表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、異世界のファッション・ショーへ!JK漫才師が恋に落ちたヤンキー君の正体は高級ブランド店の御曹司?ただし……  作者: ときじく こみち
第2章:異世界カンパネアのファッション・ショーにご招待
25/61

本当のすがた

「そのへんにしてくれないかな」

 それまで若者たちの会話を(だま)って聞いていたウォルフィが、たまりかねたように口をはさんだ。

「デュエマに対して色々と思うところがあるのは分かる。

 けれども、わざわざ店の前でそういうことを言うのは……」


「本当のことを言って何が悪いんだ」

 ぶ厚いくちびるの隙間(すきま)から(きば)をのぞかせたオーク族の若者が、うなり声をあげた。

 建物の軒さきにまで届きそうな大きな体で、ズイとハルミたちの前に立ちふさがると、


「気に入らないんだったら、どかせてみろよ」

 と、丸太のように太い腕をのばしてウォルフィのシャツの(えり)もとをつかみあげる。


 その時だった。


「あ」


 プツンという音とともに、襟もとからはずれたシャツのボタンがコロリと地面に落ちた。


 同時に、


「……」

 固く(にぎ)りしめられたウォルフイの拳が、ブルブルと震え始めた。


「……たな」


 いつのまにか、陶器人形のような顔のこめかみに浮きでた血管が、ピクピクと別の生き物のように脈打ち始めている。


「よくも、シャツを……」


 そして、ハルミは見た。


 怒りのあまりに血の気が引いて真っ白になったウォルフィの顔を、みっしりと生えた固い毛がザワザワとおおいつくしていく。

 

 そして、


(ひえっ?)


 ユラリと陽炎(かげろう)のように少年の体がふくれあがるのと同時に、


「俺のシャツをおおおおおおお!」

 落雷のような遠吠(とおぼ)えが、ビリビリと空気を(ふる)わせた。


 肉を引き()(するど)(つめ)と、骨を()(くだ)強靭(きょうじん)な牙。

 (さか)だつ毛なみの中で血の色に輝く、暗闇を見とおす肉食動物の瞳。

 (ねら)った獲物(えもの)は決して逃さない、人間の一万倍ちかい嗅覚(きゅうかく)


「うわあああ!こ、こいつ、狼頭族(ワーウルフ)だ!」


「に、逃げろおっ!」


 人狼の姿に変じたウォルフィの前から一目散(いちもくさん)に走り去っていく若者たちの悲鳴を聞きながら、


(も、もう、だめだ……)


 ゆっくりと自分が気を失っていくのを、ハルミは感じていた……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ