第19話 冒険者ギルド
レオンたちの護衛依頼達成の報告と俺の冒険者登録の為に、一番最初に向かったのは冒険者ギルド。ギルドに向かう途中、いい香りのする店が幾つかあったので、あとで何処か店に寄ってみようと思いながら、歩いていたら目的の場所である冒険者ギルドに到着した。
冒険者ギルドである建物には解りやすく、入り口付近に「冒険者ギルド」と書いてある看板が立て掛けられていた。その看板を軽く見つつ木製の扉を開け、ギルドの中に入る。
中に広がっていた光景は予想外のものであった。中に入る前は、冒険者ギルドと言えば、もっと活気があって賑やかなものだと想像していたが、今は物静かでギルド職員だと思われる人を抜くと数人程度しかいない。その数人にしても、併合してある酒場みたいなところで、食事を取っているだけ。
「冒険者ギルドはもしかして、人材不足なのか?」
「どういう意味だ、フェルト。」
「いや何、想像してたより人が少ないんだなと思って…」
「少ない?…もしこの光景を見てそう思ったのなら、それは間違いだぞ。」
レオンがギルド内を見渡しながら、そう口を開いてきた。
「間違い?」
「そうだ。冒険者は基本朝にギルドで依頼を受けて、明るい内に仕事をする。そうなると依頼を終え帰ってくる時間帯は、日が沈み始める少し前。だから昼頃の今に冒険者の数が少ないのは、寧ろ当然なんだ。」
「成る程、そういう事だったのか。」
別に冒険者ギルドが人材不足とかではないらしく、昼頃はいつもこんなものらしい。昨日も夜の散策は危険だと言っていたし、すぐに納得できた。
「それよりギルドに来たのだから、早く依頼達成の報告とお前の冒険者登録を済ませよう。」
受付を行っている所へ行くと、そこには美人と言っても差し支えない程の容姿を持った人が、複数人いた。
受付嬢はギルドの顔と言われるが、本当に美形揃い。これならギルドの顔と評されるのも納得がいく。そんなことを考えていると、受付嬢の1人が話し掛けてきた。
「こんにちは。今回はどのようなご用件で当ギルドに参りましたか?」
これに対して、レオンが今日やって来た理由を話し始める。
「今日ギルドに来たのは、護衛依頼の達成を報告する為と、こいつ…フェルトを冒険者として登録したいからだ。」
「依頼達成の報告と冒険者登録ですね、解りました。依頼達成の報酬は此方で渡しますので、登録する方は、彼方にある登録コーナーで説明を聞いて下さい。」
「解った。」
目の前にいる受付嬢に促され、登録コーナーの受付まで移動した。移動した先にいた受付嬢は、赤髪のショートで美人と表現するよりは美少女に近い女性。そんなどちらかと表現するなら、美少女に近い受付嬢と目が合い、此方に笑顔を向けて声を掛けてきた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。この度はどのようなご用件で参られましたか?」
「冒険者登録をする為に来たのだが、彼方にいる受付嬢から、ここで説明を聞き登録してくれと促された。」
「左様ですか。では、冒険者登録をする為に来たとのことで宜しいですね。」
「あぁ、その通りだ。」
「それではこの用紙に名前、年齢、戦闘職をお書き下さい。それと、このあとギルドカードを発行しますので、手数料として大銅貨5枚を頂きます。」
赤髪の受付嬢は用紙とペンを此方に差し出しながら、大銅貨5枚を要求してきた。
(大銅貨5枚…マジかよ!?既に通行税で銀貨1枚出費したのに、この追い討ち。酷くない?)
俺はこれも冒険者になる為の試練だと考えながら、用紙にフェルト、15歳、槍術士の順に書いていく。記入する項目も少なかった為、すぐに書き終わり、大銅貨5枚と共に用紙を提出する。
「確かに大銅貨5枚頂きました。今からギルドカードを発行しますので、それまでの間、冒険者について説明させて頂きます。」
説明を始める受付嬢。前にも軽く説明したことがあるような内容も含まれていたが、確認の為にも一応全部聞いておく。
冒険者はランク制になっており、ランクは下からG~Aまである。そして、その上にもSランクがあるのだが、これはほとんどの人が辿り着くことの出来ない雲の上の存在。それほどまでに、Sランク冒険者の数は全体から見て少ないらしい。
ランクの度合いによる評価はG~Fが駆け出し。このランク帯で受けられる依頼は少なく、その日暮らしがやっとの報酬しか稼げないみたいだ。
次にEランクは半人前。駆け出しの時よりは成長したが、まだ経験が浅く、重要な依頼などは任せてもらえない。
Dランク、ここでやっと一人前として認めてもらえるようになる。このランクになるとやれる依頼が一気に増え、稼げる額が今まで以上に増加する。しかし、メリットが増えるだけでなく、緊急依頼が発生した際にはDランク以上の冒険者は、基本強制参加となる。勿論、幾つかの例外はあるが、大半の冒険者はそれに当てはまらない。
常人が辿り着ける限界、Cランク。このランクでは熟練冒険者として見られ、貴族のお抱えになる者もいる。
Bランク。それは、才能がある一部の人間がなることの出来るランク帯。人口の少ない街では最上位冒険者レベルであり、名が通り始める。
才能があり、それでいて努力の惜しまないものだけがなることを許された領域…Aランク。このレベルになると、超人と呼ばれ、二つ名が付き始める。付いた二つ名は国中に広まり、どこの冒険者ギルドでも認知される。
化け物…一言で表すならこれが一番適切だろう。冒険者の中でも辿り着けるのは、極々一握り。その極致に立てた者、その頂きに立てた者、その者だけが許された場所、それがSランク。それほどまでに狭き門を潜り抜けた者は、どの人物も英雄として世界に名が轟く。
これが、冒険者ランクの周囲からの評価らしい。取り敢えずDランク以上になれば、食うに困らない程度には稼げると理解した。
次は冒険者になったときのルールだが、依頼を発注して、もしそれを失敗した場合、成功報酬の3割を違約金として請求される。そして、今発行しているギルドカードを紛失し、再発行する必要性があるときは、大銀貨1枚を払うことになるとのことだ。
発注可能な依頼については、自分の1つ上のランクまでなら大丈夫らしい。
「最後となりますが、登録直後に1回だけ特別昇格試験を受けることが可能です。これは、優秀な人材が長いこと下に埋もれてしまわない為の処置としてできたものです。優秀な人材が埋もれる、それはギルドだけでなく、国として見ても大きな損失となります。これを防ぐ為に、この特別昇格試験が考案されました。」
特別昇格試験?名前を聞いた感じこれをクリアすれば、ランクアップするみたいだな。つまり、合格すればGランクから地道にランクを上げなくて済むってことか。でも、肝心の特別昇格試験で一体何を試験するのか解らん。聞いてみるか。
「その特別昇格試験ってのは、どんなことをやるんだ?」
「この試験は戦闘能力を見ますので、模擬試験を行うことになります。そして、昇格出来るランクの数は試験の結果によって変わってきますので、頑張って下さい。」
どうやら特別昇格試験は、模擬戦を行うらしい。知識を使う学力試験だったらやばかったが、戦闘に関してならランク昇格出来るチャンスは十分にある。
「戦闘の試験なら問題ない。今からでも特別昇格試験をやることは可能か?」
「はい、今からでも大丈夫です。試験場所はギルドの横にある修練場になります。そこに行けば試験官がいますので、この受験票とギルドカードを渡してください。」
そう言って受付嬢は、丁度発行が完了したギルドカードと受験者を渡してきた。ギルドカードには、俺が先程用紙に記入したものと、ランクが表示されていた。今は登録したばかりだからGランクと表記されていたが、特別昇格試験でしっかり上げてくるつもりだ。
「これで、登録説明は以上です。何か質問は御座いますか?」
「いや、もう十分聞くことが出来た。ありがとう。」
冒険者登録が終了し、レオンたちに特別昇格試験のことを説明した後、ギルドの横にある修練場へ向かった。




