表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
79/141

親が親なら子も子?


光の作り出したクマに稽古をつけ始めて丸1日。

たった1日だというのに、そのあまりの強さに皆驚いていた。


バッコーン!


「うはっ!ってぇ……お前マジなんなんだよ!」


たった今、爽斗が吹っ飛ばされたところだ。



ビュンッ!


「っきゃあっ……!」



ドカッ!


「わっ……!」



バシッ!


「うぉっ……!」



ボカボカッ!


「いっ……!」

「あっ……!」



続いて、柚も浩輔も志門も町野姉妹も可憐に宙に舞った。




「はっ。大したことねぇ奴ばっかだな。お前らよくそんなンでエスパーなんてやってこれたな」



「くっそ……ホンットに可愛げのねぇクマ野郎だな!こうなったら玲二!イケェエ!!」



「えぇっ、僕?」



余裕さながらのふてぶてしい態度のクマに、全員が息を切らしながらピリついていた。

そんな中、爽斗に押し出された玲二はクリクリお目目と目が合ってしまう。

どう見ても愛らしいテディベアを前に苦笑いしかできない。



「い、いやぁなんだろう……こんなに可愛いクマちゃんとタイマン張るだなんて」



「バカ言ってんなよ玲二!そいつはクマちゃんなんかじゃねえ!ただの野獣だ!」



「なんだとてめぇ!このクソ茶髪野郎!オイラは世界一可愛いクマだぞ!!」



「あぁ?そんな口の利き方しといて世界一だあ?!笑わせんな詐欺プー野郎!てぃーでぃーえるで本物見てこい!」



「爽斗、君の口の利き方も大概だよ……」



意味のわからない喧嘩を始めるクマと爽斗は、何だかんだ似た者同士のぶつかり合いにも見える。


各々鍛錬をしていた大阪サラマンダーも札幌ホーネットも、そして沖縄レイヴンも静岡ウリアルも、いつのまにか皆が集結していた。



「オラいけー!玲二ー!!」


「玲二頑張れぇ〜♡」


「玲二先輩ファイト〜っ!!」



爽斗、柚、そして朧という玲二ファンに盛大に応援され、玲二は顔を引き攣らせる。


「えぇ……なんで僕が……もう…」



この様子に、光は生唾を飲み込む。


自分も玲二のファンの1人として応援したいのは山々だが、でも自分が作った傀儡に勝ってほしい気持ちもある。

しかも……みんなすっごい見てるし……

こんな緊張することなかなかないよ…?

玲二さん、なんだかんだ冷静で凄いな……



「おし。本気を出せよロン毛野郎。

オイラを前に、手加減は不要だ。」



「……全く。しょうがないな……」



玲二は1つため息を吐き、深呼吸したかと思えば、パッと顔を上げた。

そのカッと見開かれた真剣な眼光と、ブワッと突然滾らせるオーラに、光は背筋が凍るほどの妙な違和感を覚えた。


あれ……?

玲二さんて、こんなんだったっけ……


なにはともあれ凄いけど……

なんだかいつもと別人みたいだ……



「……あれ?来ないのかい?いつでもウェルカムだよ。僕は。」


優しくも冷酷に響いたその言葉とオーラに、クマはフンっと鼻を鳴らした。

そして……


ビュンッー!!

バコッ!ドカッ!


一瞬で迫っていったクマと瞬く間に近接戦が始まった。



双方共、目で負えないほどの速さで瞬き1つできず光は息を飲んで見守った。



す……凄い……


これが玲二さんの本気?

本気のところは初めて見たけど……やっぱりすごい……



シュッー……

ビュンッー……!



本来の玲二のスキルは吸引だ。

玲二はクマを吸引したり飛ばしたりしてはいるが、もちろんクマは負けていない。

なんとそれをうまいこと利用して戦っている。



バキッ……!

ドーンッ……!!



あまりの速さに、近くの木が刃物で切られたように倒された。



「かっこいーっ玲二先輩♡負けないで〜!」


朧は目がハートになっている。

しかし玲二の恋人、柚は心配そうに眉をひそめて手を組んでいる。




「オラオラどーしたロン毛!オイラまだ本気出してないんだぜぇ?」



「くっ……」



玲二の眉間にシワが寄り始めている。



「へぇ……玲二の奴をあんなにいたぶれるなんてなかなかすげーなぁ。お前が作った傀儡だろ?月詠。」


「あ、はい一応……たまたまかもですけど……」


「人形ってことは採血はできねぇか……うーん……」


ホーネットの薬膳亮太が興味深そうにクマを凝視している。


「光って、ほんまに万能エスパーなんやな。傀儡作りまでもはや遥を超えてるんやから」


感心したようにエメ子がそう言ったが、光はなんだか本当にたまたまな気がしていて複雑だ。

自分でもあの時は無意識で、というか、遥に興奮しておかしなスキルパワーを発動していたなんてこと、誰にも言えない。



そのとき……



パンッ!!!



「っあ……玲二っ!」

「玲二先輩っ!!」



玲二の上に、クマが乗っかっている。



「はー。やれやれまたオイラの勝ちかぁ。」



息すら切らしてない至極余裕そうなクマのぬいぐるみに、皆は驚愕して静まり返ってしまった。



玲二は「ははは……ごめんね皆。結構本気出したつもりだったんだけど」と呼吸を整えながら起き上がった。



「玲二っ!怪我は無い?!」

「玲二先輩ぃぃいーー!かっこよかったですぅぅ〜」


たちまち涙ながらの柚と朧に囲まれる玲二。



「まじかよ……玲二が負けた……?」



爽斗は驚きを隠せない様子で固まっている。



「ったく、どいつもこいつもだな。

まぁここにいる奴全員、見るからに大したことなさそうだが」



クマはそう言ってグルリと全員を見回した。

クマにはそれぞれのスキル数値が見えていた。



「だがまぁ……」



ピタリと光を見て止まるクマ。



「おめぇなら……オイラと互角かもな。」



その言葉に、「なるほど!」と金盛賢吾が声を上げた。

胸元から蛇のミケがニョロリと顔を出している。



「光さんが生み出したということはきっと、光さん同等の強さということなんですよ!」


全員の視線が光に集まる。



「つまり光さん!あなたはこのクマさんのように、もうすでに最強なんですね!」


「えっっ……や……ど、どうだろう……」


「そりゃそうでしょうね」


戸惑う光に、今度は珍しく時季誠が口を開いた。

パソコンを弄りながら、こちらには目もくれずに喋りだした。


「遺伝だってエスパーのデータ上はほぼ9割と言われてますからねー。親が親なら子も子ですよ。」


「いや誠さんソレ……悪口で使う時の言葉じゃねw」


相変わらずゲームをしながら夏樹が突っ込んだ。


が……なにはともあれ、そう……

いつのまにか光は、このクマほどの強さになっていたのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ