4話 「最初の街」
森を抜けるとそこには壁で囲まれた街があった。まあよく見る奴だ。俺もこういうのは漫画とかアニメでも見慣れてる。ただ、どこか日本のような雰囲気を感じる。
「よし、森を抜けたな。このまま、真っ直ぐ行けばすぐ着く。でもな、問題が一個あるんだ」
「なんだ?」
「グムさん、私が代わりに説明いたします。」
「あぁ、悪いレオン」
急にグムの顔が少し暗くなった。
「それでは、この街は実は人間以外が入るのは認められていないんですよ。ただし、グムさんのような知的型であり、冒険者と一緒なら入れるかもしれません。ただデュラさんの方は」
「なんかあんのか?デュラに」
「はい、デュラさんは怪物型となっておりますし、それに竜族なのでより危険と判断されてしまうかと」
なるほど、デュラはこの街の人にとったら危険な魔物なのか。それなら
「隠していけばいいじゃん」
「おい、ユウキ。そんな、簡単に隠せるかよ」
「でもそれ以外になんかあんのか?」
俺に対抗するなら、しっかり考えてから発言しやがれ。このIQ3未満野郎。
「私もユウキさんに賛成ですね。一緒に行ける方法は、それくらいしかなさそうですし。流石に外にデュラさんを置いとくというのは、ちょっと危ないかと」
お、レオンはわかってるなぁ。やっぱ俺の次にまともだな。
「レオンまでユウキに従うのかよ」
誰がお前なんかに従うかボケ。お前はアホみたいな顔で、アホみたいにどんぐりでもむしゃっとけ。
「私もユウキに賛成だわ。ただ、ユウキの意見が良かったんじゃなくて、レオンがそうするっていうから、従っただけよ」
このツンデレめ。本当のこと言ってもいいんだぞ?
「カイルはどうする?」
「俺はレオンと同じだ」
「いや、まてよ。そんなのずるいだろ」
うるせえりすだな、ほんと。
「多数決だから仕方ないだろ?諦めろ」
「くそが。リスには従わないってか?」
「当たり前だろ」
ただし、デュラを隠すといってもどこに隠すんだ?
「どこに隠すんだ?」
すると、レオンは「ちょうどいいものを持ってました」というと、古びたふくろが出てきた。こんなんで大丈夫なのか?
「この袋は、とあるダンジョンで手に入れた特別な袋です。中に入れたものの魔力を消すことができるんです」
「魔力って見えんのか?」
「当たり前だろ。お前見えてないのか?」
「なんも見えないが?」
「よくレオン達の方を見ろ。目に魔力を集中させる感じだ」
はぁー、そんなんで見えるようになるかよ。まあ、一旦試してみるか。えーと?目に魔力を集中させるんだっけ。俺は思いっきり目に力をかけてみた。すると、グム、レオン、ミア、カイルからなんか白っぽいモヤが見えた。これが俗にいう魔力か。
「おい、グム。なんか、白いモヤがみえるぞ」
「それが魔力だ。人の魔力がわかる。慣れれば何もせずに見えるようになる。魔力が見えなきゃ魔物を探知するのも厳しくなるぞ」
なるほど、だからさっきから魔物がどこにいるとかわかんなかったのか。
「ちなみにユウキの魔力は人よりも多そうだ」
「そうですね。かなり多いかと。私なんか平均もありませんから」
「お、マジか。そんなに魔力量あんのか?」
やべ、本当に最強やん。てか、レオン平均以下かい。まともだと思ってたが、やっぱりざこだな。本当に大丈夫か?いや、大丈夫じゃないな。さっき秒殺だったし。
「では、デュラさんをこの中に入れて運びましょう」
「わかった。デュラ、絶対鳴くなよ。火も吐くなよ」
「キュウーー」
本当にわかってるのか?全く竜はわからん。そういえばデュラをよく見ればレオン達とは比べ物にならない魔力があるな。
「グムは俺のペットってことでいいな?」
「いや、まて。なんで俺がペットなんだよ」
「はぁ?だってりすだし、それ以外入れる理由あんの?」
このクソリスマジで森に捨てたい。
「使い魔ってことでいいだろうが」
「あーね。そういうのもあんのか」
「当たり前だろっ!」
門のようなところが見えてきた。かなり人が並んでいるように見える。門の端には門番のような人がいて、門の中央付近には別の門番が手荷物検査や冒険者資格の確認をしている。
「それでは、並びましょうか」
「わかった」
相変わらず、デュラは大人しくしてる。いい子だ。へっぽこリスと比べて中々にできてる子だ。まだ竜で言ったら赤ちゃんなのに。しばらく列に並んでいると、順番が回ってきた。
「荷物をすべて渡せ」
「はい。これがすべてです」
というか、デュラは本当にバレないんだろうか。袋を開けられれば終わる。
俺は小声でグムに聞いた「おい、デュラは平気なのか?」
グムも小声で「大丈夫なはずだ。基本的に手荷物検査は魔力探知でやるからな」
はずってなんだよ。てか、ガバガバすぎるだろ、検査方法。てか、魔力探知だから、さっき魔力を隠せる袋に入れたのか。
「よし、荷物の方はいいぞ」
「ありがとうございます」
レオンは弱そうだが役立つな。
「次に資格を出せ」
「あの、すいません。私の連れの1人がまだ資格を持ってなくて」
「なるほど、では名前とメインスキルを教えてくれれば、通れるぞ」
「ありがとうございます。ではユウキさんお願いします」
「わかった。俺の名はユウキイザワだ!世界最強の最高のイケメンだ!」
「ユウキイザワだな。スキルを教えろ」
「俺のスキルは『強き者』最強のスキルだ!」
「な、なに?『強き者』だと?まさかそんなバカな」
「私達が保証します」
「そ、そうか」
うんうん辺り一体がざわめいてる。やはり俺は最強で最高のイケメンか。
「おい、ユウキ普通に自己紹介できないのか?」
「これが普通だが?なんか問題でも?」
「いや、大ありだわ!」
「まあ、リスにはわからんか」
「なんだとぉ?」
「ほら、お二人さん喧嘩は後でしましょう」
「そうよ、うるさいのよ」
てめぇのほうがうるさいはクソ女。
「何よその目」
「なんでもねぇよ」
「3人分の資格書は確認できた。あとそのりすだが、魔物だな?魔物は立ち入りを禁止してる」
「あ、いやこいつ一応こんなアホズラでも知的型で安全でして、しかも弱そうなリスですよ?」
「確かにアホヅラで弱そうだな。よし、許可証を渡す。これで入れる」
「おい、テメェら誰がアホヅラで弱そうだと?」
「は?見たままのこと言っただけだろ」
「いまこそ、リスの恐ろしさを見せてやる」
「はいはい、雑魚は黙ってくだちゃいね」
「くぅぅぅ。ムカつく。後で覚えてやがれ」
「おい、喋ってないで早く通れ」
「す、すいません。ユウキさん行きますよ」
「おう」
「たく、本当うるさいんだから」
なんだこいつはいつも上からいいやがって。街に入ると思っている以上に広く、栄えていた。洋風というよりか少し和風味を感じる。ここがニーホか。テンション上がってきたー!まずはエッチな店を探すんじゃなくて冒険者ギルドか。
「よし、街に入ったな。ギルドはすぐ着く。ここだ」
まさにって感じだな。いたって普通のギルドだ。まあ、俺のメインはこっちじゃないがな。おっと、まだその時じゃないぜマイブラザー。
「じゃあ入るぞ」
中は怖そうな冒険者から弱そうな冒険者がいる。酒飲んでたり、話してるやつが結構いる。この世界は冒険者が1番稼げんのか?
「ようこそ、冒険者ギルドへ。クエストの受付ですか?」
「お姉さん。僕と一旦お茶でもどうでしょうか」
「ユウキ、いくら童貞だからって今はすること、違うだろ」
「だまれ、クソリス。確かに童貞だよ?だからなんだってんだ」
「お姉さんも困ってるだろ」
「お前リスだから性欲ねぇのか」
「ないわけじゃねぇよ。今は違うって言ってんだ」
「グムさん、ユウキさん喧嘩はその辺にして、一旦冒険者の手続きをしてもらいましょう」
「そうだな、レオン」
マジで邪魔このリス。レオンも止めるなよ。
「それでは冒険者の入会手続きですね。どなたでしょうか」
「俺です」
なんかお姉さんとの距離を感じる。
「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「はい、ユウキイザワです」
「ユウキイザワさんですね」
「それではリーダーの方パーティカードをください」
「はい、これです」
パーティカード?なんだそれ、グムから聞いてねぇぞ。
「承りました。それでは手続き完了いたしました」
「ありがとうございます」
「これでユウキさんも私たちのパーティ入りですね」
「そうだな」
全く嬉しくねぇわ。
「あと、クエストのスライム20体とクエスト外のジャイアントシャークとケバブドックの報酬をください」
「では、もう一度パーティカードをお渡しください」
「はい、お願いします」
「確認できました。それではクエスト報酬の2千ガナドです。クエスト外の報酬の7万ガナドです。合わせて7万2千ガナドのお渡しです」
「おーかなりの額になりましたね。ありがとうございます」
それって日本円でも7万2千円だよなやすくね?てか、ケバブドックってまさかあの狼?どんなネーミングセンスだよ。
「やったわね、今日は外食できるわ!」
「ミア、この金額の大半はユウキさんにあげるつもりだ」
「え?なんで?こいつなんもしてなくない?」
「俺もおかしいと思う」
「2人ともあのな、ジャイアントシャークとケバブドック倒したのはユウキさんだぞ?」
「でもジャイアントシャークはいいとして、ケバブの方はデュラでしょ?」
「でもそのデュラの親はユウキさんだぞ?」
「もう、なんでもいいわよ!レオンのバカ」
レオンかわいそ、後で奢ってやるか。
「では、ユウキさんには3万2千ガナドを渡して、パティー共有のお金は食費代、宿代とかあるから4万から
2万5千引いて残りは1万5千か」
「えーや私たちそれだけでわかるの?少なくない?」
「いつもより多いから我慢しなさい」
いや、いつもどんな生活送ってんだよ。今の日本社会なら確実に生きていけねぇぞ。今の日本は物価が高いんだよ。
「3人で分けて、5千ガナドだな」
「少なー」
「これは少ないな」
「文句を言わない、ミア、カイル」
ミアは自己中だな。
「じゃあ、次は冒険者資格を作る」
「ここで作れんのか?」
「はい、こちらで受け付けております」
「なるほど、じゃあお願いします」
「それではこちらのカードに魔力を込めてください」
冒険者資格というのはカード型になっていて少し透明がかっている。なんも書いてないし、一見するとただの水晶のカードだが。ここに魔力込めればいいのか?さっき目に魔力を集中した時みたいにやればいいんかな?俺が手に魔力を込めて、カードに向かって魔力を注ぐと、水晶のカードいきなりピカッッッッッーっと輝き出した。
「うわ!なんだ?前が見えん!」
「こ、これはすごいです!こんな輝き方見たことがありません!」
魔力を注ぐのをやめると光は止んだ。その瞬間、受け付けのお姉さんが
「ま、まさか本当にいるなんて…メインスキル『強き者』」
するとギルド一体がざわめき始めた。
「おい、そこの兄ちゃん」
「あ?俺?」
「そうだよ、あんただろ?メインスキル『強き者』を持ってるのは」
「ま、まあそうだけど」
なんなんだこのおっさん。いかにも金を巻き上げてきそうな顔してやがる。
「みんなーこの若いのが『強き者』の保有者だ」
「おい、まじかよ。この世界の英雄になるかもしれん!」
「いいなぁーそんなスキル持ってて。俺も憧れるぜ」
「いやぁーまさかこんな若造が。さっきは舐めてたけど、中々やるな!」
あれ?なんか、俺人気者じゃね?
「そうさ、俺が最強で最高のイケメン冒険者だ!」
・・・「うぉぉぉー!」
ふっ、完璧だ。ここの街の人はいい。いいぞ!
「おい、ユウキあんま調子乗んな」
「ちょっとぐらいいいだろ?」
「はぁー。とりあえずできたっぽいぞ」
「こちらになります」
「どれどれユウキはどんなへっぽこステータスかな?」
いや、もうこれフラグやろ。前もおんなじようなセリフ聞いたぞ。
「う、うそだろ…」
ほーら言った通りになりやがった。
「攻撃力74、防御力69、機動力71、知力81、スキル攻撃力85、回復力66、運気42、魔力量231!」
「そんなにつよいんですか!?ユウキさん」
「おーさすが『強き者』の兄ちゃんなだけあるぜ」
いや、運気だけなんかめっちゃ低くない?確か50基準だから42ってめっちゃ弱いやん。
「そ、そうですね。私もギルドの受付嬢として5年やってますが、最初からこんな高い数値の人は見たことがありません。それに魔力量が231とかなり高いです。これはSランク冒険者の魔法使いにもいるかいないかの魔力量です!」
「そんなに俺の魔力量多いのか」
やっぱ俺は最強だったか。
「しかし、討伐数自体も少なく、倒した魔物のランクもそこまで高くないですし、それにまだ登録したばかりなので、冒険者ランクFからのスタートです」
「なんでだよ、姉ちゃん。この若いのは『強き者』を持ってるんだぞ」
「わ、私に言われましても。魔道具が決めたことなので変えられません」
「変な魔道具だな」
え、おっさんもこの魔道具でやってもらったんだろ?どういうことやねん。おっと関西弁が出てしもうたわ。
「でも兄ちゃん中々ステータスもいけてんな!」
「そ、それはどうも、」
「ユウキ!ユウキ!ユウキ!」とギルドにいる全員が名前を呼んだ。パーティメンバーとグム以外は。
「職業はどうされましょうか」
「何があんの?」
「ユウキ様のステータスなら大体の職業につけます」
「ふーん。何がいいんだ?うん?この勇者っていうのは、もしかしてあの勇者になれるのか?」
「そうだ、あの勇者だ」
まじか、勇者になって魔王倒して、英雄になって女の子にモテモテ。うひょー最高やん!
「じゃあ、勇者で!」
「承りました」
「おぉー勇者か。若いのやるなぁ!勇者も冒険者の中じゃ中々いないぞ!」
こうして、これからこの街で俺は最強になり、英雄となるのだろう!とおもったが、どうもこの世界はそこまで優しくはないらしい。




