俺は、変革者になる
「それから、大事なことをお前に伝えなきゃならん」
「え?」
「お前はもう元のお前ではない。光」
どういうことか意味が全くわからなくてポカンとする。
「美乃里の才能で今まで吸い取ってきた各個人のスキルやパワー、諸々全てがお前に移った。」
「っな……んだって?……え……?」
理解ができないと言おうとして、ハッと今更思い出してしまった。
そうだあのとき……
美乃里に言われてサンカヨウに手を……
そこからの記憶がまるでない……
「つまりお前は、美乃里の渡したスキル全てを使役することができるというわけだ」
目を瞬かせると、カイトが舌打ちした。
「俺があの場でてめぇと美乃里の残穢から、何が起きたか全てを見た。てめぇは美乃里の分のスキルも美乃里に命を賭けて譲渡されてる」
「カイトのスキルは、現場の残穢から少し前の過去を見ることなんだぜ!」
カミラが付け足してくれたが、凄い…と口に出せるほど今の光の意識はそちらにいってない。
考えても分からないことだらけでついていけてない。
「……俺が見た限り、ざっと100かそれ以上か……そのくらいの人間のスキルが入っている」
カイトの言葉に光は驚愕する。
まさに開いた口が塞がらない。
「でも光くん。もちろん相当訓練しないと、そんな膨大な数のスキルやパワーなんて到底使いこなせないよ。
今の光くんはいわば、100の才能の蕾が植えられたということなんだ。」
カオルの言葉に、茂範が「その通りだ」と頷く。
「だが使いこなせるようになったら、光、お前は」
「「「最強だ」」」
4人の言葉が被った。
「さい……きょう……?」
慣れない単語だ。
慣れていなすぎて、自分に向けられたものだという自覚もなかなか持てないくらいに。
「光。まずお前にできること、いや、しなければならないこと。それは転校だ。」
「?!転校?!」
「もうお前は普通じゃない。普通の学校、いや、普通の社会にはもういられない。SPIサイ組織が運営する養成所へ移れ。」
「?!まっ、待ってそんなっ、急すぎてっ」
「事の始まりはいつだって急だ。」
光は自分の手のひらを呆然と見つめた。
小さな血の跡がまだこびり付いている。
"お兄ちゃん!大好き!"
"ありがとう、光"
"光兄ちゃん〜!"
"おーい光ぃ〜!"
皆の声が、脳裏に木霊する。
みんな消されてしまった。
大切な人生を初めから最後まで奪われたまま。
そして今、この瞬間にも、理不尽に傷つけられ、理不尽に死んでいく者たちがいる。
「茂さん、前に俺に言ったね。
お前は一体何者になりたいんだ?って……」
今この瞬間にも、理不尽な世界は理不尽に回っている。
「変えたい。こんな世の中を変えられる人になりたい。」
どんな人でも、自分らしく、自由に自分の人生を享受できる世界にしたい。
何者にも強制されることなく。脅かされることなく。
全ての理不尽をぶち壊したい。
美乃里ちゃんが、真奈美ちゃんが、みんなが、自分の命を懸けて、誰かを信じて、未来を信じて……
いつか、自分が未来の一部になる希望を持って……
自分じゃない誰かの幸せを願って……
少しづつ積み重ねられてきた夢と信頼を今、
俺が始動する。
「俺は……変革者になる。」
" 光は闇よりも強いんだよ
忘れないで…… "
「光はどんな闇をも凌駕するから」
これは俺が
<最強の変革者>になるまでの物語だ。




