くんですか?」


社長が口を開いた


「それに関しては、問題ない!茉莉花くんは事務所の第三休憩室で寝泊まりしているからな!鍵はかかっていない!」


「そうですか・・・」


他がおかしくて薄れているがそれも十分おかしい


ーーー現在に戻る


俺は少し離れた漁港から戻って会社の前に着いていた


「ほんとにギリギリ1匹残ってたな・・・アジ」


昨日受け取っていた事務所の鍵で扉を開けようとした時だった


「あれ、開いてる・・・?」


誰かいるのか?こんな時間に出勤してるんだったら俺の代わりに茉莉花を起こしてくれよ・・・


そんなことを思っていたら茉莉花の住んでいる第三休憩室のプレートが見えた


「スーーーッ・・・ハァ」


緊張を和らげるために深呼吸をした、がいい匂いがして余計緊張してしまった


「女子特有のこのいい匂いはどっから発生しているんだ・・・」


ただでさえ女子の部屋に入るのも初めてなのに、ましてや寝顔なんて拝めてしまえば俺は成仏してしまうかもしれない


とにかく早く起こさなければ


「これは仕事だ・・・」


ガチャ


「お邪魔します・・・」


そこにはハンモックで寝ている茉莉花がいた、ハンモックで寝ているところを見ると本当に猫みたいだ


それにしても、顔はいいんだよなこいつ。無愛想だけど


そんなことを思いながら俺は準備を始めた


「よし、できた」


焼き始めてすぐに部屋にアジの匂いが充満した


「早く起きてくれよ・・・」




3分ほどたった頃だった


「あ・・・じ・・・」


茉莉花がついに目覚めた、と思ったその時だった


ドサッ


推定地上から1mほどのハンモックから転げ落ち、少しずつ這い寄ってきた


大丈夫かこいつ・・・いや、そんなことより


「よし!このまま行けるぞ!」


なんだかほんとに猫を手懐けている気持ちだった


七輪にうちわを当ててアジの匂いを茉莉花に送り込む


「あ・・・じ・・・」


そうだぞー、アジだぞーそのまま一気に目覚めてくれ!



パクッ



ついに食べた!茉莉花が食べた!


家に子猫を迎え入れて初めてミルクを飲ませた飼い主はみんな俺と同じ気持ちだったと思う


寝ぼけながらアジを食べる茉莉花が口を開いた


「おい・・・しい・・・これ」


うまいか!よかったなぁ茉莉花!


「これ・・・君が焼いて・・・くれたの?」


なにか茉莉花の様子がおかしい


「ありがとう・・・」


寝ぼけながら俺の方に這い寄ってくる茉莉花を見て俺は動けなかった


それに、いつもより甘えたような表情をしているし・・・なにか変だ


そんなことを思っているときだった




ペロペロ



茉莉花は俺の指を舐めていた


「なっ!?え!?」













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