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誰かがやらねば


銀座、新橋周辺にて、

髪の長さが半分になってしまった朝比奈と、愁磨、そして颯が戦っている。


相手はなんと、8.9歳そこらの少女2人組だった。

そのため、無闇矢鱈と傷つけられないでいた。


「あなたたち、まだ子供でしょ?

目を覚まして。あなたは良いように使われて騙されてるだけよ」


「えっ、なぁにこのオバサン」


「ふははっ!じゃーアイラ! オバサンたちは宜しくね!なんかチョー弱いしさ!私はお先失礼〜♪」


「あっ!レアルずるい!!待ちなさいよこらぁ!!」


レアルと呼ばれる子は一瞬で消えてしまった。



「なっ?!なんなのよ失礼ね!!私はまだギリギリ20台なのよ?!」


「落ち着け朝比奈。もうこうなったら殺るしかない」


「愁くんっ!そんな…でもっ」


「解放してやるという意味でも…。

誰かがやらねば変わらないんだ。」



愁磨の言葉に、朝比奈も颯も神妙な面持ちのまま覚悟を決めた。


しかし朝比奈はもう切られた髪のスキルは使えない。

颯が心配そうに見つめているのに気が付き、朝比奈は笑った。


「……大丈夫。実は髪ってわりとすぐ伸びるのよ」


「えぇっ?!」


突然グインと20cmほど伸びたため、颯は目を丸くする。



3人は連携をうまくとりつつ、まずは少女を取り囲む作戦に出た。


「よっとっ!はい、捕まえた!」


瞬足の颯によって、少女を捕まえることができた。

すかさず、朝比奈が髪で拘束する。


「あ〜あ、捕まっちゃったよぉ〜」


少女はなぜか楽しそうに足をばたつかせている。


「愁くん今よ!」


しかしトドメをさそうと構えた愁磨が神妙な面持ちで止まった。


颯も朝比奈も、その意味が分かるため何も言えなくなる。


こんな子供を殺すことなんて…普通に考えてできるわけが無いのだ。



「と…とりあえずは…拘束して、私たちと一緒に連行する?」



そう言った朝比奈が突然目を開けたまま倒れた。

それは一瞬だった。

少女の体に巻きついていた髪を通して、少女がとてつもない威力のスキルを発したのだ。



「う、うそだろ…!し、死んでっ…朝比奈さん!!」


しかもそれは、一瞬で人を殺せるほどのものだった。


髪から抜け出てボーッと突っ立っている少女が一気に恐ろしい存在に思えてきた。



「颯っ!離れろ!!」


ビビっ!!



朝比奈と颯を庇って攻撃を放った愁磨まで、なんと一瞬で倒されてしまった。



「しゅ…しゅ、まさん…?」



顔面蒼白になりながら颯は手汗を握る。


うそだろ…

こんなことって……

やばい。このままじゃ絶対に俺も、生きては帰れない!



「…こんなときにっ、震えてんなよ、俺の足…!」



颯はグッと足に力を入れ、攻撃される前に瞬時に移動した。



あんなに恐ろしい奴…いくら子供だろうと生かしてちゃ駄目だ!



"誰かがやらねば変わらないんだ"



でも……できるのか?!俺なんかにっ!

いや、考えろ!もう俺しかいないんだぞやれるのは!!



シュンー

シュンー

シュンー


アイラは全く攻撃が当たらない颯に苛立っていた。


「……っ、速すぎる…なにあいつ…っ」



颯の姿は、目視できないほどの速さでどこにいるのか全く追えない。

アイラの威力がいくら一瞬で殺せるほどの絶大なパワーでも、当てられなければ無意味だ。


「っっ!!」


気がつくと、喉元に刃を突きつけている颯の目が合っていた。

全てが一瞬だったため、全く反応ができなかった。


「………」


しかし、颯は一向にトドメを刺そうとしない。

やはり子供を始末することに躊躇いを感じてしまっていた。

ガタガタと手が震えているのを見て、アイラがニヤリと笑った。


「馬鹿だね…さっき一瞬でやれば、アンタは勝ったのに」


バシュッー!!!



終わった……!

颯がそう思って目をギュッと閉じる瞬間……


なぜか倒れていったのはアイラの方だった。



「?!?!?!」



そしてその先に見えたのは、また別の幼い少女と、そして知らない女性だった。



颯は目を見開いたまま後ずさる。

味方かどうかも分からないからだ。



「……アンタは誰だ?見ない顔だが、なぜアダマスと戦っていた。まさかアクシアか?」


大人の女性の方が口を開いた。


「ちっ、違う俺はサイだ!てか、お、お前こそ誰なんだよ!なぜ俺を助けた!」


「それはこの子のスキルだよ。

この子は威力をそのまま跳ね返すスキルでね。」


「っ!!」


子供が子供を殺した?!?!



幼い少女と手を繋ぎながらこちらに向かってきた。

そして、倒れている愁磨と朝比奈に気が付き、顔を苦くした。



「見たことないが、新入りなのかアンタは」


「そ…だよ。俺は光の親友で…颯…」


「アイツの親友……?」



知り合いなのか…?と颯は目を見開く。



「そうか。私の名は燕。この子は姪の椿。

私は古くからのサイメンバーだ。」



「えっ」



「まさか……突然こんなことになるとはね。

人がどんどん死んでいく」



「誰かほかにっ、死んだのか?!

サイのメンバーはっ!光はっ!」



燕は眉を寄せて俯いた。



「……私は生き残ったメンバーを探しに行くよう頼まれてきたんだ。とりあえず行こう。」



颯はその先を知ることに恐怖し、絶望的な思いで後を追った。


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