第2話 野宿と一人の巫女
ババン・・・老人
アイリ・フリール・・巫女
俺達は道なりに大都へと向かって居る。
そうして、少し暗くなったので…少し広い草原で野宿する事に。
「ふぉふぉふぉ……野宿とは久しいのぅ」
「ババンさんは野宿ってした事あるんですか?」
「勿論じゃとも、ワシも若い頃は中々の冒険者じゃった……それで遠くの場所の依頼の時……宿屋が近くにない時は野宿をしたものじゃ」
「へぇ~」
俺とババンさんが話している頃
ミリアは薪に火をつけて、焚き火を作ってくれていた。
そして、謎の肉を串に刺し、火の近くに突き刺した。
「ミリアさん、それ…なんの肉なんですか?」
「あ~これ?これは、トコトコの肉よ」
「え?トコトコ?何ですかそれ?」
「あ~イノシシの魔物の肉よ、美味しいよ」
「げっ…マジですか」
「ワシもトコトコの肉はよくたべたわい。
瑠璃よ、お主も食べて野宿仲間になろう」
「わ、分かりましたよ〜」
そうしてある程度火が通り、肉から旨味の脂が出ているのを確認したミリアは串を取り俺とババンさんに渡した。
(うっ……普通の牛肉とか豚肉とか食べたいな〜)
「警戒して居るのならワシが食べようか?」
「いいえ!俺が食べます……」
(ゴクリ)
あむっ。
ごく。
!
「うっ!?」
「どうした瑠璃!?まずかったか!?」
「いいえ、美味しいです。
初めて食べましたけど……意外に美味しいです」
「ふっ、それなら良かったな」
そうしてババンさんも肉を頬張る。
「私も……」
はむっ。
ミリアも小さな口で肉を頬張る。
「ふふ美味しい」
そうして俺達は夕食を食べ終え少し休憩した。
数時間後
「さてと、夜になるな」
「そうですね」
「そして……気づいているか、瑠璃」
「うん?何がですか?」
「はぁ……何かこちらに向かってきて居る」
!
(!確かに!後ろから何者かが来ている)
「行くぞ!!」
そうして3人で振り向いて武器を構えたが後ろには
「ちょ!こ、怖いですよ!」
後ろには巫女姿の女性が怯えて立っていた。
「お、お主は!?」
「あ……もしかして……ババンさん?はぁ…私ですよ。
巫女のアイリです」
(巫女!?巫女なんてこの世界に居るのか?異世界だから神社とかないかと思っていたが)
「アイリか、後ろから誰か来るかと思っていたから魔物かと警戒したんじゃ。
すまんのぅ」
「気にしないでください、今の状況だとその行動は間違っていません。
悪いのはゆっくりと歩いた私なんですから」
「それで何で巫女さんがこんな所に?」
俺は巫女に向かって聞く。
「火の灯火が見えましたので、生きている人が居ると喜んでこちらに向かったんです。
始めましてですよね?
私は、巫女のアイリと言います。
アイリ・フリールです」
「俺は林瑠璃、ミリアさんとババンさんからは瑠璃って言われています」
「そうなのですね、それにしても……見たことない服装ですね。
何処の国に暮らしているんですか?」
「あ……俺は……」
「アイリ、私から話すよ」
ミリアが言葉を遮り言う。
「ミリアちゃんも無事だったんですね」
「ええ、そうよ。
そして彼は転移者……グランベ王女が呼び出したみたい。
この異変を解決するためにね」
「グランベ王女が!?それに貴方は転移者だったのですね。
どおりで見たことない服装だと思ったんですよ」
「そうなんだ、俺は転移者。
元は日本と呼ばれる国から転移してきた、突然呼び出されて、永遠の森で目が覚めたんだ」
「永遠の森!?……あの、どうやって出たんですか?」
アイリが質問する。
「最初に謎の揺れがあって、森の出口に向かっていたら、パリンと言う音が鳴って、少し収まった時に森から出たら出られたんだ」
「へぇ~不思議ですね。
揺れとパリンと言う音……パリン……うーん」
「アイリ、何か分かるのか?」
ババンが言う。
「パリンって音はもしかしたら結界かバリアが割れた音なのかなと……揺れは分かりませんが」
(確かに……バリアや結界が割れた音なら説明が着く……ならなぜ、あの森に結界が?)
「でも、何で森に結界が張られて居たのか分からなくない?」
「確かに……それはそうね」
「まぁ考えるよりも先にやる事が出来たみたいだな」
!
ババンの言葉と共にあの人型の魔物が現れた。
「ひぃ!この魔物は!」
アイリは腰を抜かす。
「アイリの事を頼めるかミリア」
「う、うん!」
ミリアはアイリをなんとか立たせる。
「俺もやります!」
「行くぞ!!」
ギギギ!
魔物が迫ってくる。
「スラッシュ!!!」
「メガフレア!!」
俺とババンさんの攻撃によって魔物は倒される。
「ふぅ……気を抜く事も出来ませんね」
「まぁ、大半の人間があれに成って居る…気を抜けないのは無理もない」
「こ、殺したんですか……今の魔物を」
アイリは言う。
「そうじゃが?」
ババンは言う。
「ひ、人だったんですよ……躊躇無しで殺してません?」
「アイリよ、手を抜けばこちらが奴らの仲間になる。
もしくは殺される……手を抜くわけにはいかんのじゃよ」
「でも……人を殺すなんて……」
「あれは魔物じゃ……人なんかじゃない……人なら心や感情がある……あれには何もない……ただ目の前の敵を食う……もしくは襲うだけじゃ……」
「そんな……私は巫女……神の声で人々を導かなくては行かない。
人を殺めるなんて……そんな事を……」
「その人ではない何かが人を殺めるかもしれない……その時お主はどうするのじゃ?」
「それは……」
「アイリよ、人を思う事はとても大切じゃ。
じゃが…あれをもう人と思ってはならぬ、例え大切な人だとしても……ましてや兄妹や知人だとしてもな」
「………」
「……あの、ババンさんも?」
「ああ……ワシも知人があれになった……そして他の知人を殺めた……ワシはこの杖で殺した……知人だった何かを……」
「……」
「後悔は無い……ワシがこれ以上知人が罪を犯さないようにな」
「………私、怖いです……もしも私の仲間の巫女があれになっていたら……私は狂ってしまいます……」
「……気持ちは分かる、その時はワシが胸を貸してやる……ワシの所でいっぱい泣け、泣いて泣いて全ての気持ちを吐け……そうすれば少しは楽になる」
「……分かりました……」
「それで、アイリさんも俺達の目的の為に着いてきます?」
「目的?」
「この元凶の者、白と言う人物を倒すこと」
「白?それは人ですか?」
「そうです、そいつが人を魔物に変え、多くの命を奪った者です」
!
「分かりました!私、着いていきます。
許せません……その白って言う人は」
「ちょいちょい……悪く言わないでほしいな〜」
!?
突然の声に空の見上げるとそこには宙に浮いてこちらを見ている白が居た。
「白!!貴様!!」
ババンさんが武器を構える。
「いかり心頭って奴か、今はあんたに用は無いんだよね〜。
ねぇ、巫女って他にも居る?」
!?
突然、白はアイリに向かって聞いてきた。
「あ、貴方には話しません!!巫女を舐めないでください!!」
アイリはそう答えた。
「ふふふ、強がりは良くないよ。
足とか手が震えてるよ、怖いんだよね?」
「こ、怖くなんか!!」
「あ、そうそう……巫女って強いのかなって思ってたけど………」
!
アイリはそれを見て、唖然とした。
白は空間に穴を開け、そこに手を入れて取り出したのは、変わり果てた巫女の姿だった。
「じゃ〜ん、巫女さん弱かったです〜」
!
「スラッシュ!!!」
「おっと!」
ババンのスラッシュ、しかし白は余裕で避ける。
「危ないな〜」
「う、嘘だ……あれは巫女じゃ無い……」
アイリは言う。
「現実逃避かな~?残念だけど、巫女さんだよ〜。
勝てないと分かりながらも馬鹿みたいに対抗するから、苦しめながら殺ったよ?
そして、こいつは……」
すると巫女だった何かは黒い闇に覆われ、あの魔物に変わった。
…。
「あ……あ……」
アイリは言葉を失った。
「貴様!!!!どこまで人をバカにする!!!!」
ババンは剣で斬りかかる。
「ちょいちょい!ジジイには用は無いんだよね〜。
アイリちゃんだよね?今なら、この友人達の仲間になれるよ?
アイリちゃんもこっちに来たらどうだい?」
「……」
「アイリ!聞く必要はない!!こいつだけは許せん!!!」
「うぜぇー!!!黙れ!!!」
!
「ぐわあ!!」
「ぐっ!!」
突然の上からの圧で俺とミリア、ババンは地面に押しつぶされる。
「さて、どうする?……他の人達も待っているよ。
君だけ生きているなんてズルいって……ククク。
さぁ……来たまえ」
「……私は!!!」
!
突然、アイリの周りにオーラが現れる。
「何だ!それは!!」
「私は、貴方の仲間にはならない!!!
私は大切な仲間を殺したあんたが許せない!!!だから、お前を殺す!!!」
!
「へぇ〜言うけど、やれるのかな!!!重圧!!!」
!
(まずい!!!アイリまでも押しつぶされたら!!)
「無駄よ」
アイリは何事もないような顔で立っている。
「何!?」
(嘘だろ……アイリの奴、一体何をした!?あのオーラ、見たことない……神の力か?)
「神風!!!」
!
「ぐっ!!!何でつよい風だしかも魔力までも吸い取られた!!!」
アイリの攻撃によって白が揺らぐ。
(この感じ、神の力を引き出した可能性があるね〜。
ちょっと、ヤバいかも?)
「ちょいちょい、殺さないでよ〜」
「はああ!!!神圧!!!」
「ぐわあ!!!」
(アイリが一人で奴をあそこまで追い詰めている!?これは勝てるかも……だが…ワシや瑠璃はこの圧から出られん……くそ加勢したいのに……)
(こいつ!!ヤバすぎる!!想定外だ!!)
「転移!!!」
!
白は転移魔法を使う。
「……」
シュン。
(バカ女め!!逃げたと思い込んている!後ろから殺してやるよ!!!死にやがれ!!!)
なんと白はアイリの少し後ろに転移し音も立てずに斬りかかる。
ガキン!!!
それは、バリアで攻撃が弾かれた音だった。
「な、何ー!?」
白が持っていた剣は、アイリを守るバリアによって折れた。
「そこだね!!!疾風」
「ぐっ!!!クソ!!これは戦力的撤退だ!!!……流石……腑抜けの巫女よりも強い……甘く見ていたよ……。
アイリ、君は僕には勝てない……いずれ分かる……そして、君はその仲間と共に命尽きる……」
「……」
「それじゃあ、バイバイ」
そうして白は完全に姿を消した。
「………くっ……がはぁ!!あ……あ……」
アイリのオーラは突然消え、吐血し、倒れる。
「アイリ!」
圧が消え、俺とババン、ミリアがアイリに駆け寄る。
「まだ、息はある!回復魔法を」
「ええ、ヒール」
ミリアは回復魔法を唱える。
アイリの顔は少し穏やかになる。
「はぁ……これで大丈夫だな……」
ババンさんも一息つく。
「ババンさん、アイリさんのあれってなんなんですか?」
ミリアが聞く。
「さぁな……ワシにもさっぱり分からんのじゃ。
じゃが…アイリは巫女……神が力を与えてくれたのかもしれん……まさに神のみぞ知るって言うやつじゃ」
「神……か」
「アイリを運ぶぞ、瑠璃……頼めるか?」
「はい」
そうして俺達は、片付けをして……アイリを寝かせ…一息つくのでした。
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