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8話 「大東森」

(まったく、どこに行きやがった、ミアのやつ…)


俺は店があればその都度入った。しかし、店の中にはミアの姿は見当たらなかった。俺は街の人達に聞くことにした。


「ミアを見なかったか?」

「うーん、ミアらしき人は見てないな」

「ありがとう」


(ほんと、どこ行ったんだよ)


すると、路地の方から子供の声と女性の声が聞こえた。


(ミアか?路地裏で何してんだ?)


俺は路地裏へと入った。しばらく歩くと、ミアは少年たちと何やら話しているようだった。ミアの後ろには

別の少年が立っていた。側で様子を見ているとなんとなく会話が聞き取れた。


「あなた達、いじめはだめでしょ!1人に対して3人で暴力をするのはいけないことだよ。しかも、大人の目につかないようなところでやって、もう絶対にしちゃダメよ」


(なるほど、いじめを注意してんのか。やっぱ、根は優しいんだな)


すると、いじめをしていた3人のうちの1人の少年がミアに対して


「うるせぇ!クソビッチババア!」


悪意のこもった言い方であった。


(あいつら終わったな。俺たちのパーティーで1番の危険生物に楯突くなんて)


すると、ミアは


「ビッチですって?どこでそんな言葉を覚えたのよ。それに私はまだ22よ!」

「十分、年取ってんじゃん」

「へぇ、冒険者の私にそんなこと言っていいのかな?私のパーティーには勇者のユウキがいるんだから」


(…いや、俺?)


俺は子供に手を出すほどクズじゃないからな。

すると、またしてもクソガキが無駄なことを言った。


「その人と付き合ってんのー?」


(何言ってんだこいつは!そんな馬鹿げたことないだろうが!)


「な、何言ってんのよ!そんなわけないでしょ!」

「ビッチな人焦ってる!」

「焦ってないわ!てか、そんなことどうでもいいのよ!もっと反省しなさい。ほら、この子に謝って」


ガキたちは一瞬少し嫌そうな顔をした。


「さっきはごめん」


3人で一緒に言った。


「い、いいよ」


いじめられていた少年は許した。なんとも優しいやつだ。すると、クソガキ達は去り際に


「ビッチなおねぇさん、彼氏とお幸せに!」

「おーい、クソガキども!俺はあいつと、付き合ってねぇぞ!」


(あ、やべ。勢いのまま出てきちった)


「ユ、ユウキ!?」

「こいつが彼氏か」

「おい、クソガキども、俺は付き合ってない。なに勘違いしてんだ。ガキだからって容赦はしねぇぞ」

「うわー逃げろー」

「あ、待てっ!この!」

「ユ、ユウキ」


後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。やべーまじでやばい。ただでさえさっき喧嘩したのに。


「どっから聞いてたの?」

「クソガキに叱ってるところら辺から」

「ほぼ全部じゃない」

「ごめんて」

「で、何しにきたのよ」

「いや、さっきのことで謝りたくてよ。ごめん、少し強く当たっちゃった。みんなのこと配慮できてなかった。本当にごめん」


俺は頭を下げた。ミアは許すだろうか。


「別にいいわよ。さっきは私もすぐ出て行っちゃってごめん。ユウキはみんなのために頑張ってんのに私は何もしてない。それなのにユウキの気持ちも考えないで行動しちゃった。私の方こそごめん」

「別に謝ることじゃないよ。それに、ミアの優しさがクソガキ達のおかげでよくわかったよ。それに、頑張ってんのは俺だけじゃない」

「え?」

「じゃあ、ミアは今まで何も努力してこなかったか?」

「いや、でも今回の突然変異体の調査では私は何も活躍できてないよ」

「別に全てのことにおいて活躍する必要はないさ。ただ、今回は俺がたまたま活躍できる場面が多かったてだけだ」


(今のはうまくミアをフォローできたか?)


名言みたいに言ったつもりだが、ミアの反応によっては迷言だな。


「ユウキってたまに、らしくないこと言うよね」

「そうか?」

「でも、今の言葉私にはしっかりと響いたよ」


ミアはニコッと笑った。

武器屋と魔道具屋の建物のわずかな隙間から差し込んだ夕日が、彼女を優しく照らす。

その瞬間、俺にはミアが女神のように見えた。


「どうしたの?なんか顔赤いよ?」

「ふぇ?な、何でもないよ。さあ、早くみんなのところに行こう」

「なんかガチガチじゃない?」

「き、気のせいだよ。ナニイッテルンダヨ」

「おかしなやつね」


こいつこんなに可愛かったか?いや、そんなことはないミアが可愛いなんてことはない!落ち着け俺。ミアは俺よりも5歳年上のお姉さんではあるんだよな。


(くそっ!DTの俺には刺激が強すぎるっ!)


「まあいい、いくぞ」


俺はこの状況をすぐに終わらせたかったのか、気が動転していたのか、俺はミアの手を掴んでダッシュでギルドに向かった。


「ちょ、何なの?いきなり私の手を掴んで」

「もう、遅いから早くギルドに戻ろうと思って」

「べ、別に引っ張られなくても一人で走ることぐらいできるわよ」

「うるせぇ!お前のせいで今、自分でも何してるかわかってねぇんだよ!」

「何それ」


ギルドに着いた。中にはレオンとレオンに預けたデュラとカイル、グムが席で世間話でもして待っていた。


「お、戻ってきましたか」

「みんなごめん。急に飛び出して」

「俺もみんなに謝りたい。本当にごめん」

「まあ、喧嘩も仲間なら必ず起きますからね」

「ありがとう、レオン」


こうして、みんなと仲直りをした。ちなみにデュラは、ずっと袋から顔をひょっこりと出し、何も分かっていないような目で俺たちを眺めていた。


「そういえば、『共存都市 アーメリー』について話してなかったな」

「そういえばそうだな。カイル…いやミア、説明を頼む」

「…え?私?なんで?」

「説明したがってただろ?」

「えーっと、そうだっけ」

「そうだわ」


このことで怒ってどっか行ったんだろうが。


「えっと、じゃあ私が説明するね。下手でも文句言わないでよね」

「うーん、場合によるな。なんてな、下手だろうが別になんとなく、わかればいいよ」

「本当?」

「もちろん。しっかりと聞くさ」

「えっとね、『共存都市 アーメリー』は魔物と人間が一緒に暮らしている街なんだ」


(知的型魔物か?)


「基本的には知的型魔物しかいない。それでも今の突然変異体についての情報を持ってる魔物がいるかも。それに、あっちの方が栄えてるからギルドで得られる情報が違うかも」

「なるほどね。てことは、次に目指すべき場所は『共存都市 アーメリー』だな」

「そうね。これぐらいでいい?」

「少し、補足をさせてくれ。向こうではランクの高いクエストが多い。要するに危険な魔物が周りに多いから気をつけろ」

「わかった」


魔物が魔物を倒されるところを見るのってどうなんだろうか。やっぱ同じ種族として、あまりいいものではないのかもしれないな。


「じゃあ行くか。『共存都市 アーメリー』に!」

「その前に、ある程度の物資を調達しましょう。流石にニ日間ずっと歩くんですからたくさん食料や水が必要ですね」

 

(えっ?二日間も歩くのかよ)


流石にきついな。しかも、それに魔物がいつ襲ってくるかわかんない。てことは野宿ってこと?最悪だ。

俺らは出発に向けた準備をした。準備を終えた頃には、すっかり日が暮れていた。俺たちは明日の朝、『共存都市アーメリー』へ向けて出発することになった。


「おい、起きろユウキ。もう出発の時間だぞ」


(朝からうるせぇりすだ。こちとら疲れとんじゃ)


「ほんと、だらしないわね」

「はいはい、起きてますよ。ギリギリまで寝て、体力の回復をしてたんだよ」

「嘘つけ、この寝坊野郎が」

「お前はだまれ。てかなんで俺の部屋にミアがいんだよ」

「来るのが遅いからよ。早く準備しなさいよ」

「はいはい」


俺は起きてすぐに顔を冷たい水で洗い、歯を磨き、いつもの服に着替えようとした。


「ちょ、私いるんだから。まだ着替えないでよ」

「じゃあ、早く出ろよ」


ミアは部屋から出ずに後ろを向いた。俺は素早く着替えた。


「着替え終わったぞ。じゃ、行くか」

「下でレオンとカイルが待ちくたびれてるとおもうぞ」


デュラを袋に入れて、グムを肩に乗せた。バッグを背負って、ミアと部屋を出た。宿のロビーではレオンとカイルが話しながら待っていた。


「悪い、待たせた」

「いえ、大丈夫です。それでは行きましょうか。『共存都市 アーメリー』に」

「そうだな」


俺らの予定では大東森を二日間かけて『共存都市 アーメリー』へといく予定だ。


(二日間も何も起こらずに終わるわけ……ないよな)


俺たちは大東森に足を踏み入れた。

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