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ようこそ、異世界のファッション・ショーへ!JK漫才師が恋に落ちたヤンキー君の正体は高級ブランド店の御曹司?ただし……  作者: ときじく こみち
第2章:異世界カンパネアのファッション・ショーにご招待
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親子オオカミ

「いやはや、こんなに素敵(すてき)なお(じょう)さんを見つけて帰ってくるとは」


 伯狼館(はくろうかん)の応接室に、ハルミをむかえ入れたエルリック氏が言った。

「息子をニッポンへ留学させた甲斐(かい)があったというものです」


「父さん、何度も言うけれど、ハルミは―」

 と、怒ったような声をあげるウォルフィに、


「ああ、失礼!事業主(じぎょうぬし)さまだったね」

 と、うれしさを()みころすようなエルリック氏の表情。


「さあ、お茶にしようか」


 壁にはめこまれた時代がかった暖炉(だんろ)と、そのまわりを取りかこむ大理石でできた(かざ)(だな)


 床は黒っぽい木で出来ているようだったが、それが見えなくなるぐらいに何枚もの絨毯(じゅうたん)がパッチワークのように()かれている。


 どの絨毯(じゅうたん)にも、こみいった模様(もよう)可愛(かわい)らしい絵柄(えがら)が織りこまれていて、床に敷くのがもったいないほどだった。


「……なぜ、靴を脱ぐのですか?」


 いいのか、やっぱり。


 部屋の中央に置かれた、純白のテーブルクロスのかかったテーブル。

 その上でシャンデリアの光を()ね返している、真っ白な磁器でできたカップやソーサー。

 そして丹念(たんねん)(みが)きあげられた銀製(ぎんせい)のスプーンやフォーク。


「ああ、お茶はわたしが()れよう。ヴィンセント、お前はお茶菓子の準備をしておくれ」


 手押し車に乗せてヴィンセントさんが運んできたティーセット。

 それを使ってエルリック氏は、みずからハルミに紅茶を()れてくれた。


「この紅茶は、人間の世界から仕入れたものなんですよ。

 ハルミさんのお口に合うといいんですが」


(お父さん、すごく(うれ)しそうなんだけど)


 テーブルについたハルミは、いそいそとお茶の支度をするエルリック氏のすがたを見ながら思った。

 

 エルリック・カンパネロ・デュエマ氏。

 マクシム公の代から続くデュエマ家の六代目にして、高級服ブランド「デュエマ」の社長。

 そして、カンパネアで(にせ)ブランド服を作ろうとする業者を見つけ出す、摘発者(レイダース)のリーダー。

 

 太い首とぶ厚い胸板。

 見あげるような大きな体と、三つ編みに編んだ金色の髪。 

 会社の社長というよりは、プロレスラーと言われたほうがしっくりくるかもしれない。

 

 聞くところによると、若い頃のエルリック氏がオオカミ人間に変化したときは、まともに相手ができるものはカンパネアにはいなかったそうだ。


 にもかかわらず、


(めっちゃ、いい人じゃない?)


 手押し車とテーブルのあいだを、かいがいしく動きまわる三つ編みすがたの大男。

 手慣(てな)れた様子でカップにお茶を()れる手つきは、板についていると言っていいほどだ。

 放っておいたら、そのうちオーブンでマフィンでも焼き始めるんじゃないだろうか。


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