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私を信じてくれ


六本木交差点のド真ん中では今、

腕から血を流している熙と、頭から血を流しているカイトが闘っていた。



「せっかく最強トップツーだというから来たのにな……思っていたより手応えがなくてつまらないですよ。

これは環さんにクレームを入れないとですね」



クルクルと特殊なピストルを回しながらそう言い、アダマス幹部・ミナミは口角を上げる。



「カイト、平気か?まだ全力出せるか?」


「あぁ……余裕だ。」



アダマスの幹部クラスともなるとここまでの強さなのかと正直驚いていた。

熙とカイトはサイの中でもトップクラスの速さを誇っている。

対人格闘でも、その俊敏さには誰も追いつけない。

しかし目の前のこの男は、そんな二人がかりでも傷1つつけることができない。



熙は、光のように意図的にリミッターを外すしかないと考え拳を握った。



「カイト……アレを使ってくれないか。」



「……アレとはなんだ」



「ほら昔、京さんの任務補助としてだが、デートがてらドバイへ行ったことがあったろう?

あのときの砂漠で見せてくれたやつだよ」



「っ!だがアレをこの場所でやったらっ」



「大丈夫さ。きっとこの地は誰かの手によって、また元に戻るはずだ」



カイトは目を細め、少し考える素振りをしたが、「いいだろう」と一言言った。



「お前が何をしようとしているのかは知らんが……ただし……絶対に無理はするなよ熙。」



「あぁ。私を信じてくれ」





突然姿を消した熙、そして一切顔つきを変えない冷静な態度でこちらに歩いてくるカイトに、ミナミは目を細める。



「なんでしょうね。一体何をしようとしているのか、期待大ですね」



フッと笑った瞬間、カイトがしゃがみこみ、地面に手を着いた。


その瞬間、ミナミの立っている周辺の地面が勢いよく崩れ始めた。

コンクリートのはずなのに、たちまち破壊され、砂のように粉々になった。


しかもその余波で、この六本木の地形はほぼ崩壊し、あちこちの建物が崩れ、形を変え始めた。



「なんです、これは……」



こんな才能を隠し持っていたのかこのチビは?

ならなぜ使わなかった?

まさか……この地が壊れることを懸念して……?



「ふふふっ、実にバカバカしいですね。

そもそもアダマスによって全てがリセットされるというのに!」



ミナミがピストルを構えた。

弾を撃てば、対象に当たるまで永遠と動き続ける特殊なピストルだ。

つまり、撃たれたら最後なのである。



バンッ!!!


しかし……


ピカーン!!


自分が六芒星に囲まれていることに気がついた。

よく見るといつの間にか自分の周りには札が貼ってある。


「っ……もう1人の方の仕業か……

一先ずどこかに隠れてこれを狙ってたというわけですか」



弾はカイトの方には飛んでいけずにこの六芒星の中で下へ落ちてしまった。


その瞬間から、足元はまるで蟻地獄のように渦を描き始めている。

周囲の建物も、まるでそれに飲み込まれるようにして崩れていく。



「なにっ?!くそっ!」

このままだと巻き込まれる……!!

しかしこの私が、そう簡単にやられるものか。


ミナミは弾を渦の中目掛けて放った。


「うっ……!」


カイトが唸り、手を抑えたのを見て、ニヤリと笑う。


ほら…やっぱり……

このスキルは、その強大さ故に、エスパーであるお前自身と直結しているんだろう。


ならば……


「はははははっ!終わりにしてあげますよ!!」


ドドドドドドドドドド



蟻地獄目掛けてひたすら撃ちまくるミナミ。



「っく……〜〜〜っ!」



カイトはひたすら耐えているようだ。



「おや、どうしたんですー?!

自分でやっておきながら、もしものときの解決策はないんですかー?!」



蟻地獄の渦がついに止まり、カイトが倒れても、

ははははっとひたすら笑いながら弾を撃つミナミの頭上に、ドーン!と突然攻撃が飛んできた。


熙が六芒星の結界を破るほどのリミッターを解除して来たのだ。


ミナミは熙の強力な拳を間一髪で避けると、舌打ちをして近接戦に応戦した。



「はぁっ、はぁっ、ハハッ、なるほどっ……」


身を隠していた本当の理由は、リミッター解除の準備だったというわけか。



バシッ!

ドカッ!

シュッ!



凄い形相で何度も穿つ熙の攻撃は、確かに並のエスパーの比ではないくらいのスピードと威力を出している。



「ですがっ……こんなところで幹部である私が負けるわけがっ……ないでしょう!!」



グワッ!!と一気にスキルを滾らせると、熙も威力を増大させてきた。


今まさに、本気のぶつかり合いとなっていた。



「「うおおおおおぉぉおおおおぉおお!!!」」


2人の雄叫びに、カイトは薄らと目を開けた。


死ぬ気で戦っている熙が見える。



「……ひ、ろむ……」



アイツのあんな顔……

見るのは久々だな……




熙は、「もっとだ!もっと威力を上げろ!魂から全部、死ぬ気で放て!」と心の中で叫んでいた。




俺はな、熙。

あのときお前のそんな顔を見て、スゲードキドキして、嬉しかったんだぜ。

おかしいだろ。




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