放浪修行の発表会
それから、一週間後。
「ただいまより、留学者たちの発表会を行います」
伯狼館の大広間に、マイクを通したヴィンセントさんの声がひびいた。
「まずはデュエマの代表をつとめる、エルリック・カンパネロ・デュエマのあいさつからです」
まぶしいスポットライトに照らし出されたステージの上。
千人ちかい観衆が見あげる中に、ひとりの人物が進み出た。
広い肩の上でゆれる三つ編みに編みこんだ金髪と、凍てついた氷を思わせる青みがかった灰色の瞳。
高級服ブランド「デュエマ」の代表にしてウォルフィの父親であるエルリック氏は、集まった人びとに語りはじめた。
「カンパネア……当時はカンパネア村と呼ばれていたこの地に、先祖であるマクシマム公が移り住んでおよそ三百年。
伝統的なカンパネア・スタイルによる服作りをもとに、たえず革新を続けていくこと。
これこそがデュエマというブランドの特色だと言えるでしょう」
エルリック氏の言葉に耳をかたむける、大広間に集まったデュエマの一族たち。
そして発表会の審査員をつとめる、実際にデュエマで仕事をしている人たち。
服をデザインするデザイナーや、そのデザインを型紙とよばれる設計図に落としこんで服の見本を作るパタンナー。
その見本をデュエマの服を取り扱うお店に売りこむ営業部門や、営業部門が取ってきた注文の数を工場に発注し、出来上がった服の品質をチェックする管理部門。
その服を工場からお店まで運ぶ流通部門や、給料の計算などを行う総務部門。
売り上げや財産の管理を引き受ける経理部門。
録音用のマイクや撮影用のカメラを持った、ブランドの宣伝を行う広報部門のすがたも混じっている。




