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バッドエンド:とある貴婦人の絶望
どうやら、名高い公爵家の使用人が自死したらしい。
遺書もなく、誰もその苦悩を知る者はいない。
色褪せたはちみつ色の髪は、整えられることもなく、艶も失っていた。
ペリドットの瞳を持つ貴婦人は、ただ呆然と座っていた。
黒いドレスに身を纏ったものの、髪はかき乱れたままだった。
貴婦人の尊い宝石は、理由もなく消えてしまった。
荘厳な鐘が響く。
愛する夫の声も、愛おしい子供たちの声も貴婦人の耳には届かなかった。
ただ、失われた黄金の瞳を想って静かに涙を落とす。
どんな金銀財宝にも価値などない。
悲し気に儚く笑う彼はいない。
ただ、そのことが彼女の心を壊してしまったのだ。
転げ落ちるように、追いかけるように、
彼女は急速に弱り、認知機能に障害を持ってしまった。
「ヘリオドールは、どこにいるの?」
少女のような声で彼女は皆に問うのだ。
社交界の華は、もういない。
ひっそりと領地の片隅で生涯を終えたのだった。




