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第18話「交わる戦線」

首相官邸・作戦会議室。

大型ホロモニターには、世界各国からの通信が次々に映し出されていた。


「こちらイギリス王立空軍。現存するハリアーGR9部隊および一部艦艇の派遣を決定。既に航行中」

「韓国空軍より、旧式F-4Eファントムの譲渡申し出あり」

「オーストラリア軍、艦艇および旧式F/A-18Cホーネット数機の提供を確認」


通信官たちの報告が次々に飛び交う。


「……集まってきたな」


東郷誠一郎は静かに呟いた。

その横で、吉岡圭吾総理が重い声で応じる。


「人類の意地か、或いは……最後の希望か」


「どちらであれ、これで“抗う資格”は得たということでしょう」


各国の動きは、まさに雪崩を打ったようだった。

日本が旧式兵器で反撃に転じようとしている事実は、恐怖と同時に希望を呼び起こしていた。


「とはいえ、敵も黙っていないはずだ。既に敵戦力が都市部近郊に再集結を開始したとの報告もある」


「……いよいよか」


吉岡は目を閉じた。


「過去の遺産に頼ると決めたのは我々だ。ならば、それを最大限に活かし、生き延びるしかない」


 



その頃、格納庫21。


巨大なコンテナが次々とクレーンで降ろされ、整備班の手によって慎重に開封されていた。


「これが……F-14D用の中枢パーツか」


澪は震える手で、慎重に梱包材を外していく。


「無事か?」「輸送中の損傷は?」


「……異常なし!」


整備士たちの間に、小さな歓声が漏れた。


(これで……飛ばせる)


澪は胸の奥で呟いた。

それでも、時間は限られている。

都市近郊への敵の新たな侵攻が報告され、次の戦いは目前だった。


 



「敵戦力、南関東沖から再侵攻を開始。都市部への進軍ルートを複数展開」


防衛総司令部のモニターには、赤い侵攻ラインが都市近郊を覆っていた。


「今度は容赦ないな……こちらの再起動計画に気付いたか」


東郷は苦々しく呟く。


「新世代兵器では、敵AIに解析され撃破される確率が高い。だが、我々には……旧式機がある」


 



鳴瀬隼也は、整備中のF-35の前で、真壁颯士と並んで立っていた。


「……来るぞ、次は」


真壁が短く言った。


「ああ。今度は、失敗は許されねぇ」


前回の戦闘で、鳴瀬は痛感していた。

命令無視、仲間の死、助けられた自分の未熟さ。


「イーグル隊、準備は整っている。いつでも飛べる」


「了解」


 



夜、澪は一人、格納庫21に戻りF-14Dを見上げていた。


「……もうすぐだよ」


静かに、その機体の尾翼に触れる。

過去の遺産にして、未来の切り札。


それが、近づく決戦の中で再び空を裂く日が来る。


 



そして夜明け。

各国からの支援物資と旧式機が、続々と日本に集結し始めていた。


「こちら英国艦隊、旧型艦艇・ハリアー搭載艦を確認」

「韓国空軍より、ファントム部隊が接近中」

「アメリカ第七艦隊残存部隊、輸送船団護衛中」


鳴瀬は空を見上げ、深く息を吐いた。


「――全部、間に合ってくれよ」


 


次の戦いは――もう、すぐそこだった。

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