なんじゃそれ?異世界の言語の翻訳に痺れすぎ
港へと向かう、人びとが散歩をするために作られた遊歩道。
その両がわに軒を連ねる、さまざまな店。
いかにも港町といった佇まいの、錨の形をした看板の下がった木賃宿。
扉に天秤の絵が描かれた両替商らしき店。
髪切りばさみの形に窓がくり抜いてある理髪店。
ただし、タブレットの画面に変換された看板の文字は、どれもこれも奇妙なものばかりだった。
たとえば、赤ら顔のドワーフ族がビールのジョッキを掲げて乾杯をしている「四月ばか」という看板のかかったビアホール。
あるいは、骨つき肉にかぶりつくオーク族たちでにぎわっている、「極楽鳥」という名前のレストラン。
「水馬Ⅲ号」というネームプレートのついたオートバイに乗る、「警察」と書かれた腕章を巻いた制服すがたのエルフの警官。
おもしろいのは、新しい店になればなるほど、訳のわからない言葉に変換されることだった。
「はらぺこアーミー参上つかまつる」と書かれた、ファミリーレストランから出てくるゴブリン族のカップルや、自動販売機で売っている「うなぎなう」というペットボトルに入った飲み物。
「いかにも便利屋さん」というコンビニエンス・ストアのような店の軒先で「怒りんぼ鶏」という紙袋に入った揚げものをパクつくリザードマンの少年たちや「おつゆのこぼれやすい履きもの店」でスニーカーを選ぶ猫目族の親子。
「肉まみれでなぐさめ合うステーキハウス」
「何じゃそれホテル」
「えびタクシー」
「うぷぷぷぷ!『すっぱいスポンジが恥ずかしいのヨ♡』って、な、何の店なの~?」
タブレットを覗きこむハルミは、笑いが止まらない。




