第11話「悩みきったら、創れ!」
「ーーーわたし、結婚するの」
正直声が出なかった、頭が真っ白になった
結婚って・・・?そもそも彼氏出来てたのかよ・・・そんなふうには全く・・・
俺の答えを待たずに氷花は続けて言った
「お父さんがね、去年体調崩しちゃって・・・しばらく入院してたの、まあ命に別状はないんだけどお父さん『孫の顔を見れずに死にたくない』って言い出してさ」
何だよそれ、勝手なこと言って・・・
「その後すぐに、知り合いの息子さんとお見合いの話を持ってきて・・・私、別にいいかなって思っちゃったの」
「好きじゃないけど、実家の近くに住んでゆっくり暮らすのも良いかなって」
氷花も大人になっていたんだ、俺と同じように。大きな変化に期待をしなくなっていた・・・
だとしても・・・それでも・・・
俺は気づいたら口を開いていた
「氷花はさみしくないのか?ここのみんなと離れることとか、それに浩貴もいるのに・・・」
すかさず氷花が言った
「それと、纏もいるしね・・・なんで今、再会しちゃうかなぁ」
何だよそれ・・・遅かったのかよ、俺は
少し上を向いて氷花は言った
「もう、戻れないんだよね全部が遅かった・・・ほんとにタイムマシンができたらいいのにな」
「そうだな・・・」
ーーー
それから何も言えないまま少し時間がたった
「少し話しすぎちゃったね、戻らないと」
「わかった、また後で」
ガチャ
少し考える時間が欲しかった
なんで俺は氷花が結婚することが苦しいんだ?この街を出ていくことがこんなに苦しいんだ?
少しさみしい気持ちはある、またみんなで一緒に居れると思ったのにって
けど、なんで苦しいのかが分かってしまったらきっと・・・もっと苦しくなる、けど
『俺は今でも、氷花が好きだった』
気づいちゃいけない事に気づいてしまった
「もう、8年も経っているんだぞ・・・」
涙が込み上げてきた
この庭がみんな知らない場所で良かった
ーーー
「ふう・・・」
少し落ち着いた、仕事初日にこんな爆弾を落とされたら溜まったもんじゃないぞ
「少し落ち着いたようだね!」
急に聞こえた声に俺は飛び上がった
「うわああああああ!え、、社長!?いつから!?ってかどうやって!?」
「ハハッ!ついさっきだ!」
マジで何なんだよ結構見られたくない人に見られちゃったよ・・・
「そうですか・・・!」
「枕井くん、なにか悩んでいたのか?」
「ええ、まあ」
「そうか・・・良いことだ!」
全然よくねえよ
「悩みは発明の種だ!いっぱい悩め!悩んで悩んで悩んで・・・」
「悩んで?」
「悩みきったら、創れ!」
「君はすずまち製作所・開発部の枕井 纏、だろ?」
なんだか少し励まされたような気がした、この人なりに空気を読んでいるんだろう
「ハハッ・・・ありがとうございます」
とりあえず、今はどうしたら良いかわからないけどとにかく少し動いてみようと思えた
「それにしても社長、今日俺何もしてないんですけど大丈夫なんですか?」
「ああ、そうだったな!みんなが帰ってきたらミーティングをするぞ!」
「ミーティングですか・・・?」
「ああ、タイムマシンの設計に関するミーティングだ!」
そういえばそんなものも作ってましたね、この会社は・・・
「そこで、枕井くんに頼みたい重要な仕事がある!」
「なんですか?重要な仕事って・・・?」
絶対変なことだろうな
「君には・・・タイムマシン制作のチームリーダーを任せたい!」




