開店第一号のお客さま、それは?
「ところでウォルフィ。デザイナーの仕事には興味がないの?」
カンパネアから持ってきた、翻訳機能のついたタブレット。
その画面に映し出された、
「誰もが着ることができる服とは?
デュエマ家の発表会に出現したおどろきの一着!」
という『カンパネア繊研日報』の記事を読みながら、ハルミはたずねた。
「ないわけじゃないけど、しばらくはお直し屋を続けたいね。
なにしろ、いろいろな人のいろいろな服に関わることができるだろう?
これはこれで、かなり面白くてさ」
店の外で扉の上に看板を取りつけていたウォルフィが、満足そうに目を細めた。
「これで、よし」
ハルミも店の外に出ると、ウォルフィと並んで看板を見あげた。
黒い小さなプレートに書かれているのは「D」というひと文字だけ。
ただし、その上には金色でふちどられたオオカミとハサミをかたどった紋章が輝いている。
「いよいよ、開店だね」
ハルミは思わず身ぶるいをした。
「それにしても、いちばん最初のお客さんって、いったいどんな人なんだろう」
「そのことなんだけど、じつはもうひとり招待状を出している人物がいてね」
そう言ってウォルフィは、うしろを振り返った。
「ああ、どうやらお越しいただけたようだ」
「もう一人?」
と、ウォルフィに続いてふり返ったハルミは、
「あ!」
と、思わず声をあげた。




