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第11話 脱出



手入れ済みの槍を【アイテムボックス】にしまい、準備を終わらせダンジョンからの脱出口だと思われる魔方陣へと向かう。



「あの魔方陣を使って、やっとダンジョンから抜け出せる。」



思ったことを口に出しながら、無駄に広い大部屋を歩く。


まず、魔方陣でダンジョンから出られなかった場合、入り口も出口もない空間になってしまうので、間違いなくこの魔方陣がここから出る鍵となる。


前に見たときは古代文字がいくつも使われ、発動する効果が解らなかったが、脱出できる魔術なら恐らく転移魔術のはずだ。



転移系の魔法は大量に魔力をするが、魔術ではそこまでの魔力消費がない。


理由として魔法を使用する際は、直接魔力を操り効果を発動させるのに対し、魔術の場合は魔方陣と言うひと手間を置くことで、大きく魔力消費量を減らしている。


なら全て魔術で良くないか?と思うかもしれないが、それは困難な話。


何故なら、魔術は発動までに長い時間を要するからだ。しかも、魔術を使うには魔方陣を書くことが必須なので、戦闘中や急ぐときには使うこと自体難しい。


だが、魔法は魔力消費が激しいことを除けば、発動時間が短く、魔方陣を書く行程が必要ないため、汎用性が高く、多くの人から好まれて使われる。


これらが理由にある為、魔術は余り使われることが無くなった。そして、今回は魔術を使うから、俺の魔力でも事足りるだろう。





そう考えている内に、魔方陣の元へ着いた。魔方陣は数日前から変わらず、黒い文字のままだ。


魔方陣は魔力を流すと、文字が赤くなり、書かれている効果が発動する。だから、魔力を流していないときは、文字が黒いまま。


魔方陣に異常は見当たらないか確認し、思わず呟く。



「やっと、ここまで来たか。」



ここまで来るのに、とても数日間とは考えられないくらい濃い時間を過ごした。自分がいる大部屋を見回し、今まで起きた出来事を思い返す。







この部屋はダンジョンで目が覚めてから、初めて通路以外の場所だった。部屋に来るまでは、どこへ行こうが通路しかなく、出口や他の階層に繋がる道もない。まるで、迷宮のよう。


数日間歩き続けて、出口どころか階段も見当たらない状況なら、当然焦り始める。そんな時、この部屋に入る為の扉を見つけた。


部屋に入る直前嫌な予感がしつつも、ダンジョンから脱出する手掛かりが発見できると思い、これから地獄が待っているとも知らずに扉を開ける。


扉を開けた先には部屋が広がっていて、その大きさは大部屋と呼ぶのに相応しいサイズ。

更に回りを見渡し、より情報を取り入れようとする。しかし、そこにあるものと言ったら、骸の座る玉座と魔方陣のみ。


玉座に骸が座っているだけなら、大して気にもしなかっただろうが、立て掛けてある剣のせいで、そうもいかなくなった。


その剣は通常考えられない大きさで、あえて表現するなら鉄の塊とも言うべき、圧倒的質量。大剣…まさにそれのことだ。


当たり前だが、大剣が立て掛けてあれば警戒もする。そして、その判断は正しかった。


骸…いや死霊騎士が突如攻撃を仕掛けてきた。警戒してたこともあり、攻撃は紙一重でかわすことに成功。そこから、死霊騎士との死闘が始まった。


結果で言えば、俺の勝利。しかし、戦闘の途中何度も絶望仕掛け、勝てたのはほとんど奇跡。どちらがやられても、おかしくない状態。よく勝てた、本当にそう思う。







思い返すのを止め、もう未練はないかのように魔方陣に手をつけ魔力を流し始める。



魔力を流された魔方陣は、文字が徐々に赤くなっていき、輝き出す。薄暗い部屋の中で輝く魔方陣は、酷く神秘的に見えた。外へ出られる、それが原因でこれ程神秘的に見せたのだろう。そして、この先どんなことが待っているのか、期待を膨らませながら、魔術完成に必要な魔力を流し続ける。


魔力が底に尽きかけようとした瞬間、魔方陣が閃光のように強烈な光を出し、魔術式が完成した。



「さて、どこに出るのか?」



転移後、どこに移動するか考える。出来れば、街や村など人がいる場所の近くに転移してほしい。ダンジョンにいる間は、人と話すことが出来なかったから、その分会話をして楽しむつもりだ。あと、食事もゴブリン以外を食べれるといいな。今後のことを想像するだけで、楽しくなってくる。期待に胸を膨らませていると、転移魔術が発動する。


身体が一気に粒子状になり、身体を構成する細胞の1つ1つが空間転移を始める。転移する瞬間は、身体が無くなってしまうかのように感じるが、それも一瞬のこと。






転移が終わり、自分の身体がしっかりあるか確かめながら、ゆっくり目を開けた。視界に入るものは、肌を刺すような日差しを出す太陽に、生い茂る草や木々。新鮮な空気を取り入れる為、肺一杯に空気を吸い込み深呼吸をする。耳を澄ませば聴こえてくるのは、鳥の鳴き声。身体のありとあらゆる器官を使って外の世界を堪能し、再確認する。



ここは、ダンジョンではないと―――――




読んで頂きありがとうございました!

これで、ダンジョン編は短かったですが終わりです。次回は番外編を一度挟んで、そこから第二章に移ります。


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