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第19話「東京湾侵略編① 影、迫る海」

西暦2055年4月14日——。


日本。東京湾沿岸。


それは、歴史が動いた瞬間だった。


 


深夜0時過ぎ。

防衛省市ヶ谷地下指令室。


緊張した空気の中、巨大モニターに浮かぶレーダー画面。

そこには——異常とも言える反応が映し出されていた。


「……確認する。東京湾沖に未確認の大型飛翔体、複数接近。速度、超音速域で変動」


報告の声が、指令室の空気をさらに冷たく染める。


「識別は?」


東郷誠一郎・官房長官が問う。


「既存兵器データベースに該当なし。解析不能。おそらく、例の“敵”です」


無人探査機が捉えた影は、黒く、滑るように海面を進んでいた。


 


「……ついに、その時が来たか」


その横で、吉岡圭吾・内閣総理大臣が静かに呟いた。


 



その頃——東京湾沿岸の市街地。


人工ビーチ。ショッピングモール。湾岸タワーマンション。


そこには、まだ“日常”があった。


だが——空気は、どこかおかしかった。


 


若いサラリーマンが、スマホのニュース速報に目を落とす。


『東京湾沖に未確認の飛翔体接近中——防衛省が情報収集中』


「……冗談だろ」


誰かが呟いた。


 


その瞬間——都市の空に、低く震える警報音が響いた。


『緊急警報。東京湾沿岸地域の全住民に告ぐ——直ちに避難行動を開始せよ』


高層ビル群のホログラム広告が、一斉に赤い警告表示へと切り替わる。


オートドライブの車両が緊急制御に入り、避難ルートを確保。


 


「避難? 本気かよ……!」


「な、なにが来るんだ……!?」


ざわつく市民。


混乱の中、遠くの海から——


巨大な影が、音もなく姿を現した。


それは、既存の常識を超えた異形。


 


まるで——黒い鋼鉄の生物のように。


 



防衛省。


「敵影、東京湾へ侵入開始!」


「湾岸防衛部隊、即時迎撃体制を! 陸海空各自衛隊、戦闘配備!」


「市民避難誘導を急げ! 首都防衛戦、開始する!」


 


東京湾。


その静寂を切り裂き、異形の兵器群が滑るように都市へと迫っていた。

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